狼と香辛料XXI Spring LogIV (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049122008

作品紹介・あらすじ

湯屋をセリムたちに任せ、ホロとロレンスは娘のミューリを訪ねて旅に出ることに。たくさんの頼まれごとを荷馬車に乗せて、二人の旅はゆっくり進む。そんな中、立ち寄った町でミューリのとんでもない噂を聞いて――。

感想・レビュー・書評

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  •  本編終了後で一番楽しめたかもしれない。18巻から20巻までニョッヒラでの湯屋生活を後にして、再び旅に出ることになったロレンスとホロの物語。

     ベテラン臭漂うロレンスとホロが色々な悩み事を解決してゆく様も確かに面白いのだけど、旅先でピンチに遭遇してすったもだするロレンスとそれに呆れながらもフォローを入れるホロ、というハラハラするような構図は読んでいて非常に楽しい。
     とりわけ良かったのは「狼と旅の卵」。こんな読み心地の長編がまた読みたいなと思うけれど、長編は『狼と羊皮紙』を待つしかないかな……。

     また、あとがきにあるように、中世に関する文献からネタを引っ張ってきているとのことで、へー、そんなことがあるんだ、という発見も多くあった。今までの20冊の中でもあったことではあるんだけど、あくまで架空の世界の話として読んでいたので、そこまで意識していなかった。
     最近世界史や政治経済等の一般教養のおさらいをしようと思っている。受験生の頃は中世ヨーロッパというとあまり面白くないイメージもあったけど、ちょっと興味が湧いてきたかもしれない。

  • 背ラベル:913.6-ハ-21

  • 【感想】
    ・いつの間にか続編出てたことに気づいていなかった。ニョッヒラ以降のんびり気分で読めるシリーズとなった。この巻では久々に荷馬車の旅。やっぱりこうでなくっちゃ?

    【一行目】
     鉈を振り下ろしたように、眠りから覚めた。

    【内容】
    ・娘のミューリを探す旅に出るというホロとロレンスから湯屋を任せると言われたセリムの悩みと、夫婦の「賢者の贈り物」。
    ・ほぼ十年ぶりに二人だけの荷馬車旅に出たホロとロレンス。以前と異なるのは商売の旅ではなく旅を楽しむための旅のようなものであること。久しぶりの旅で火はおこせず、道には迷うが。
    ・森を伐採して金に変えるべきか守るべきかで悩んでいる領主に知恵を貸してくれと頼まれたロレンスはホロとともに森へ赴く。
    ・絵画の記録性に気づいたホロと、港町の鰊の卵先物取引と宗教家。
    ・ミューリがまだニョッヒラにいて十歳になった頃。

    ▼狼と香辛料と羊皮紙についての簡単なメモ(9巻~11巻、21巻)

