ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049120448

作品紹介・あらすじ

鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その店主は古本屋のイメージに合わない、きれいな女性だ。そしてその傍らには、女店主にそっくりの少女の姿が--。ビブリア古書堂の「その後」を描くシリーズ最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 栞子さんと大輔が結婚して7年が経ちました。
    二人の間には6歳になる娘の扉子ちゃんがいます。

    6歳にして、本を読みだすと周りが見えなくなってしまう扉子ちゃん。
    そんな性格は栞子さんそっくりです。
    栞子は扉子ちゃんにいろいろな本にまつわる人々の思い出話を語って聞かせます。

    第一話 北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋童謡集』(新潮文庫)
    ビブリア堂の常連客、坂口昌志、しのぶ夫妻の姪の由紀子と叔父にあたる昌志の思い出話です。

    第二話 『俺と母さんの思い出の本』
    智恵子の大学時代の友人の磯原未喜と亡くなったばかりの息子の秀実の思い出の本を栞子さんが捜す話です。
    いったいどんな本なのかと思ったらとても意外な本でした。

    第三話 佐々木丸美『雪の断章』(講談社)
    せどり屋だった志田と常連客であり文香と友人の小菅奈緒と年下の高校生の紺野裕汰の話です。
    青春ですね。

    第四話 内田百閒『王様の背中』(楽浪書院)
    舞砂道具店の三代目店主吉原孝二の話です。
    扉子の活躍?で悪事を働こうとした吉原がどんどん窮地に陥っていく、この第四話が話としては一番よくできていてミステリーとしても面白かったように思いました。

    エピローグ
    以下完全ネタバレです。



    大輔と栞子が捜していた本が、新潮文庫の『マイブック2010年の記録』だったというのは、ナイス!と思いました。
    八月前半のページは『漱石全集・新書版』、次々に現れた『落穂拾ひ・聖アンデルセン』『晩年』『クラクラ日記』『名言随筆サラリーマン』など大輔がビブリア古書堂で働き始めた年の記録でした。(なつかしい!)
    大輔は店で起こった出来事を『マイブック』に書き留めておいたのです。だからこの本のタイトルも『ビブリア古書堂の事件手帖』。
    作者と大輔にしてやられました。

  • ビブリア古書堂の事件手帖の新シリーズ
    って言っても新シリーズの2と3を先に読んでしまいました…(1がずっと借りられていて仕方なかったんです)

    内容はいつもパターンですね♪ハイ!
    本にまつわる事件が起きて解決していきます

    第二話の『俺と母さんの思い出の本』これ良かったです
    何がって!?
    こんな本も登場させるんだって思いました
    私も子供の頃はそれなりにゲームに夢中だったので、『誰でもタイトルを知っている有名シリーズの世界を救う冒険(たぶんドラクエ)』『ファイナルファンタジー』『聖剣伝説』なんかの言葉がでてきて、オラわくわくすっゾ!w

  • ビブリア古書堂の数年後。
    夫婦となった大輔と栞子の子供、扉子に話すように物語は進んでいく。
    それは古書を通じて起こる様々な人間模様。
    最後の章はあの因縁の者達との対峙も。
    栞子の名推理が変わらず。
    そして一段と逞しくなった大輔と無邪気な可愛さを放つ扉子。
    この親子と古書堂の新たな物語。ビブリア古書堂の事件手帖。
    また次作も楽しみです。

  • 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と不思議な客人たち』メディアワークス文庫。

    以前にも増してホッとするようなハートフルな連作短編集。『ビブリア古書堂の事件手帖』の後日譚である。

    栞子と大輔が結婚して7年……二人の間には6歳になる娘の扉子がいる。本作は母親となった栞子が娘のの扉子に本に纏わる様々な逸話を語り掛けるという趣向のようだ。栞子が扉子に語り掛ける四つの物語の中には、本と本の繋がり、本と人との繋がり、人と人との繋がりが描かれる。

  • 全7作で幕をと閉じたビブリア古書堂の事件手帖の後日談を描いた作品。
    結婚から7年経った栞子と大輔の間には、一人娘が誕生していた。
    扉子は母に似て、本が大好きで、まだ5歳ぐらいなのに、お店にある商品に興味津々。その扉子に今まであった出来事を話す、回想形形式で過去の出来事が語られる。
    本編では描き切れなかった作品を後日談で書くと、最終巻のあとがきにあったように、それをきちんと実現してくれた作品。
    本編では大輔視点と言う制限もあったらしく、今作では大輔以外の物語も描かれているのがいい。
    本編では話のスケールが大きくなり過ぎた感があったが、今作はサブタイトルを本編の第1作目に合わせているところから、また北鎌倉にある小さな古書店の物語が戻ってきたようで、あったかい印象を受ける一冊。

  • 7巻継続した「ビブリア古書堂の事件手帖」より時系列は7年が経過し2018年秋の現在、登場人物はそれぞれの年を重ね、大輔&栞子には一人娘扉子が誕生している。ルックスも本に対する情熱も栞子の完全なるコピー扉子…が、幼年であるがゆえ本を巡っての人間関係の機微には理解が及ばず…そんな扉子に母栞子が本を巡る様々な事件を話し紡ぐ…という構成をとっている。栞子が語るお話の合間に、父大輔の探し物を探す母娘が挿まれ、その回答もファンには嬉しい限りのものであった。以下短編ごとに…

    北原白秋「からたちの花 北原白秋童謡集」
    主要人物は坂口夫妻、第1作から登場している二人、特に視覚ハンデのある坂口氏の言葉足らずながらも優しさ溢れる人物造形に惹かれる。著者は実在の人物をモデルにしているのではないだろうか?

