八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 431
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048926775

作品紹介・あらすじ

本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
 ――透子。
 高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
 あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。

感想・レビュー・書評

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  • 時間遡行までして過去は変わることもなくウジウジした主人公が恋人の死をちょっと受け入れられるようになるだけ。

    人の死なんぞタイムトラベルもSFも物語もない現実の人間が何万と飲み込んでるんだ。甘ったれるんじゃない。

    SF的現象と物語の力を借りてやっと現実の人間並に過去を乗り越えられる男の物語なんぞに何の価値があるのだろう。

    最近、タイムトラベルなど超越的現象の恩恵を得て、ヒロインの死と向き合い、しかし現在は変わらず、主人公の内面だけに変化が起きてやっと一歩進むみたいな作品によく触れるが流行なのだろうか。
    悲劇が救われるご都合主義とも言われる物語への反発が招いた空虚な作品群に思える。
    現実は非情なことを知るのに小説なんざ必要ないんだ。
    世の中はご都合主義とはいかないから物語が必要とされるんだろうが。

  • 読んだ瞬間から夏という季節に引き込まれる。
    爽快感と切なさと、満足感に満たされる作品。

  • 天沢夏月先生の作品の中で一番泣いた話。
    展開は予想がつきやすい、と思う方も居るかもしれないけど
    先を考えながらでも少し期待を裏切ってくれる場面もあってとても良かったです。ピュアな恋物語と言えば、私の中ではこれが1位。

  • 感動するし、泣ける。
    でも展開が幼稚。
    どうなるか分かった上で進んでいく感じは苦手。
    中高生が読むのに丁度良い。

  •  泣ける物語。恋人が死ぬ、タイムトラベルっていう物語は王道だけど、心に刺さる。心臓の障害を抱える恋人に対してどう接すればいいのか自分でもわからないかなぁ
     無口だけど、娘のことを誰よりも考えている透子の父にまた感動した。透子は未来の成吾がどう諭しても少女を助けて死ぬ未来を選んだんだろうなと考えると切なく思う。
     終わりの成吾の心情の変化が自分とは違い理解できず、少しついていけなかったのが残念だった。
     

     高校2年生の夏にひとつ上の恋人、葵透子を海で喪った主人公の渡成吾は、高校を卒業し、上京から2年後にしてはじめて故郷を訪れる。透子の家を訪れ、昔のままになっていた部屋に入ると、昔透子と交わしていた交換日記がある。
     4年経っても透子を忘れられない成吾が「どうすればいい」とノートに書き込むと過去の透子から返事があり、成吾は山口と名乗り透子の命を救おうとする。
     しかし未来は変わらずに透子は死んでしまう。

  • 人が死ぬ話は悲しい。
    ありがちな展開なんだけど、涙が出た。
    結局未来は変わらずに終わるんだけど、出来たら生きて欲しかったなぁ。
    悲しいんだもん。

    本当に過去を変えたいなら、もっと詳細を話すべきだったと思うし、透子だって、どうしたら死を回避できるかもっと聞くべきだと思う。「生きたい」って気持ちが感じられないんだよ。
    なんかやっぱり不満。


    ***
    恋人の過去と繋がる一冊の交換日記。本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい…思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。―透子。高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。

  • いわゆる難病ヒロイン話。
    普通こういうお話は、出逢って恋に落ちてそして永遠の別れで幕を閉じるものだけど、本作では最初からすでにヒロインはなくなっている。
    でも、丁寧に過去の二人の道程は描かれるので、そこはいわば定番通りだ。
    ただ違うのは、過去のヒロインと繋がった交換日記を手にしたこと。
    このファンタジーのために、もしかしたらヒロインを救えるかもしれないという想いが生まれる。
    そこがこの物語のカギなのだ。
    ただ、そのカギをうまく使えたかというと……どうかなあ?

    読み終わって、なんだかもの足らない気分が残った。
    それはヒロインが救われなかったからということではなく、たぶん、必死さが足らないからだ。
    もし自分なら、好きだった人を救えるかもしれないとしたら、もっと後先考えず、もっと必死に、もっと懸命に、その可能性を掴もうとすると思うのだ。
    自分の正体を明かしてもいい。
    あらかじめ事故に備える対策を教えてもいい。
    その結果、現代がどうなろうとも、彼女を救えるなら、どうだっていいじゃないか。
    彼女が生きていてくれるなら、たとえ運命が変わっても、自分が会えないとしても、どこか別の世界線の上だとしても、生きている彼女がいる未来があるのなら、なんだってするだろう。
    そう思うのだ。
    そう言う意味で、必死さが足らないと思うのだ。
    精一杯あがいた結果、ダメだったのだとしたら、それはもう仕方ないと悲しいけれど納得するだろう。
    でも、これじゃあ納得できないなあ。
    そんな気持ち。

  • 2017.9.2 読了。
    Oくんに貸してもらった本。
    号泣後、設定が「きみ膵」に酷似していたことに気づく。ただ、ペースメーカーのこと、障害を持つことに対する当事者の気持ちなどは調べて描かれているなと感じた。
    交換ノートで過去と未来の2人が繋がるあたりは違うかな。

  • 相変わらず綺麗に整った美しい物語を描いている。   
    今回は特にラストの破壊力がえげつない。久々に目頭が熱くなった。   

  • 【それは、たった40日の恋だった――。青春小説の旗手・天沢夏月がおくる、純愛ストーリー】

     本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
     ――透子。
     高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
     あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。

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著者プロフィール

「サマーランサー」にて第19回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、デビュー。瑞々しい感性で描かれる青春小説に定評がある気鋭の作家。

「2020年 『17歳のラリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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