    【諦める】《なにかのためになにかを諦めるなんてのは、本当は正しくないのだから。》21巻p.192
    【新しい村】人々をまとめる強力ななにかが欠けていることが多い。
    【アティフ】港町。北方の海賊たちからの防衛の拠点でもある。
    【アラム】セリムの兄。真の姿は狼。傭兵などをしていたが聖女伝説のある旅籠を営むことになった。
    【ウィンフィール王国】教会と仲が悪い。
    【エーブ】やり手で剣呑な女商人。すべてを憎んでいるようなところがある。元はウィーフィール王国の貴族で本名はフルール。
    【狼と香辛料亭】温泉郷ニョッヒラにある評判のいい湯屋。主人はロレンスという行商人上がりの男。おかみさんはホロといういつまでも若く美しい少女のような女性。
    【オーラー】エーブに商売の手ほどきをしてけれた商人。没落前からの知己であり、エーブの夫となった男の部下でもあった。
    【絵画】宝石を砕いて絵の具にして描くような代物。
    【キーマン】ルド・キーマン。ローエン商業組合在ケルーベ商館別館を預かる貿易商。
    【教会文字】教会で用いられる特殊な文字。ロレンスにも一部しか読めない。
    【ケルーベ】北と南が対立している町。
    【コル】ホロ、ロレンスとともに旅することになった賢く素直で健気な少年。皆が弟子にしたがるが本人的には将来は聖職者。後に湯屋の手伝いをし、ホロとロレンスの娘ミューリに振り回されることになる。ニョッヒラを出た後「薄明の枢機卿」とか呼ばれるようになったらしい。
    【ジサーズ】陸の孤島のような北の鄙びた寒村。
    【商人の言葉】省略されたものがいっぱいある。
    【スヴェルネル】ニョッヒラの近くにある大きな街。
    【スフォン王】ウィーフィール王国の王。ちと頭が堅そう。
    【セリム】「狼と香辛料亭」従業員。実体は白狼。ミスが多かったのは眼が悪かったからだとわかりロレンスがメガネをプレゼントしてくれた。
    【総督】細身で風格のある老人。元ルウィック同盟の大幹部で遠隔地貿易船を率いていたので「総督」と呼ばれていた。隠居後はアティフの鰊の卵の先物取引なんかで楽しんでいる。
    【デバウ商会】大陸北部に勢力を広げる大商会。
    【ドイッチマン】ウィーフィール王国、テイラー商会の商人。
    【鶏】去勢した雄の鶏は、雌の鶏よりも旨いらしい。なんて話をしたばかりにロレンスは鶏を買わされることになる。
    【ニョッヒラ】湯屋「狼と香辛料亭」のある北の温泉郷。シーズンは雪深い冬。
    【ノーラ】ある町で苦労していた羊飼いの少女。狼と羊飼いは仲が悪い。
    【ハスキンズ】ブロンデル大修道院の離れ的な場所の羊飼い。羊のことならば神よりもくわしいらしい。《旅の詩人が口にすれば単なる気障な台詞でも、ハスキンズが言えば真理の一言になる。》
    【パスロエ】ロレンスがホロと出会った村。ホロは長い間この村の守り神をしていた。
    【旅籠】アラムたちが営んでいる、聖女伝説のある修道院を宿泊施設にしたもの。その伝説の聖女はセリムのことらしい。
    【ハンス】エーブがフルールだった頃彼女をバカにしたような態度を取っていた商人。
    【ハンナ】「狼と香辛料亭」の炊事場を采配する女。実体は鳥。
    【ピアスキー】ラグ・ピアスキー。ルウィック同盟に所属する旅商人。
    【ビーベリー】近隣の領主。善人。
    【フルール・フォン・イーターゼンテル・マリエル・ボラン】エーブの本名。没落お嬢様。
    【故郷】わっちらには新しい故郷を作るなどという発想はありんせん。故郷は故郷。誰がいるかではなくどの土地かが重要なんじゃ。(byホロ)
    【ブロンデル大修道院】ウィーフィール王国にある有名な修道院。
    【ベルトラ】エーブがまだフルールだった頃の女中。エーブより一歳下。
    【ホロ】ヒロイン。人の姿のときは華奢な美少女、正体はかつてヨイツを治めていた巨大な賢狼。故郷に戻りたくてロレンスと旅している。麦の穂に宿る。後に湯屋「狼と香辛料亭」のおかみさん。人よりはるかに長い時を生きるのでロレンスが死んだ後は再び旅をするのかもしれない?
    【ホロの機嫌】よく変わる。が、理由のあることが多い。賢狼だから。
    【ミューリ】ホロとロレンスの娘。名前はホロの古い仲間から取った。天真爛漫で奔放。人の姿のままでも充分すぎるほどの野生児だが狼に変じることも可能。コルが宗教の道を求めてニョッヒラを出ていったら後をついていった。その後なにやら「聖女」と呼ばれるようになっているらしい。
    【ミリケ】スヴェルネルの顔役。悠久の時を生きる獣の化身。
    【ミルトン・ポースト】エーブがフルールだった頃取引相手となった、衣服を取り扱っていた商人。貴族出身でフルールは彼に少し惹かれた。
    【ヨイツ】ホロの故郷。
    【ルウィック同盟】大陸北部を根城にする商人の一団。30の貴族を後ろ盾にした十の大商会が統べている最強の経済同盟。月と盾の紋章旗を掲げている。ほとんど一国に等しい力を持っている。
    【ルワード】有名な傭兵団の長。
    【レイノルズ】ケルーベ「ジーン商会」の主。「狼の骨」について何か知っているらしい。ずっこい儲け方を実行していた。
    【ロレンス】クラフト・ロレンス。主人公。狼娘に翻弄される幸せな毎日を送る行商人。とはいかないか。後に湯屋「狼と香辛料亭」主人。
    【若い司祭】アティフの鰊の卵取引所を閉鎖すると宣言した。どうやらコル(薄明の枢機卿)に感化されているらしい。

