八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048926775

作品紹介・あらすじ

本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
 ――透子。
 高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
 あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。

感想・レビュー・書評

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  • 4年前、主人公で高校2年生の成吾は、夏のある日、学校の図書館で3年生の透子に出会い、携帯電話を持っていない透子との交換ノートのやり取りが始まります。そして成吾は透子に恋をします。本当に好きだった透子は、その夏、心臓の病気が原因でなくなってしまいます。地元から離れた東京の大学に通う成吾は、未だ透子のことを引きずっています。ところが、交換ノートを通じて4年前の透子とやり取りが始まります。交換ノートを通じて現在と過去がつながり、切ない純愛の物語に涙します。

  •  泣ける物語。恋人が死ぬ、タイムトラベルっていう物語は王道だけど、心に刺さる。心臓の障害を抱える恋人に対してどう接すればいいのか自分でもわからないかなぁ
     無口だけど、娘のことを誰よりも考えている透子の父にまた感動した。透子は未来の成吾がどう諭しても少女を助けて死ぬ未来を選んだんだろうなと考えると切なく思う。
     終わりの成吾の心情の変化が自分とは違い理解できず、少しついていけなかったのが残念だった。
     

     高校2年生の夏にひとつ上の恋人、葵透子を海で喪った主人公の渡成吾は、高校を卒業し、上京から2年後にしてはじめて故郷を訪れる。透子の家を訪れ、昔のままになっていた部屋に入ると、昔透子と交わしていた交換日記がある。
     4年経っても透子を忘れられない成吾が「どうすればいい」とノートに書き込むと過去の透子から返事があり、成吾は山口と名乗り透子の命を救おうとする。
     しかし未来は変わらずに透子は死んでしまう。

  • 時間遡行までして過去は変わることもなくウジウジした主人公が恋人の死をちょっと受け入れられるようになるだけ。

    人の死なんぞタイムトラベルもSFも物語もない現実の人間が何万と飲み込んでるんだ。甘ったれるんじゃない。

    SF的現象と物語の力を借りてやっと現実の人間並に過去を乗り越えられる男の物語なんぞに何の価値があるのだろう。

    最近、タイムトラベルなど超越的現象の恩恵を得て、ヒロインの死と向き合い、しかし現在は変わらず、主人公の内面だけに変化が起きてやっと一歩進むみたいな作品によく触れるが流行なのだろうか。
    悲劇が救われるご都合主義とも言われる物語への反発が招いた空虚な作品群に思える。
    現実は非情なことを知るのに小説なんざ必要ないんだ。
    世の中はご都合主義とはいかないから物語が必要とされるんだろうが。

  • 読んだ瞬間から夏という季節に引き込まれる。
    爽快感と切なさと、満足感に満たされる作品。

  • 成吾と透子の純愛っぷりが良かったですね。透子が亡くなってから四年経った今も彼女のことを想い続けている成吾の痛ましさと愛の強さに、とても胸にくるものがありました。交換ノートを通じて心が通じ合っていく二人の甘酸っぱさと切なさを存分に味わえた作品でした。透子を通じて心臓病を患うことの大変さも学べました。卓越した文章で紡がれる恋物語に号泣です。

  • 透子は既に未来の成吾と繋がってたのか。そこは考えてなかったな。最後の手紙、素敵だった。
    わたしが海で溺れてる人を見つけたら助けるだろうか?無理だと思う。目の前で助けれずに人がなくなるのは悲しくて辛いだろうけど、わたしは好きな人が生きて欲しいと思っているのならば好きな人を悲しませてまで他人を助けることは出来ないな。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00631751

    それは、たった40日の恋だった――。

    本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
     ――透子。
     高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
     あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。(出版社HPより)

  • 文章の描写がものすごく綺麗だった。そして最後の手紙が思いが届いて欲しくても届かないもどかしさがあって涙が止まりませんでした。

  • 今が8月ということもあり購入。
    とても病みやすい本で、すぐに読み終わりました!

    終始、波を連関させるワードが多用されており夏を彷彿とさせてくれました。過去の改変系のものは大好きなので面白かったのですが、本来泣ける部分がサラサラと流れるようなスピードで描かれていたので泣けず、この本のコンセプトの部分が崩れていたかなと感じた。もうちょっと段階を踏んだ描写や言葉が欲しかった印象。

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著者プロフィール

「サマーランサー」にて第19回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、デビュー。瑞々しい感性で描かれる青春小説に定評がある気鋭の作家。

「2020年 『17歳のラリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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