戦争は女の顔をしていない 2

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049135954

作品紹介・あらすじ

500人以上の従軍女性を取材し、その内容から出版を拒否され続けた、ノーベル文学賞受賞作家の主著。『狼と香辛料』小梅けいとによるコミカライズ、第2巻が登場。

感想・レビュー・書評

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  • 前作を読んだ時も思ったが、こんなにも女性の兵士がいたことに驚き。

    このマンガに出会わなきゃ、知らなかった事実がいっぱいあると思う。

    背けたくなるような話もあり決して楽しい話ではないけれど知っておきたい話でもある。

    • ロカさん
      はじめまして、ロカと申します。
      ぜひとも、原作も読んでいただけたらと思います。
      彼女の著作は縁があり、チェルノブイリの祈りから読んでいま...
      はじめまして、ロカと申します。
      ぜひとも、原作も読んでいただけたらと思います。
      彼女の著作は縁があり、チェルノブイリの祈りから読んでいますが、あの視線の先にあるものをしっかりと私も見つめていきたいと思っています。
      ベラルーシでは戦前が戻りつつあるからこそ。
      2020/12/26
    • pさん
      ロカさん、コメントありがとうございます
      ロカさん、コメントありがとうございます
      2020/12/26
  • スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』のコミック化の第二巻。この巻は著者が執筆日誌として『戦争は女の顔をしていない』の冒頭に置いた「人間は戦争よりずっと大きい」から始まる。1948年にベラルーシで生まれた著者が子供時代を過ごした村には女しかいなかったという。親類の多くが戦争で亡くなっていた。男たちも、そして女たちも。しかし、戦争について知っている言葉は全て「男の言葉」で書かれていた。

    「それにしてもなぜ? 幾度となく自問した。女たちはかつて、男ばかりの世界で自分の地位を主張し、それを獲得したのに、なぜ自分の物語を守り切らなかったのだろうか? 自分たちの言葉や気持ちを。自分を信じなかったのだろうか? まるまる一つの世界が知られないままに隠されてきた。女たちの戦争は知られないままになっていた…
    その戦争の物語を書きたい。女たちのものがたりを。」

    と著者が書くとき、この本が書かれなくてはならなかった理由がはっきりとそこに表明されている。この文を含む原著の冒頭の章が、おそらくは絵にするのがとても難しかったのではないかと思われるにも関わらず、しっかりと第二巻の冒頭を飾っているのはとても素晴らしいことだと感じた。

    「「女が語る戦争」は「男の」それよりもずっと恐ろしいと言える。男たちは歴史の陰に、事実の陰に、身を隠す。戦争で彼らの関心を弾くのは、行為であり、思想や様々な利害の対立だが、女たちは気持ちに支えられて立ち上がる。女たちは男には見えないものを見出す力がある」

    そういった「女が語る戦争」は、もしかしたらコミックスという形式に向いているのかもしれない。

    そして、もし『戦争は女の顔をしていない』を読まずにコミックスを読んだ人がいたのであれば、『戦争は女の顔をしていない』を読まずにいられなくなるのではと、信じている。そして、『戦争は女の顔をしていない』を一度読んだ人は、コミックスを読んで、またもう一度その本を開くであろうことも。自分がそうしたように。

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    『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー
    https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032951

  •  第二次世界大戦で従軍していた旧ソ連の女性たちの証言集。そのコミック版の第2巻。
     買ってから1年近く積読状態が続いた。テーマがやたら重く感じるのは何故だろうと考えてみる。男と女の戦争に対する「目線」が違うからだと思う。男の側から見ると、「英雄」が求められ、更にそれを演ずることが求めれられる。女性の場合は、英雄ではなく「普通の女の子」でいたいのだろう。やはり戦争は女の顔をしていないのだ。

  • 戦勝国にとっての戦争とはなんだったのだろう?

