私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.13
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  • (3)
本棚登録 : 1443
感想 : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049121117

作品紹介・あらすじ

突如失踪した人気小説家・遥川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった少女の存在があった。
 遥川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遥川が小説を書けなくなったことで事態は一変する。梓は遥川を救う為に彼のゴーストライターになることを決意するが――。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女、そして迎える衝撃のラスト! なぜ梓は最愛の小説家を殺さなければならなかったのか?

感想・レビュー・書評

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  • 哀しい話でした。
    読了してもう一度最初からページをめくりました。
    これは主人公の幕居梓の書いた小説だったのだと全部読んでから気づきました。

    梓は子供の頃から大好きな小説家だった遥川悠真を実際には殺していません。だけど精神的に追い詰めていました。
    作家としての才能のなくなった遥川は自殺しました。

    自殺したはずの遥川のゴーストライターとなった梓は生き延びました。梓は全然悲しそうでなく、なんで一読者の私が遥川の死をこんなにも哀しいと思ってしまうのか。
    これは作者の斜線堂さんのたくらみでしょうか。

    斜線堂さんのあとがきによれば「才能を愛された人間は、その才能を失った後にどうすればいいか」あるいは「誰かを神様に仕立ててしまった人間は変わりゆくその人とどう向き合えばいいのか」の話。だそうです。

    誰かが誰かを救おうとした時に発生する救済の責任の話でもあり、感情の為に最適解が選べない人間の話でもあるそうです。

    だから作者は才能のなくなった小説家を自殺へと追い込み、才能の豊かな梓を遺したのでしょうか。
    そうですね、反対の結末で才能豊かな梓が亡くなって小説家が生き延びていたらどうしようもない悪趣味な読み味だったかもしれないですね。
    ちょっと哀愁があるくらいの方がいいのかもしれません。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪
      読了おつかれさまでした。そして見事なレビューです!

      私はただせつない…それしか感じられなかったです。
      まことさん...
      まことさん♪こんにちは♪
      読了おつかれさまでした。そして見事なレビューです!

      私はただせつない…それしか感じられなかったです。
      まことさんのレビューでこの作品の奥に触れられた気分です。
      2021/08/31
    • まことさん
      くるたんさん♪こんにちは!

      この本はくるたんさんのレビューを拝見して登録したのですが、コメントするかどうか迷ってしまって。
      だいぶ、...
      くるたんさん♪こんにちは!

      この本はくるたんさんのレビューを拝見して登録したのですが、コメントするかどうか迷ってしまって。
      だいぶ、前だった気がするのですが、4月の下旬だったのですね(今、確認しました)
      こんな、ストーリーも何もない感想だけのレビューになってしまって、読んだ方は意味わかるのかとか思ったのだけど(^^;これしか書くことを思いつけなかったので、こんなレビューになってしまいました。
      ご紹介どうもありがとう!
      2021/08/31
  • 少女の愛は、あまりにも忠実で幼稚で残酷だった しかし救済でもあったのだ #私が大好きな小説家を殺すまで

    過酷な環境で育ってきた少女は、ある一冊の本と小説家に救われる。少女と小説家は創作を中心に、男女とも師弟とも言えない奇妙な情愛関係を築いていく。しかし小説家がスランプに陥った時、二人の関係性が徐々に変化していき…

    切ないよ
    少女と小説家の歪んだ関係、でもまっすぐな愛情が読者の胸をうつ作品です。

    作者はこのなんとも言えないズレた恋愛心情を描くのが本当にお上手。丁寧で優しい日本語でしたためられ、少女の価値観や行動が正しいとすら思えてきてしまう、なんとも手品のような文章です。
    また本作はほぼ恋愛小説ですが、ミステリー作家の手腕をいかんなく発揮され、物語にぐいぐい引き込まれてしまいます。

    そして本作の読みどころは、やっぱり二人の関係性。
    少女のまっすぐな愛情と献身ぶりが切なく、また小説家の苦悩とプライドが絶望的に悲しいです。つづられた独白は、小説であり、ラブレターであり、そして自身の次の行動への意思表明であったと思います。

