- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048929608
作品紹介・あらすじ
並木道の奥にある小さな広場では、未来や過去の自分に逢えるらしい――。その日、九歳の葉子の前に現れたのは、恋人と婚約したばかりだという将来の自分自身で……。
母親との衝突、繰り返す転校、上手くいかない就活、そして不安が押し寄せる結婚。
いつも悩んで涙をこぼしてばかり。だけど、そうしてめぐっていく時間の先に、「私」は幸せを手に入れたのだろうか?
それぞれの時代、五月の憂鬱な一日。過去と未来が入り交じるこの特別な場所で、私はいつかの私と向かい合う。
感想・レビュー・書評
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未来や過去の自分に少しだけ出会える不思議な広場、イチョウ並木の奥にある誰もいない「とけいじかけのプロムナード」。この広場で、小学4年生で9歳の葉子の前に現れた綺麗なお姉さんは、恋人と婚約した将来の自分自身です。そのお姉さんは結婚に対する不安を口にします。そして9歳の葉子も母親の転勤による引っ越しを勝手に決められたことが納得できていません。
この過去と未来が入り混じる場所で、主人公の葉子が9歳、13歳、21歳、28歳の時に、それぞれの時代の自分との向き合い、自分を見つけ成長します。
一人の女の子が幸せを見つけるあたたかいお話でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良かったなぁ。ホロリと。
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少女が大人になるまでに過去の自分や未来の自分と会う話です。
その場面ごとの風景が頭に浮かんできやすく、かなり読みやすかったです。
個人的には最後には感動できる作品でした。
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もともと天沢夏月さんの書く本が好きだからかもしれませんが、大学生になった私に響く甘酸っぱいような苦いような大人の青春小説でした。特に、後半の主人公の葛藤の部分を読んでいると、とても胸が詰まる思いがしました。よかったです。
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あと5年もすると還暦を迎えるおじさんには、響かないお話。
主人公のウジウジ感がたまらなく嫌。
思春期の少女ならば、あの手の悩みはあるでしょう。
なんで、それをすっと読者が咀嚼しなければいけないのか?
過去や未来の自分に会う。というシチュエーションもあまり活かされている感じはしません。
対象は、ヤングアダルトでしょうから、そのターゲットには受け入れられるかもしれないな。
ま、おじさんが読む話ではなかったということでしょう。 -
ヨーコは杏奈や月島と出会えてよかった。自分のやりたいことはわからないし、周囲の顔色を窺って自分の意見も言えなかったヨーコは杏奈と一緒にバレーボールでいい汗をかくことができたし、かけがえのない友達になれた。月島のおかげで自分の笑顔に出会うことができた。月島がヨーコを好きになってくれた。自分にとっての大切なもの、素敵なもの、好きなもの、逆に不要なもの、不愉快なもの、嫌いなもの──子どもの頃だったら即答だったかもしれないな。知っていることや世界も限られていたし。大人になると知識も世界も広がるけど、体裁や人間関係とかを気にして素直に言えなくなっているかも。いや、ヨーコと一緒でそれは言い訳で本当に自分が喜ぶこともわからなくなっているんだよな。大人になったら子どもの時よりも見聞も世界も広がったんだから、大切なものや素敵なものや好きなものでいっぱいになっていいんだよな。気がついたら不愉快なものや嫌いなもののほうが多くなっているんじゃないかな。ヤダヤダっ!小さくても楽しいこと、幸せなことをたくさん見つけていこうっと。
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青春物語の書き手である作者の、でもこれは青春ものとは違う、一人の少女の物語。
題名はもちろん「時を駆ける少女」に掛けてるんだろう。
そのタイトル通り、ファンタジー仕掛けの時を遡る日時計が登場する。
その日時計を使って、主人公がいろんな時代の自分に会って、何か事件が起こる話か、と思ったのだけど、違った。
これはちょっと自分に自信が持てなくて、要領が悪くて、すぐ後ろ向きになってしまう女性の成長物語。
いや、成長とは少し違うかな?
まあでも、そんな感じ。
正直、自分的にはちょっと微妙だったかな。
時を遡るのも4つの時間のうち、最初と最後の二つだけ。
しかもこの内容なら、敢えてファンタジー仕掛けにする必要はなかったんじゃないかな。
そういう意味では、せっかくの設定を効果的に使っているとは言えない。
主人公の性格も相まって、いつもの青春物語のようなワクワク感や爽快感がなかったのも残念。
とは言え、こんな、ある意味大人な物語も時には良い。
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一人の少女の物語。
なんやかんやありながらも、紆余曲折しながらも、悩みながらも、幸せな人生を歩んでいく。
羨ましい限りだ。
こんな人生にすら手が届いていないと思うと涙が出ますよ(´;ω;`) -
な、なんでこれ借りたんやろ?
絵に書いたようなソフトタッチのファンタジー。別に悪いわけじゃないけど、私の芸風に合わないな。