    敗戦国に生まれた私はずっとそのことに拘り続けてきた。

    この著作はその答えを一部だけ与えてくれる。

    わかることはないのだから、永遠に。

    私たちが、今、この世界で生きていることはまだあの頃よりも良いのだと信じたいから。

    今回はアレクシェーヴィチがこの著作を書きかあげるために至った経緯も描かれている。

    何度も拒否されて、何度も原稿を返されて、それでも彼女は諦めなかったことに敬意を感じる。

    続きも出してもらえることを祈りつつ。

  • 自主的な検閲……。

    「その後もこのように一人の人間の中にある二つの真実にたびたび出くわすことになる
    心の奥底に追いやられているそのひとの真実と、現代の時代の精神の染みついた、新聞の匂いのする他人の真実が
    第一の真実は二つ目の圧力に耐えきれない」

  • 戦争体験は1対1で聞かないと、他者がいると話は無味乾燥し、かくあるべしになる。人間の内にある理解しがたい暗いものなのに、説明のつく話になる。作者は一人一人と会って、人が生きるとは死ぬとはどういうことかのか。一人の人間の中で人間の部分はどれだけあるか。という根源的なエピソードを飾らず伝えたいという。それは彼女が真のジャーナリストだから。勇敢な志願兵の話。村で乳飲み子を抱え、食べもののない苦境を生き抜いた話。ただ、彼女たちが語る戦争体験には日本人が語るそれと違う気がする。それは、自国に攻め込んだドイツ軍と戦ったから?戦勝国だから?

  • 池上彰さんが語るコミック版「戦争は女の顔をしていない」 若い女性にこそ読んでほしい本当の戦争文学|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13069876

    徹底して戦争と死について書く 沼野充義
    読む人・書く人・作る人(2020年11月号) - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/news/n37551.html

    戦争は女の顔をしていない 2 小梅 けいと:コミック | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000048/

  • 第二巻。描かれる、彼女たちから語られる戦禍の惨状は、ますますの苛烈さを増したように感じた。多分読んで知ったことのエピソードが私の中に降り積もっているのだと思う。
    長らく文通を続けていたというニーナさんに、インタビュー記事をまとめた原稿を送ったところ、訂正で埋め尽くされて戻ってきたという話が心に突き刺さる。
    どうしても戦いたくて潜り込んだ本部で、軍服を貰えないからと合切袋をほどいてスカートにして穿いたこと、上官の冗談に騙されたり、大尉の名前を忘れておじさんと呼んでしまったり、"乙女の心は燃えている"と詩に書くような恋があったり。
    お茶を飲みながら、親しく打ち解けて語ってくれたかけがえのない証言を記録したはずだった。
    けれどニーナの言葉は今や、「私は息子にとって英雄です。神さまです。こんなのを読んだ後であの子がどう思うか」。
    それを受けて「心の奥底に追いやられているそのひとの真実と、現代の時代の精神の染みついた、新聞の匂いのする他人の真実が。第一の真実は二つ目の圧力に耐えきれない」とアレクシエーヴィチは述べる。平和な場所で生きる蒙昧な私に言えるのは、でも決して新聞が読みたいのではないんだ、ということだけだ。

  • 戦車大隊衛生指導員であるニーナ・ヤーコヴレヴナ・ヴィシネフスカヤ曹長の話が印象に残る。
    若い女性が志願して前線へ向かい、激しい戦火の中で、必死に役割を全うする。
    生き残った本人が語る体験談も、必ずしも、事実とは言い切れない部分もあるようだ。聞き手に身内の男性がいることで、言葉が変わったり、実体験した生々しい部分は隠れてしまうこともあったようだ。
    体験談を聞く場面と、回想する場面とを行き来し、現代と当時の対比を表現している。
    この作品の行末をこれからも見届けたいと思っている。