    高水準で芸術性の高い小説の世界での魂のやりとりをしているのにも関わらず、あまりにも二人が幼稚で、ただただツライ…
    この二人がたどり着く未来は、もっと幸せなものにできなかったのでしょうか。

    純粋でまっすぐだった自分に戻りたい、そんなあなたにはおすすめの作品でした。

  • 初、斜線堂さんの一冊。

    想像以上に良かった。

    一人の小説家を愛する一人の少女が暗闇の中だけでなく真の世界でも小説家に救われた…そこから始まる二人の物語に瞬く間に魅了された。

    淡い感情が次第に濃く色づいていく過程、複雑な、二人にしか分かり合えない分かち合えない繊細な感情がもつれ合う様は文字が流れるように心に入り込みひたすら美とせつなさで震わせる。

    才能を愛されたのに…彼は弱くてズルい。

    でも少女を救う小説を描いたことだけは確か。

    二人の間に芽生えたのは救愛、救い合う愛。

    そう思うと複雑な色をしたせつなさがポツンと残る。

    • くるたんさん
      まことさん♪こちらにもありがとう♡

      初斜線堂さん、文章が綺麗だなぁっていう印象、惹きこまれた世界だったけどほんとそれぞれの心情を汲み取るの...
      まことさん♪こちらにもありがとう♡

      初斜線堂さん、文章が綺麗だなぁっていう印象、惹きこまれた世界だったけどほんとそれぞれの心情を汲み取るのが難しい作品でした。
      本格ミステリも書かれてるみたいでそちらも読んでみたいなって思ってるところ♫

      「罪の因果性」ありがとう♡ちょっと怖さもあるかな〜。
      私もまことさんの本棚から気になる作品発見!岩井俊二さん、読んでみたいです¨̮♡
      2021/08/31
    • まことさん
      くるたんさん♪
      岩井俊二さんはお薦めだと思います。
      レビューに今年のベスト1なんて書いてしまったけれど、苦情がきたらどうしようと思ってい...
      くるたんさん♪
      岩井俊二さんはお薦めだと思います。
      レビューに今年のベスト1なんて書いてしまったけれど、苦情がきたらどうしようと思っています。
      でも、岩井俊二さんの他の古い作品も読んでみようと思っています。
      2021/08/31
    • くるたんさん
      まことさんのオススメなら期待値上がります¨̮♡
      図書館探してみまーす。

      岩井さんは小説は初読みです。映画は「リップヴァンウィンクル…」を観...
      まことさんのオススメなら期待値上がります¨̮♡
      図書館探してみまーす。

      岩井さんは小説は初読みです。映画は「リップヴァンウィンクル…」を観て、すごく良かったなって思い出がありますよ¨̮♡
      2021/08/31
  • タイトル通り。

    虐待を受け、親に捨てられ
    自殺しようとしていた少女
    それを止めた小説家
    救われた少女は小説家と暮らし始める。

    神様のように作者を慕う少女
    素っ気なく振る舞いながらも
    愛情抱く小説家(うーん、今書いててもなかなかな奴だなぁ)

    警察に届け出てないというのもあるのだけど、違和感をいちいち捉えずに読んでいた。

    前読んだ作品の「中学生男子と大学生女子」の関係そうだけど、ギリギリアウトかもしれない関係性で進む話が多い作家さんなのかな?
    今回は「小学生女子と社会人男性」
    そして毒親も共通項

    「感情揺さぶられたい」ということも小説を読む理由の一つなのだが、この話は「タイトル」がまず先にあるので「何故そうなってしまうのか」を追ううち
    「なるべく感情を動かさないように読み進めようとしている自分」に気づく

    現実にこんなことがあるのかどうかは置いといて、悪いほうに行かないでくれと願い、読み終えないと気持ちが鎮まらない(どうにも心は動いている)
    どんどん読み進めてしまう。

    相手を好き過ぎて助けようとしている行動が相手を完膚無きまでに破壊し尽くす。
    壊していることに気づかないから
    「壊れてしまってる」と感じ、愛している者として終わらせようとする。
    うまく噛み合わないまま…結末へ

    あとがき
    作者さん自身が感じた疑問に対する答えを探すための実験のように物語を紡ぐ。飄々と「今回はこんな実験をしました」と語る感じがたまらない。

    どうしたらうまくいった?
    なんでこうなった?
    アイツ一番損してない?
    それともコレで良かったの?

