君は月夜に光り輝く (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.75
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本棚登録 : 5432
感想 : 278
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048926751

作品紹介・あらすじ

この圧倒的感動に、山口幸三郎、綾崎隼も大絶賛!
読む人すべての心をしめつけ、4,878作品の頂点に輝いた、最高のラブストーリーがここに――。

大切な人の死から、どこかなげやりに生きてる僕。高校生になった僕のクラスには、「発光病」で入院したままの少女がいた。月の光を浴びると体が淡く光ることからそう呼ばれ、死期が近づくとその光は強くなるらしい。彼女の名前は、渡良瀬まみず。
余命わずかな彼女に、死ぬまでにしたいことがあると知り…「それ、僕に手伝わせてくれないかな?」「本当に?」この約束から、止まっていた僕の時間がふたたび動きはじめた――。

「しっとりと心に染み渡る、美しい恋物語」「参りました。泣きました。生きていく――そのための力を読者にプレゼントしてくれる」と、なみいる選考委員も涙した、第23回電撃小説大賞≪大賞≫受賞作。
刊行にたずさわったみんなの心を揺さぶった、“今を生きる”すべての人に届けたい感動のラブストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 2023.12.9 読了 ⭐︎8.5/10.0



    不治の病「発光病」で入院したままの少女・渡良瀬まみず。
    "余命ゼロ"の彼女が、クラスメイトみんなで書いた寄せ書きを渡すためだけに病室に来たクラスメイトの僕・岡田卓也と出会い、少しずつ惹かれ合う。

    そんな彼女が卓也に託したのは生きている間に成し遂げたい、"死ぬまでにやりたいことリスト"である「最期の願い」の代行だった。限られた時間を懸命に生きた、まみずと卓也の物語です。


    主人公の卓也は、大切な妹の突然の死から、どこかなげやりに生きていました。そんな彼が高校生になったクラスには、「発光病」で入院したままの少女がいました。月の光を浴びると体が淡く光ることからそう呼ばれ、死期が近づくとその光は強くなるらしい。彼女の名前は、渡良瀬まみず。


    余命わずかなまみずに、死ぬまでにしたいことがあると卓也は知り…
    「それ、僕に手伝わせてくれないかな?」「本当に?」この約束から、止まっていた卓也の時間がもう一度動きはじめます。



    大切な人が突然死んでしまうのと、余命宣告され残された日々を生きるのとでは、どちらが辛いだろうか…?


    卓也にとって、姉の鳴子が前者で、不治の病の少女・まみずが後者に当たります。どこかなげやりに生きてる卓也がまみずと出会い、「死ぬこと」と「生きること」の意味に向き合っていきます。



    生きるとは、死ぬことを考えることだと、二人の生き様を見ていると強く感じます。



    「じゃあ、この世が存在することに、一体何の意味があるのだろうね?」
    「意味なんてないよ。意味なんて、人間の勘違いだ」



    生きるということにどこか投げやりな卓也の死生観が、まみずと出会い、惹かれ合うことで”生きる意味”や”希望”をもったものに変わっていく様にとても感動します。



    超正統派なラブストーリーですが、そのまっすぐさに心を打たれました。
    続編があるみたいなのでそれも楽しみです!

  • 読みやすくて、「青春」って感じで良い作品だと思いましたが、私の好みではなかったです。
    しかし、亡くなっても、関わった人たちが生き続ける限り、完全にこの世界からいなくなることはない、という考えは、好きです。