  • いきなりでなんだが、この『戦争は女の顔をしていない』は、全く面白くない。
    もちろん、「面白くない」ってのは、「一切、笑える要素がない」って意味であり、漫画としての質が最低レベルって事は、絶対にない。むしろ、良い漫画だけが持つ「人の心を打つ力」は、相当に高い。正直な気持ちを言えば、この『戦争は女の顔をしていない』をニコニコしながら読み、スカッとした、と読了後に思える人間には近づきたくない。
    読むペースはそれぞれにしろ、憂鬱な気持ちになってしまう人の方が多いだろう。私も(1)を読み終わった時よりも、ズンッ、と来てしまい、感想を書くのが、こんなにも遅れてしまったほどだ・・・はい、そこ、それはいつもの事だろう、と言わない!!
    まぁ、私の事はさておき、読み手に「戦争の一面」を見せつけ、重苦しい気分にする、この『戦争は女の顔をしていない』だが、そんな漫画だからこそ、今、読むべきなんだ、と私は訴えたい。理由は、あえて言う必要はないだろう。
    決して、侮蔑する意図は含めていないが、小梅先生の画力がこのレベルであるのが読み手には幸いだ。「非日常」の代表格と言っても良い“戦争”に深く関わった女性たちが送った、凄惨かつ悲痛、時たま、転がり込む、ちょっとした平穏、そして、死に満ちた日常を、もしも、伊藤勢先生や西川秀明先生、また、西条信二先生などが描いていたら、発禁とまでは行かないにしろ、漫画を目の敵にしているお偉方に文句を言われていたに違いない。
    小梅先生の絵は、決して、グロくないが、戦場に足を踏み入れてしまった女性たちが直面した現実を、これ以上ないほど、鮮明かつ繊細に表現しており、ストーリーの破壊力を何倍にも強化している。改めて、ストーリーと絵の相乗効果ってのは凄まじいもんだ、と実感した。
    わざわざ、声高に言うような事でもないが、戦争それ自体は、間違っている。しかし、いざ、起きてしまい、巻き込まれ、逃げられなくなってしまったのなら、自分が死なない為に、敵と戦うしかない、抗うしかない、そして、殺すしかない。
    間違っているのだから、自分を殺そうとする相手を殺すのは正しくない、なんて事を考えている間に、自分が生きる事に必死な敵に殺されてしまうのだから。
    そんな言い訳をして、戦いの毎日の中で、敵の命を奪い、また、仲間の命を救えなかった女性達が、平和で幸福な日々の中で抱え続けている後悔と懺悔が、小梅先生の絵によって、読み手へしっかりと伝わってくる。
    永遠に続く不幸しか生み出さない、人間だけが犯す大罪である「戦争」、これを起こした者は、己の罪を償うべきだ。もっとも、誰かが責任を取ったところで、戦争の日々で奪われた命は戻らず、命を奪った苦しみも消えたりしない。結局、戦争は誰も幸せに出来ない。幸せになっている奴がいるとしたら、もう、そいつは人間じゃないだろう。

    この台詞二つを引用に選んだのは、重い、と感じたものなので。
    くそったれな、「地獄」と表現できないほどの毎日の中で、「死にたくない」ってだけで、敵兵の命を、仕方なく奪い続け、生きて帰ってきた人間だからこそ、口から出る言葉じゃないだろうか、これは。
    浅はかだ、と人からは嘲笑されるかもしれないけど、私としては、人間は生まれた時、幸せになる権利を、誰もが持っている、と思っている。
    他人から奪ったり、他人を傷つけたり、他人を殺したりするための手を持って、この世に産み落とされる者はいない、と思っている。
    中には、自分から、それを手放して、わざわざ、不幸になる道を選ぶバカもいる事実は否定できないにしろ、どれほど追い込まれても、幸せになれる権利を捨てない人間は、ちゃんと、幸せになるべきだろう。
    だから、生きる為、死なない為に敵の命を奪った人間であっても、銃を持たないで済む日々に戻ってきたのなら、幸せになって良いんじゃないだろうか。
    ただ、これは、生まれた時から平和な世界と日常にしかいない、温い人間の戯言。
    戦争を知っている人間は、ずっと、その罪を背負い続ける、自分で、そうする、と決めて。
    地獄からの迎えが来るまで、ちゃんと生きよう、としている女性達の姿に、胸が締め付けられながらも、人間として持つべき強さに尊敬の念を抱いたのは、きっと、私だけじゃあるまい。
    私ごときじゃ、彼女達の苦しみを取り除けないのは百も承知だから、せめて願おう、苦しみ続けた彼女達が、死んだ一瞬後だけでも、自分の事を自分で許せるように、と。
    どうか、もう、二度と、あんな戦争が起きませんように、誰も戦争を起こしませんように、そして、戦争の犠牲者が一人も出ませんように。
    「どうして、私に訊くの? うちの人と話したら? あの人は喜んで、思い出してくれる。指揮官や将軍の名前とか、部隊の番号とか、ぜんぶ、憶えているわ。私は憶えていない。私が憶えているのは、自分に起こったことだけ。私の戦争。まわりには、たくさんの人がいるけど、私はいつも一人っきり。人間ってものは、死ぬときは、いつだって一人きりだからね。どうしようもない孤独」(byマリヤ・イワーノヴナ・モローゾフ)
    「あたしんちの家族は、仲が良いの。いい家族よ。子供たちも、孫たちもいて・・・・・・でも、あたしはここで生きているんじゃない。あたしは、戦争の中で生きているの」(byニーナ・ヤーコヴレヴナ・ヴィシネフスカヤ)

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