ショコラ

  • KADOKAWA
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本棚登録 : 313
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048970136

作品紹介・あらすじ

すべての人を幸せにしてしまう不思議なチョコレートを売る母娘の物語-本年度アカデミー賞五部門ノミネート、本年度ゴールデン・グローブ賞四部門ノミネート作品の原作小説。

感想・レビュー・書評

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  • スモーキーピンクのペンキでおおらかに塗られた壁。そこには「La Celeste Praline」黒い文字で描かれたお店の名前とロゴ。キラキラ金色に輝くのは「CHOCOLAT」のタイトル。
    か、可愛いすぎっ。久しぶりの装丁一目惚れ本でした。


    わたしたちは、カーニバルの風に乗ってやってきた。


    こんな印象的な一文からはじまる物語でした。
    閉鎖的な村でチョコレートのお店‹ラ・セレスト・プラリーヌ›を開いたのは「わたし」ヴィアンヌです。可愛い女の子アヌークの母親でもあるヴィアンヌは“他人の思いを読む力„がある魔女?かもしれない魅力的な女性です。甘くほろ苦いチョコレートの魔力と彼女の笑顔は、閉塞感漂う村の人々の人生に影響を与えはじめます。 
    たとえば、暴力を振るう夫の元で、うつむいて片手をみぞおちに押しつけて防御の姿勢をとっていたジョゼフィーヌ。盗癖まであった彼女がヴィアンヌと言葉を交わすようになってから、段々と前を向きはじめます。自立していく彼女の強さと美しさにハッとなりました。
    またヴィアンヌと同じような“力„を持つアルマンド。ラ・プラリーヌで孫のリュックと会えることになってから、益々チャーミングでパワフルなおばあちゃんになり、とうとう彼女が望んだ人生を最期まで貫き通します。いつかまたどこかでヴィアンヌと出会える日まで、彼女は風になっているんじゃないかなと思いました。
    大切な犬シャルリとギヨームもヴィアンヌに出会って変わっていったひとりで愛すべき存在です。

    また、ヴィアンヌ自身もこの村で自身の過去や母親との逃避行のような旅について思いを巡らせます。
    彼女に大切なものを授ける赤毛のルー。ヴィアンヌやアルマンドたちと知り合ったことで、尖ってた彼が甘い微笑みを見せるまでに変化したのはちょっとしたときめきものでした。
    逆にヴィアンヌを敵視するレノー神父。レノーには暗い影のようにぴったりと逃れられない過去の秘密が張り付いています。きっとヴィアンヌとチョコを疎ましく思いながら、実はいちばん執着していたのがこの人ではないかと思うのです。

    主人公はヴィアンヌなんだけれど、この小説には脇役なんて誰もいませんでした。ヴィアンヌが作ったちょっとしたきっかけを弾みに、それぞれが主人公となって人生を歩んでいます。
    自分の人生は自分が主役。他の誰のものでもないし、誰かに指図される必要はない。それがどれだけ大切なことか伝わってくるのです。

    ヴィアンヌはまた風に乗って旅に出るのでしょうか。それとも……。彼女のなかには、今までにない感情が渦巻いているようです。
    さて、今夜は特別(……と自分で自分に言い訳をしながら)ホットチョコを飲みながら、ヴィアンヌの未来をいろいろと想像いたしましょう。

  • 主人公と娘にスポットが当たりながらも、周りの人たちの描写もとても詳細に描かれていて、小さな村の狭い人間関係をよく表しています。
    チョコレートの表現に関しては、おなかがすいてしまいそうです。

  • ラ・プラリーヌの店内を表すかの様なチョコレイトと花の色や匂い。それらが小説の中一杯に満ち満ちている。絵本を読んでいるかの様な、色彩豊かな小説。
    チョコレイト色のクラシック調の町並み。パステルカラーの夢見がちな子供たち。モノクロームの神父と病室。頽廃的なコントラストの母親との記憶とタロットカード。