    あとがきで、本作品が作者の経験を一部参考にされている事を知り、切なさが強まりました。

  •  大切な人が、突然死ぬのと余命宣告され残された日々を生きるのでは、どちらが辛いだろうか…? 愚問と知りながら、そんなことを読後に考えました。
     高校生の主人公・卓也にとって、姉が前者で不治の病の少女・まみずが後者に当たります。どこかなげやりに生きてる卓也がまみずと出会い、「死ぬこと」と「生きること」の意味に向き合っていきます。
     大人のためのラノベをコンセプトにした文庫レーベルだけに、胸キュンのラブストーリーはスラスラ読み進められ、若い方々の支持も多そうです。
     発光病という設定と事故死した姉の扱いに少々違和感をもちましたが、高校生の二人が悩みつつ運命を納得して乗り越えていく展開には、吸い寄せられました。
     著者があとがきに「理不尽、辛く酷い世界で死にたくなることもあるけれど、それでも生きていこう、と思える小説を書きたかった」と記しています。
     この意図することに共感し、行きつ戻りつしながらも生と死を前向きに捉え、救われる二人の姿が、温かな気持ちにさせてくれる物語でした。

  • 『君の膵臓をたべたい』と人気を二分する美少女系闘病小説、『君は月夜に光り輝く』を読んでみた。これも新進気鋭のクリエーターloundrawのカバーイラストが表紙なので、それもこの本を手に取った理由。

    本書の内容としてはどストレートの正統派です。
    物語は、美少女が「発光病」という不治の病に冒され、同級生の男の子と恋をし、そして死んでしまうという超正統派闘病小説です。もう種も仕掛けもないです。
    『君の膵臓をたべたい』は終わり方がちょっとトリッキーでしたが、『君は月夜に光り輝く』はまさに正統派な終わり方です。まあ、想像通りです。泣けます。

    本書で特筆するべきは、架空の病気「発光病」を使ったところですね。

    病気が重くなるにつれて身体が光ってしまうという若者しか罹らない致死率の異常に高い病気。身体が光るっていうのは脳内再現する際、ビジュアル的に美しいです。
    さらに架空の病気を使うことによって、リアルな医学に引き摺られることなく、ヒロインを自由に描くことができるのが小説として非常に有利。
    例えば、末期癌だと、余命数か月の時の症状は「こうじゃない」とか、抗がん剤の副作用で髪の毛は全部抜けてしまうはずだとか、いろいろあるよね、小説の描写として。

    実際の病気を設定してしまうと病状と矛盾した描写や行動を作中でヒロインに取らせることができない。あえて、それを無視すると小説としてリアリティが無くなってしまう。どちらも作家泣かせです。

    こういったヒロインの行動制約をすっきり取っ払えるところが、架空の病気を設定した最大の利点。このアイディアは思いつかなかった。これだったらリアルな医学の知識もいらないしね。

    「じゃあ、『君の膵臓をたべたい』と『君は月夜に光り輝く』のどっちが良かった?」
    と言われると、難しい。

    「トリッキー」と「正統派」なので、ここは好き嫌いが分かれると思うけど、極めて偏った個人的な意見で判断すると、
     ① 小説としての興味深さ
     これはラストのトリッキーさとかヒロインが恋する男の子の名前をヒロインの心情を通して変化させるという新しいアイディアを満載している『君の膵臓をたべたい』かな。

     ② ヒロインの魅了
     この点でも『君の膵臓をたべたい』。
    これは、『君は月夜に光り輝く』のヒロインの渡良瀬まみずが病院の外に出られないので、彼女の行動がすごく制約されてしまっている。
     ここは凄く損していますね。せっかく病状を自由に設定できるのにもったいない。
     でも逆にそれでヒロインが恋する男の子にいろいろと「死ぬ前にやりたいこと」をやらせる理由になるのだからしょうがないか。

    ③ ヒロインの恋する男の子の魅力
     この点は、完全に『君は月夜に光り輝く』の岡田卓也君に軍配が上がります。
     彼のいろいろな悩みを抱えながらも、一途にヒロインの為に行動するっていうキャラクターは、『君の膵臓をたべたい』の【秘密を知ってるクラスメイト】君は足下にも及びません。ただ、ヒロインとの会話のセンスは『君の膵臓をたべたい』の彼の方が一枚上手です。(これは作者のセンスか・・・)。

