17歳のラリー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049134650

作品紹介・あらすじ

「七月くらいにいなくなるわ」
十七歳の春。海外への留学が決まったという三年生のエース・川木の一言が、平凡な都立高校テニス部にさざ波を立てる。絶対的な才能を持つ彼に対し、抱えていても言い出せなかった仲間達の劣等感、葛藤、嫉妬、恋慕……。そして部を去ることを決めた、川木自身の本音。積み重なった様々な想いは、やがて最後の夏を前に連鎖的に爆発していく。高校三年生の等身大を鮮やかに描き出した青春群像。

感想・レビュー・書評

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  • 公立高校のテニス部に属するテニスの成績優秀な川木が、スカウトされてアメリカのプロテニス養成施設へ留学するという。
    その話を聞いた同じテニス部の同級生たちが、どのように思い、どのように川木と向き合うのか。嫉妬や憧れ、はたまた恋愛など今まで思っていたことを交えながら、部員5人の川木に対する思いをぶつけていきます。
    爽やかな青春小説の中に泥臭さも入った青春群像劇でした。

    内容としては、5人の部員それぞれにスポットを当てて、川木に対する思いが描かれています。時折、川木の心情もちょこちょこ描いていて、物語に深みが増していました。
    ダブルスの相手として、マネージャーとして、部長としてなど様々なポジションから描かれているので、多種多様な心情を楽しむことができました。
    特に個人的にはダブルスの相手としての立場が共感できました。自分自身も軟式ではありましたが、テニス部に所属していました。優秀な相手と組んだときは、勝利したら相手のおかげ、失敗したら自分のせいという文章には、ふっと思い出すものがありました。

    その他にも、高校生たちの心の葛藤、嫉妬などが渦巻いていますが、ドロドロ感はなく、サラリと青春群像劇に溶け込んでいて、後味スッキリ感がありました。

    5人の感情を剥き出してはいますが、最後は「仲間」として前へと飛び立つかのような描写でしたので、読後感は爽やかでした。

  • 17歳のテニス馬鹿
    祐吾は海外でプロ目指すほど実力がある
    強豪でもなんでもない高校に入学したけど
    部活メンバーに刺激もらいながら成長してく
    優吾の目線のストーリーだけじゃなくて
    部員目線のストーリーもあってうるうる場面あり!

  • テニスに真っ直ぐな高校生達の姿がとても素敵だと思った。
    川木くんの純粋な心が、みんなに大切なことを気付かせ、みんなが前向きになって良かったなと思った。

  • ほんの数年人生が重なった、同じ場所で、同じ出来事を体験した、その一瞬を3D撮影した作品。真っ直ぐに生きて欲しい。

  • さわやかな青春ものが読みたくて、たまたま本屋さんで手に取った1冊。
    競技は違ってもずっと運動部でやってきたからこそ、共感できる部分が沢山あって、胸が苦しくなった。

    私は、日々乃の話が1番共感したし、高校生の頃にこの本に出会って、エースとしての考え方をもっと深く考えたかったと思った。でも、高校生の時読んでも理解出来なかったのかなとも思う。高校生の時は、日々乃の気持ちに共感はできても、エースとして、背中に乗ってるものまではきっとわからなかった。
    だけど、今なら少しわかるから、きっと高校生の頃の自分は、少しでもこの背中に乗ったものたちを背負って戦ってきて、それを成し遂げたと思いたい。弱くて1回戦負けだったけど、自分もやれた、色々悩みながら、進んできたんだって今の自分の自信にしたいと思えた。

    最後まで、川木目線の話がないのもいいなと思った。周りが思ってた川木と、話したりプレーしてく中で、少しずつ変化していく川木。でもほんとに川木が考えていたことは、わからないからこそ、小説の中に入り込めたというか、自分も同じように部活をやってて、川木の周りの1人として読めた。川木以外は、それぞれの目線の話があって、同じ会話でも、実は考えてることが逆で、でもそれがお互いにいい方に影響を与えてて、最終的にみんな前を向いていた。

    今の自分は、この小説に出てくる高3生以上に「夢を見る時間」は終わりなのかもしれないけど、狭くなってしまっている選択肢の中でもちゃんと自分が納得する様に、少しでも高校生の頃夢に見てたキラキラした大人になるように頑張りたいと思えた。

    色々と将来について悩んでるこのタイミングでこの小説に出会えてよかった。この小説を読んで、過ぎ去ってしまった高校時代を懐かしむだけじゃなくて、自分が進むための1歩にできてよかった。


  • 自分と同じ学年の人の葛藤や悩みを描いた作品だった。一つ不思議だったのは、短編の主人公達と密接に関わり話の鍵となった川木の話がなかったことだ。作者の意図で川木の気持ちは想像して欲しかったのか。自分にはわからなかったので、ますます川木という人物が不思議になった。

  • sg

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著者プロフィール

「サマーランサー」にて第19回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、デビュー。瑞々しい感性で描かれる青春小説に定評がある気鋭の作家。

「2020年 『17歳のラリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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