    非科学的な超上現象が、ごく穏やかで自然な形に表現されてしっくりと馴染む。
    柔らかでsweet&bitterなるコクのある味わいを齏して呉れる。
    隅から隅まで飾り付けられ、様々な味付けを施された飽きの無い噺。
    読みながら様々のチョコレイトを堪能している心地になる。

    アルマンドの撰んだ最期、レノー神父の成れの果てと末路。ルーとの一夜とその時の御腹の子。
    登場人物の生涯や変化の描写は、各々が滑稽で、何とも形容し難い満足感を与えて呉れる。
    誘惑等ではなく、人の本質をゆっくりと解して呉れる、ヴィアンヌのチョコレイトの魅力。否、魔力。

    黒い男はチョコレイトの魔除け効果に敗北し、ヴィアンヌの逃避行はランスクネの町を最後に終わるのだろうか。
    終わって欲しいと私は願う。
    根を張り巡らせる力を持たない彼女は、風に流されて彷徨い続けるのが宿命だとしても、
    新たな生命を母胎に宿した彼女が、其の錘で留まる事を。

    彼女の変化が、墓と成る地を定める事にあるのだと、無性に願いたくなった。

  • 好き。

    チョコレートと魔法ってあれだよね。
    どっちも溶けてく感じが似てるのかも。

    読んでると無性にチョコレートが食べたくなるから要注意で。笑

  • あらすじ(KADOKAWAより)幸せのチョコレートを売る母娘の物語ーー美味しくて暖かな極上の寓話!
    フランスのある村に小さな娘を連れてやってきたヴィアンヌ。彼女は娘のために放浪生活に終止符を打ち、この村にチョコレートの店を開く。村人は彼女たちに魅せられるが、それを苦々しく思うルノー司祭は……。(https://www.kadokawa.co.jp/product/200201000237/

    映画が好きすぎたので原作本を手に取った。
    大枠としてはジョアン・ハリスの『ショコラ』なんだけど、細かな設定の足し引きが結構なされていてかなり脚色されてるなと思った。
    映画の方がかなりマイルドだし、悪役とされるようなポール=マリー、ルノー神父にもどこか茶目っけがあり、(特にルノーには)救いがある。
    そういう意味では原作の方が人間の醜さみたいなのが強めに出ており、闇が深いところもある。まあ現実的なのかもしれない。

    ヴィアンヌが母から色濃く受け継いだ「魔女らしさ」も本の方が出ているかも。
    チョコレートだけじゃなくて、ちょっとしたおまじないやタロットカードを使った占いまで登場するし、彼女の特別な力も繰り返し登場する。
    映画にも共通するけど、このリアルとファンタジーの微妙な境界線のような世界観が好きです。

    ヴィアンヌとルノー視点で進む話なので、ルノー視点の時は言い回しがくどすぎて読むのが面倒に感じることもあった(ごめん)

    あとは本はアルマンドの存在感が大きかったね。映画では登場人物の比重をアルマンドから多少ルーの方にも置いた感じかな。

    なんとなく儚い幸せというよりもハッピーエンドが好きなので、どちらかというと映画の方が全体的に好みではあるものの、
    もちろんこの本がなければあの映画は生まれなかったし、あの好みだった世界観の裏話を知れた感覚で良かった。

  • 資料番号:010251981 
    請求記号:933.7ハ

  • 買おうと思っていたら注文できないと言うことで図書館で借りました。
    こんなに幸福な気分になれたのは久しぶりでした。
    作中に何度も登場し人々の体を温め心を落ち着けるホットチョコレートが羨ましい。

  • あまーくてお腹のすいちゃうけれどもとてもキュートな話だと思う、読んでてたのしい

  • ジョニデが出たファンタジー映画の原作!
    ファンタジーの香り漂う文章の心地良さと、ワクワク感がありながら、人間模様やそれぞれの登場人物の心の内が細かく描かれているところが、素敵!
    自分の人生も、考えさせられる一品!

  • 大人のビターな童話というイメージですね。

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