    ④ ラブストーリーとしての魅力
     ラブストーリーとしては、『君は月夜に光り輝く』かな。
    『君の膵臓をたべたい』は「ラブ」までに至らない、愛のようなものという感情で終わってしまう。まあ、そこが胸キュン(←死語)で『君の膵臓をたべたい』の良いところなんだけどね。その点では『君は月夜に光り輝く』は正統派なので、お互いの愛を高め合うところまで描かれるので泣けます。

    という訳で結論としては、どちらの小説も好きです!って結果になりました。(おいおい)
    最近、こういうヤングアダルト系にはまってしまいまして、いい歳して困ったものです(笑)。
    ちょっと周回遅れで中二病に罹ったようなので、トーストかじりながら走ってきますね!

    • くるたんさん
      こんにちは(o^^o)

      毎回クスッと笑えるレビューをありがとうございます♪♪

      膵臓と比較されたレビュー、おみごとです!

      すごく参考にな...
      こんにちは(o^^o)

      毎回クスッと笑えるレビューをありがとうございます♪♪

      膵臓と比較されたレビュー、おみごとです!

      すごく参考になります(*≧∀≦*)
      2019/06/14
    • kazzu008さん
      くるたんさん、こんにちは!
      うれしいコメントありがとうございます。
      いや~お恥ずかしい限りです。
      でも、そう言っていただけると、もの凄...
      くるたんさん、こんにちは!
      うれしいコメントありがとうございます。
      いや~お恥ずかしい限りです。
      でも、そう言っていただけると、もの凄くうれしいです!
      がんばってレビューした甲斐がありました(笑)。

      でも僕なんかのレビューより、くるたんさんのレビューいつも素晴らしくて感動しています。
      特にこの前の『月とコーヒー』のレビュー。あまりに素敵すぎて、僕の脳内の読みたい本リストのなかで『月のコーヒー』が圏外からいきなり1位に躍り出ましたよ。
      ぜひ、また素敵な本の紹介よろしくお願いします!ありがとうございました!
      2019/06/14
    • くるたんさん
      いえいえ、ありがとうございます♪
      ほんと、kazzu 008さん♪は丁寧に作品を読み込まれているんだなぁって…。それがとても伝わってくるレ...
      いえいえ、ありがとうございます♪
      ほんと、kazzu 008さん♪は丁寧に作品を読み込まれているんだなぁって…。それがとても伝わってくるレビューで毎回読むのが楽しみなんです(o^^o)

      こちらこそまたよろしくお願いしますね(*^^*)♪
      2019/06/14
  • 素敵なお話でした。
    泣けました!

  • なげやりに生きる少年と、発光病という難病におかされた余命わずかの少女のラブストーリー。
    実写映画化されただけあり、小説ながらとても”映像的に綺麗”です。映画は見ていないですが、文章を追っていくだけでも桜、夜の街や海、学園祭、月夜に輝くヒロインの身体、空へのぼってゆく煙など、情景が浮かぶようでした。

    難病におかされた相手と出会い、交流を深めながら、最期のときをどう過ごすか……。いわゆる難病もののライト文芸で、大枠だけをとってみるとよくある話ではあるのですが、作者さんの死生観、宗教観が見える気がして割とこういうジャンルは好きです。
    あとがきを読むと、半自伝的小説でもあるのでしょうか?

  • 高校1年の男子が主人公
    「発光病」で入院しているクラスメートの女子
    との出会いが彼を変えた
    発光病で余命宣告された彼女の願いを
    彼が叶えていくのだが
    著者の言葉もあったが登場人物たちがちょっと
    変わってる感じはありました
    物語はうまくまとまっていました

    その後の話もでているようだが機会があったら
    読んでみたいです

  • わたしがライト文芸的な小説を読むようになったのは、この小説を読んでから。
    心理描写が巧みに描かれていて見事に泣きました。感情移入が半端なかった。苦しい、切ない。でも確かに愛はそこにあった。
    それほどに好きな小説のひとつでもありますね。オススメです。