  • 相変わらず激甘
    セリムさんが好きなキャラ

  • 6月7日読了。図書館。

  • 「ホロとロレンスのその後」の話も4冊目。
    いろいろありましたが、ホロとロレンスもようやくミューリとコル坊を追って旅立ちました。

    でも、そろそろお互い、親離れ・子離れをしたほうがいいんじゃないかと思うんです。

    シリーズは、ホロ・ロレンス組の『狼と「香辛料」Spring Log』と、ミューリ・コル坊組の『狼と「羊皮紙」』に別れて、再開後は交互に、というか、「香辛料」が出て、あまり間をおかずに「羊皮紙」が出る、という形で、どちらもこれまで4冊ずつ刊行されています。
    最初は「香辛料」側に未刊行の(短編としてどこかに掲載されたものの、文庫にはなっていなかった)在庫がそこそこあり、また「羊皮紙」もある程度書きためてからスタートしたからでしょう、順調な刊行ペースでしたが、在庫が切れてからは通常ペース(というか、スローペース。著者あとがきによると「狼と香辛料VR」を作っていたからだそうですが)にペースダウンしています。
    ところで、「香辛料」+「羊皮紙」で通常ペースということは、「羊皮紙」単独ではちょっと間延びした感じになってしまっているのです。

    もう一つ言えば「香辛料」は大団円の後のお話です。ホロの魅力は変わらないとしても、結婚して子供もいる2人の間にラブコメ要素はそんなにたくさんは持ち込めません。
    「こんなちょっとしたエピソードがあって2人の仲がいっそう深まった」ってお話ばかりではもうパワー不足です。大団円前のシリーズでもそんな中休み的な巻は4~5巻に1冊だったのに、今はそんな巻ばかり4巻連続してしまっています。そろそろ「羊皮紙」に合流して「羊皮紙」の中の一章としてホロ・ロレンス組に触れるか、各地で事件に遭遇するか、そんな展開を切望します。

    なお、今回「狼と旅の卵」で初めてミューリ・コルの尻拭いで事件に遭遇して解決する展開がありました。デリバディブも引っ張り出して、ようやく往年の「狼と香辛料」の香りを感じることができました。
    今後、さらに力が入った長編を読んでみたいなあ。

    以下、各話毎に一言。

    「狼と湯煙の向こう」
    残される側のセリム視点のお話。
    ホロとロレンスがお互いに相手に旅を続けさせるための理由作りをしているあたり、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思い出しました。
    ホロ・ロレンス組の旅も半年程度の物見遊山で終わらせるつもりはなさそうです。期待してます。
    馬氏や鹿氏には名前をつけてキャラ付けをするつもりが毛頭なさそうなので、主人夫婦が留守中の「狼と香辛料亭」が語られることはなさそうです。

    「狼と秋色の笑顔」
    道中、道を間違えて迷い込んだ森の中で蜂の巣取りをする話。文字どおりお荷物だった硫黄の新たな使い道を発明するおまけつき。
    …ではあるものの、上に書いたとおり、こういったショートストーリーにはやや食傷気味です。

    「狼と森の色」
    ホロに日記をつけさせるという着想は、Spring Logというサブタイトルの伏線を回収するとともに、シリーズ全体が実はホロの日記だったかもしれないというメタフィクション的な視点をシリーズ全体に持ち込んでいて、すげぇと思いました。そのホロが日記を書きすぎてインクが足りなくなりました、という話。
    ロレンスの機転でピンチをチャンスに変えるといういつものストーリー。
    ただ、ホロが日記を(まめに)つけているって設定は自分的にちょっと大事だと思うので、あまり小ネタ的には使って欲しくなかったり。