    読み終わるまでが早いのに
    読み終えてから考える時間が長い。
    作者の答えを読んだはずなのに
    疑問(問い)を引き継いでしまった。

  • イベント後に失踪した人気作家遥川悠真の自室のPCに残されていた小説。そこには母親に日々虐待され、彼の小説だけが心の拠り所だった小学生幕居梓が限界に達して死のうとした時に偶然遥川に拾われて始まった奇妙な共同生活が描かれていた。そして現実では遥川のイベント中に梓が被害者となった事件も発生していた。遥川に心を守られ成長していく梓。一方創作の闇に堕ち這い上がれない遥川。救われた梓が今度は遥川を救おうとした事により起きたボタンの掛け違いがとても切ない。静かに淡々と描かれる関係の変化が破滅にしか向かいそうにないのもあってより儚く瞬く光が美しい。見事な共依存関係だけどある意味では純粋な恋愛小説だなと思った。ええ、好物ですよ。

  • 愛してたのは才能なのか人間なのか。

    前者なら「死んでくれ」後者なら「生きてくれ」

    のっけの一文でやられました。ほんとに斜線堂さんの書く作品って抉られる。メンタルに体力が必要だなって思います。

    敬愛か執着か。
    2人の関係はこれ以外では成り立たなかったのか、いや成り立たないところがこの作品の魅力でもあるんだろうけど。

    破滅しかないって分かっていても、2人の幸せを願わずにはいられなかった読者も少なくはないはず。

    先生が壊れていく姿が会話文で巧みに表現されているところや、梓の空回り具合がほんとに読んでて痛々しかった。

    救われたから救いたかったのに。

  • 『憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた。だから私は、遥川悠真に死んで欲しかった』

    この言葉の重みが、後半になると重くのしかかる。
    それでも生きてくれと願うのは、私だけなのか?
    遥川と小学生の梓との関係性が好きだった。でも梓は大きくなり、関係性も変化していく。変化するがゆえの悲しい結末だった。

  • 尊敬、理想、執着、愛情…作家の1ファンだった女の子が起こす事件。
    神様だと敬っていた存在が没落したらどうなるのだろうか…?それを側で見ていたら?
    神様の何に惚れていた?そんなことを問いかけてくる物語。
    愛って難しいね…

  • 才能がなくなった先生でも、自分を救ってくれたように先生のことを助けたくて生きて欲しくて梓は先生の小説を書いた。これが正解じゃないってわかっていてもお互いを壊して愛し合ってる2人の矛盾してる関係が切なすぎて泣きそうになりました
    愛してるのに殺したい。帯にも書いてある通り、この世で最も切ない殺人の物語
    いろんな方にオススメしたいです

  • 面白い。一気読みした。

    前半は今後の展開にワクワクしながら読むことができたが、中盤あたりから雲行きが怪しくなり
    終わる頃にはなんだか苦しいとさえ感じていた。

    才能って言葉は輝いてるし、それを活かせている人はどんな人素晴らしいんだろうと思う一方で
    その才能に苦しめられている人もこの世には沢山いるんだろうなと改めて感じた作品でした。

    いやぁ、、、苦しいなぁ、、、
    なんだか何もかも苦しく感じてやるせない気持ちで終わった作品だったなぁ。
    1つ1つの描写に込められた気持ち、苦しみを重んじながら再読したいな。

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著者プロフィール

2016年、第23回電撃小説大賞にて〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作『キネマ探偵カレイドミステリー』でデビュー。近著に『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』(メディアワークス文庫)、『コールミー・バイ・ノーネーム』(星海社)がある。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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