悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 325
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048937948

作品紹介・あらすじ

「あなたを愛するために、ここまで来たんだもの」
美しい少女は、悪魔を背負う男と出会う。呪われた孤独の島で、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。

感想・レビュー・書評

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  • 紅玉いづきさんのファンタジーはおとぎ話のような雰囲気で、どんなに辛く傷つくことがあっても最後はなんとか大団円に持っていくイメージがあったのだけど、今回は大変力強いメリーバッドエンド。こんなありふれた言葉で表現してしまってよいのかと躊躇う気持ちもありつつ、これをハッピーエンドと呼ぶことは私にはできない。

    この二人には救いがない。遠からず壮絶な孤独が待っている。終わらない。なのに終わりのワンシーンだけ切り取るとほのぼのしくすら感じられてしまう。お疲れ様と労いたい気持ち、今二人の間にある穏やかな時間を祝福したい気持ち、でも確実に背後に迫っているだろう別れの時を考えずに居られない気持ちが綯い交ぜになる読了感。つらい。好き。

  •  宝石を文字にしたら、きっとこの人の各文章になるのだろう。そんなことを考えるような読後感だったと思います。
     切々とした口調で続けられる、身勝手さをぶつけ合う主人公たち。
     復讐を望むシュガーリアは、怒りを語っているはずなのに、語るたびに精錬されて軽く、ひどく美しくなっていく。
     最初に登場したとき、やんだように凍えて冷え切ったヨクサルの心には、その熱が映ったかのようにかすかに熱を帯びようとしていく。
     大切な人が踏みにじられて、一人ぼっちになった女の子の透き通るような怒り、静かな熱。
     当たり前に穏やかな日々と、それを踏みにじられきった悲しい街の姿。
     世界観だけしかない、といえばそうで。
     世界観だけで十分だと言えるほどの密がある、というか。
     うまく言葉を紡げませんが、シュガーリアが最後の最後に吐き出した、自分という存在の滑稽さと、滑稽さの中で貫いた熱情があまりにも切なくて真っ直ぐで、どうしてこの子はこんなに美しいのだろうと思いながら、ただひたすらに、この美しい子を踏みにじるすべてを殺してやりたいと真っ白な殺意になれた瞬間が、とても好きで。何度も読み返してしまいたいなと思う、そんな作品に出会えたことを、心から嬉しく思います。

  • 紅玉いづきさんの本は後半で面白さを巻き返してくる印象があったが、今回は巻き返しがなかった印象
    2巻に期待

  • 「さみしいヨ」
    愛など知らない男と、愛しか知らない少女が出会った時折、末路を迎えたはずの物語が動きはじめる。水銀糖の少女の、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。ーーーーー



    登場人物みんな、他人に心を寄せながら、自分勝手に生きている。背負う物語はそれぞれに凄惨なのに淡々としているのは、諦めにも似た覚悟なのかと感じた。そこにそうあった、それだけの。地の文は詩的でサラサラしているので深く読み込まずスルスル読める。宝石みたいな物語だった。冷たいけど覗くと温かい、キレイだけど冷え冷えしている、感じ。それぞれに孤独だったなぁ。

  • きれいで傲慢で甘いおとぎ話。シュガーリアの正体にはちょっと驚いたけど、ヨクサル側は掘り下げが浅いかな。島民たちや、白き聖者側も、淡々とし過ぎてて。凄惨なことが行われているのに上滑りしてる感覚。そういう効果なのかもしれないけど。今までの紅玉作品に比べるといまいち刺さらない。
    ラストでシュガーリアは王子の体に移ったってことは、少年の体になったのでは、と思ったんだけどエピローグでは少女の姿だね・・・?

  • 最後の死霊術師(ネクロマンサー)の孫娘。孤独を力にかえる悪魔を背負う男。愛する者と愛される者。死者の住む島。
    設定とセリフとキャラクターに魅了され物語に包囲される悦び。
    ファンタジーを味わい尽くせます。

  • ネクロマンサーの孫娘シュガーリアと悪魔憑きのヨサクルと異端審問軍と。
    悪魔の島で二人が出会って島を出るまで。

  • 2019/8/2(金曜日)

  • タイトルの水銀糖の意味が最後にわかるまで、主人公シュガーリアの秘密は秘密のままです。この辺の演出がいい。
    キュイエばばさまが好き。ばばさまの愛情の深さがわかるのも最後の方なので、再読した時のキュイエばばさまが最高。

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著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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