- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048936231
作品紹介・あらすじ
渋谷の夜を照らすアドバルーン。気球から下がる布には、夜の街を楽しむ人達のメッセージがつぎつぎと流れていく。
そんなメッセージの中に、「夜が怖い人もいるんです」という悲壮な呟きを見つけた、気球の管理人、横森佑。夜のにぎわいを守るため、呟きの主と待ち合わせると、やってきたのは一人の少女。それが、言葉を発せず、今にも消えてしまいそうな女子高生、咲良との出会いだった。夜の屋上に居場所を見つけた青年と、夜に脅える少女が、二つの月の下で出会う、儚い恋愛物語。
感想・レビュー・書評
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夜のバルーンを上げるバイトをする、非常勤教員。
夜が怖い、という人物と知り合う。
淡々と物語は進みます。
夜の主人公と昼の主人公が、同じように存在しているのに
背景で妙に印象が変わります。
知り合った人物と色々なものに触れ、感じて
そうして得られたのは、自信と喪失感。
ある事をただ見ている、という感じの文章ですが
そのせいか、最後には呆然としてしまいました。
だからこその行動だったのか、と主人公と一緒になって
納得してしまいました。
これが最後だと、思って生きていれば
後悔せずに生きていけるのですが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【「月が綺麗ですね」 漱石の愛の言葉で紡がれる切ない物語に、涙がとまらない。】
渋谷の夜を照らすアドバルーン。気球から下がる布には、夜の街を楽しむ人達のメッセージがつぎつぎと流れていく。
そんなメッセージの中に、「夜が怖い人もいるんです」という悲壮な呟きを見つけた、気球の管理人、横森佑。夜のにぎわいを守るため、呟きの主と待ち合わせると、やってきたのは一人の少女。それが、言葉を発せず、今にも消えてしまいそうな女子高生、咲良との出会いだった。夜の屋上に居場所を見つけた青年と、夜に脅える少女が、二つの月の下で出会う、儚い恋愛物語。 -
渋谷の空に浮かぶアドバルーンの管理人をしている横森佑。彼はアドバルーンの管理だけではなく、アドバルーンに流れるSNSから投稿されるメッセージの管理人(バルーン先生)でもあった。いつも通りアドバルーン管理のバイトをしていたある日、気になるメッセージが気球に浮かぶ。「夜が怖い人もいるんです」。佑とこのメッセージを投稿したユーザーの咲良は次第に会話をするようになり、やがて二人で会うことにもなる。
初読みの作家さん。夏目漱石や石川啄木らのフレーズを借りて、どこかポエミーな感じの文体だった。またSNSという現代の象徴と、アドバルーンという最近はお目にかからないものをかけ合わせているのが味があってよかったと思う。途中から若干オチが見えていたけれど、くどさがなくさらっと読めた。