    「狼と旅の卵」
    先行したミューリ・コルが立てた波を追うホロ・ロレンス組が被った話。今後も「香辛料」と「羊皮紙」が別々に刊行されるんだったらこういう感じの話が増えてくるのかなあ。
    これまでと比べ、日記だけでなく絵姿も描いてもらいたいホロの欲求とか、劣化コピーが出てくるほどのコルの活躍とか、ようやく話が転がり始めた感じです。
    今はようやく先行したミューリ・コル組を追いかけ始めたばかりで間隔が開いていますが、大きな一つの事件を二組がそれぞれの視点とそれぞれの技能を活かして解決に奔走し、ラストでお互いがお互いの行動を知ってびっくりみたいな話も期待しておきます。

    「狼ともうひとつの誕生日」
    10歳になったミューリがコルのことをはっきりと意識したときのお話。
    似たような話をいくらでも量産できる作者の手腕には感心しますが、でもそろそろもっとずっしり腹にたまるお話を読みたいのです。

  • 狼と香辛料のスプリングログ4冊目。温泉宿は若い狼娘に任せて、熟男ロレンスとホロがコルとミューリに会いに行くという口実で旅に出る。ロレンスの老化が他人事に思えず目頭が熱くなる。まあ、携帯電話やネトのない世界で、往々にして伝説が簡単にできてしまうというのが描かれて面白い。ますます軽くなってきた感はあるが、読了感がよくてホワンとなる良いお話。

  • 回を重ねるごとにどんどん好きになってくる。物語全体を包むあったかい雰囲気がたまらない。

  • ・狼と湯煙の向こう
    ロレンスとホロが娘たちの様子を見に旅に出ることになり、宿を任されることになったセリムは責任感に押し潰されそうで毎日憂鬱だった。ロレンスは村の人から硫黄を大量に預かり、ホロは昔の仲間の情報を集め、どうも長旅っぽいのも気が重い原因だった。しかし、それらの理由がお互いのためを思ってのことであり帰る場所はここであることを知り、気が楽になる。
    ・狼と秋色の笑顔
    川沿いの関所から船ではなく陸の道を行き、道に迷って森の中へ。意図をつけた蜂を見つけ上等な蜂蜜がとれそうな蜂の巣を見つける。徐々に旅のころの勘を取り戻していくロレンス。
    ・狼と森の色
    途中の旅籠で紙とインクを補充しようと立ち寄る。コルの活躍の話を聞き、聖典の俗語翻訳を進めている影響でインクやペンなどが売り切れているという。融通する代わりに領主のビーベリーの頼みを聞く。森を伐採し高騰している木材として売り村の財産にするか、森の恵みを得ている今の状態を維持するかで揉めているという。木のこぶからインクがとれることに気づき、両方をうまく収める。
    ・狼と旅の卵
    港町アティフでは昔から鰊の卵の先物取引所がさかんであった。コルたちの影響をうけた若い司祭が信仰に反するので取引所は閉鎖だと宣言する。投資した金を取り戻すため、もし閉鎖したら娘たちの仕事を奪うことになる、先物取引所には司祭が聖女ミューリとコル坊の絵を飾らんとする絵を飾るからということで騒ぎを収める。
    ・狼ともうひとつの誕生日
    ミューリ10歳の誕生日。コル坊にひそかな憧れを抱いていたミューリは新たな決意をする。

  • いやあ楽しいなあ。
    なんという幸せ、なんという喜び。
    全編に幸せが満ちていて最高に楽しい。

    ホロとロレンスが再び旅に出かける短編集。
    湯屋の話も良かったけど、今巻を読むとやっぱり狼と香辛料には旅の話が一番だなと思う。
    そしてすでに幸せを掴んだ二人のその後の話は、まさしく笑いと幸せが溢れる湯屋のような、そんな物語。
    旅の途中のちょっとした困難も、さらなる幸せへのアクセントなのだ。
    ずっと彼らの旅路を見続けてきた者として、この幸せがとても嬉しい。

    特に、第一話の互いを想い遣って旅を続ける理由をお互いに用意する姿には、なんだか幸せで泣きそうになった。
    そして第四話でホロの姿を絵画に残す機会を得た瞬間にもグッと来てしまった。

    まだまだ続く旅が楽しみ。
    二人の物語をいつまでも見ていたいと思う。

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》を受賞し、電撃文庫『狼と香辛料』にて2006年にデビュー。

「2023年 『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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