  • みんなが泣いた、圧倒的感動がここに…
    大切な人の死から、どこかなげやりに生きてる僕。高校生になった僕のクラスには、「発光病」で入院したままの少女がいた。月の光を浴びると体が淡く光ることからそう呼ばれ、死期が近づくとその光は強くなるらしい。彼女の名前は、渡良瀬まみず。余命わずかな彼女に、死ぬまでしたいことがあると知り…「それ、僕に手伝わせてくれないかな?」「本当に?」この約束から、止まっていた僕の時間が再び動きはじめた。今を生きるすべての人に届けたい最高のラブストーリー。

  • 読み始めた時は、やっぱり私にはもう高校生+病気で死ぬ話(そしてライトノベル)は無理だと思ってサクッと読もうとしてたんだけど、終盤になるとちゃんと読みたくなっていた。

    宇宙の話。
    どんなものにも終わりはあって、地球だって宇宙だって終わる、そんなこと分かってるし、実際人間が生きてきた年数なんて宇宙の歴史から見たらほんの一瞬。だからいつ人間が滅びてもおかしくないし、あり得るだろうと思ってはいたけど、滅びるならじゃあ、生きてきた何かを残せば良い、残ると思っていたのだけど、もし地球ごと滅びたら確かに文化も言語も文献も、何にも残せない。そうなると人間が誕生した意味、存在価値は何なんだと問われると、答えられない。
    でもどんな些細なことでも「有る」のと「無い」のでは違うと思う。人間が生きているだけで、宇宙に何か作用しているんだって私は思ってる。

    ロミオとジュリエット。
    香山がまみずとジュリエットを重ねて泣くところ。この辺りから読んでいて悲しくなった。
    高校生が、ほとんど話したこともない好きな女の子が病気で死ぬからって、こんなに悲しむものなんだろうか。他人で、損得勘定もなく悲しんでくれる人がいるって、とんでもなく幸せ者だと思う。

    私は読んでいて、作者はもしかして似たような体験をしたんじゃないかと思っていた。だってそうじゃなければ、「生きてても死んでるような気がしてた」とか「生きているのが後ろめたい」なんて心情を描写できるだろうか。これは身近な人が(たぶんあまり納得できない形で)亡くなった人が考えることじゃないだろうかと思っていた。
    だからあとがきを読んで納得した。
    私にはそんな経験もない故にそんな考えに至ったことがなかったから。

    生きている人と、もうすぐ死ぬ人だったら、たぶんもうすぐ死ぬ人の方が引力が強いんだと思う。だから生きている人はしっかり自分の力で立っていないと、死に近い人に吸い寄せられてしまうんだと思う。死ぬと分かっていると、後悔や未練があるのに無理にでも無くさないといけないから、色んな意味でエネルギッシュになるんだと思う。それが生きている人から見たら、しかも生きる意味も分からず生きている人だとしたら、魅力的に輝いて見えてしまうのも無理はない。

    もしかしたらまみずは、卓也を引っ張ってしまうのかと思ったけど、ちゃんと卓也に生きる意味を与えた。自分の代わりに誰かが生きてくれることで、死んだら終わりにしない。この考え方はとても良いと思った。

    それにやっぱり、生きている限りは自ら死んだらダメだと思う。生きなければならない。1分1秒でも、亡くなった人が生きたかった命だと思うから。
    それに、死後の世界や輪廻転生などあり得ない以上、途方もなく長い宇宙の歴史の中で、気の遠くなるような確率で、奇跡の連続が起こって生まれてきた、貴重で、唯一無二の命だから。
    自分という命は、もう二度とこの先何が起ころうと、生まれてこないのだから。

    続編があるのか…どうしよう。

    20200524

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著者プロフィール

『君は月夜に光り輝く』で第23回電撃小説大賞≪大賞≫を受賞し、デビュー。

「2019年 『君は月夜に光り輝く (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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