    「俺と母さんの思い出の本」
    シリーズの王道をいくストーリー展開、栞子の推理冴え、人間の小さな悪意と、誤解が融解した果てのささやかな幸せが同時に語られる。物語の展開よりも結末で明らかになったアイテムに感心した。本当に思い出の本だったのだ。

    佐々木丸美「雪の断章」
    最近復刊され多くの読者を得ていることを三上氏は知っていたろう、自分もここ数年のうちに読了している。主要人物は小菅奈緒と志田、「こわがらないで言ってごらん、どうしてもおまえの方から言わなくてはならないのだ」このセリフに凝縮された、若者が己を晒し一つ成長を遂げる物語、幸い「雪の断章」を読了していた自分にとって思うことは未読の方より多いだろう。あまり印象の良くなかった小菅奈緒に光が射した。

    内田百聞「王様の背中」
    主要人物は、かつてビブリア古書堂の前に辛酸を嘗めた舞砂道具店の現店主と扉子本人に篠川文香。物語のテイストとしては一番の好みだった、運命の皮肉、人生の皮肉、英国作家サキに通じる苦味。しかしながら店主の最後の毅然とした態度は、苦味を新たな一歩を踏み出さんとする人間賛歌へ反転させた。

    短編の語り手はそれぞれの主要人物からなり、もともと栞子が娘扉子に幼年でも理解が及ぶようにアレンジしつつ話している、という前提があり違和感は感じない。しかしながらかつての語り手は大輔の一人称だったのだ。大輔が置き忘れた「青いカバーの文庫本」が、彼と栞子が辿ったビブリア古書堂の事件手帖の顛末だったとわかり、7年前から語り手大輔、記録者大輔が2018年現在いまだに書き記し続けていたのだった。

    このオチ、この構成を三上氏はシリーズが始まった段階から考えていたのだろうか?読了後最大の関心事に囚われることとなった。

  • シリーズの、ほんとのほんとの一作目のサブタイトルが「栞子さんと奇妙な客人たち」で、似ているので、書店の平棚に積んであるのを見て、さて新刊なのかどうなのか?
    でも、こういう小さな女の子は前は描かれていなかったな~
    と、手に取ると、なんと栞子さんのお嬢さん!?

    海外出張に出かける大輔パパ(!)が空港から、置きっぱなしにした本を探しておいてほしい、という電話をしてきて、母娘で探すことになり、その合間に“ママ、お話きかせて”な感じで、扉子ちゃんに本にまつわる物語をする、という設定です。

    今までのシリーズでは大輔視点だったので、栞子さんはあくまで大輔さんが“こう思っているようだ”という描かれ方でしたが、今作は栞子視点が額縁で、その中に各章の主人公視点でお話が進むという作り。
    栞子さんが才気ばしった幼稚園児の我が子をちょっと厄介に思ったり、自分は子供の頃どうだったんだろう、母親の智恵子さんはどう感じてたんだろうなんて考えるのが、より血が通った人物になったようで面白い。

    “子供に話してもいい範囲で”話すので、あまり過激にならないのも特徴。
    貴重な本の取り合いで、一生治らない後遺症を負ったり、本を燃やしたり、というのはちょっと怖い部分もあったので…
    これから扉子ちゃんの成長にしたがって、だんだんとそういう“悪意”の部分も描かれるようになるのかもしれませんが…
    と、すっかり新章開幕気分で書きましたが、新シリーズが始まった、ということで良いんですよね?

    第一話 北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋童謡集』(新潮文庫)

    第二話 『俺と母さんの思い出の本』

    第三話 佐々木丸美『雪の断章』(講談社)

    第四話 内田百閒『王様の背中』(樂浪書院)

    そして、探し物の、大輔さんの本…ですが、素晴らしい落とし処でした!!

  • ビブリア古書店シリーズ、イロイロあるようですが、初めて読んだのがこの本でした。
    読んでいる途中で、「なんかおかしいな~」と思い始め、やがて「後日譚集なのかぁ~」と理解しました。でも、本編を知らなくてもスッと入れました。
    登場人物の心の襞を丁寧に描き分けつつ、ちょっとしたミステリも織り交ぜて、サクッと軽く読み終えられて、読後感も爽やかなのがヨイ感じでした。

  • 可愛い登場人物が増え、今まで事件で出会った人たちのその後を事件で描いた物語。
    本を通じて人との様々な出会いがある。
    ただ、ミステリーではないような…

  • 7巻までに登場した登場人物たちの後日談的ストーリー。
    みんなほんのり幸せでほんわかしました。

    それにしても篠川家は、女性しか生まれない。みんな同じ顔って、
    のろいでもかけられているんでしょうか。
    みんな栞子さんが好きになる的な。。

    • だいさん
      のろいでもかけられているんでしょうか

      このコメントすごくいい!
      のろいでもかけられているんでしょうか

      このコメントすごくいい!
      2019/02/15
    • AYUMUさん
      だいさん。コメントありがとうございます!

      褒めていただいて嬉しいです。照。
      たくさん、いいね!とコメントしてくださってありがとうございます...
      だいさん。コメントありがとうございます!

      褒めていただいて嬉しいです。照。
      たくさん、いいね!とコメントしてくださってありがとうございます。また次の読書に力が入ります。ありがとうございました。
      2019/02/16
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著者プロフィール

『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計700万部を超えるベストセラーとなる。同シリーズで、文庫作品初の『本屋大賞』候補、『本の雑誌』が選ぶ「この40年の書籍 第1位」に選ばれるなど、幅広い層からの支持を集める。

「2022年 『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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