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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784049148763
作品紹介・あらすじ
★第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作★
☆読書メーターOF THE YEAR2023-2024 ライトノベル部門第2位☆
瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一(かみすきよういち)。退屈な大学生活の最中、彼は野良猫の瞳を通じて、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里(ゆずのはみり)と出会う。
猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立することに驚くのもつかの間、『ミリ』が告げたのは衝撃的な『未来の話』。
「これから『よーくん』の周りで連続殺人事件が起きるの。だから『探偵』になって運命を変えて」
調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが……
「そっちの時間だと、わたしは、もう――」
死者からの手紙、大学の演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相──そして、嘘。
過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する、新感覚ボーイミーツガール!
デビュー作『わたしはあなたの涙になりたい』(小学館ガガガ文庫刊)は『このライトノベルがすごい!2023』(宝島社刊)新作部門1位を獲得。
超大型新人が電撃小説大賞の看板を引っ提げて繰り出す衝撃作!
みんなの感想まとめ
過去と未来が交錯するミステリーが展開される本作は、主人公の青年が猫の瞳を通じて他者の記憶を追体験し、未来を見通す少女と出会うことで始まります。大学の演劇部で起こる連続殺人事件を背景に、二人は運命を変え...
感想・レビュー・書評
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瞳を覗き込み過去を読み取る能力を持つ大学生・紙透窈一(かみすきよういち)。彼はとある事件をきっかけに、野良猫の瞳を通して、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里(ゆずのはみり)と出会う。過去の美里が告げたのは、これから始まる連続殺人事件の運命を、探偵となって変えてほしいというもので──。
猫の瞳を介しての、過去と未来のリモートビデオ通話!過去視と未来視が出会うボーイミーツガール!ここまででもキャッチーなつかみなのに、連続殺人事件の運命を変えるためにまずは演劇部に入部してね。どういうこと?!という場面転換に始まり、最後まで油断ならない仕掛け満載の物語になっている。
殺人事件の調査というミステリに加えて、演劇も謎とテーマに大きく関係してくる。演劇部の阿望(あもう)部長はキャラも胸毛も濃くて面白い。謎解きから演技指導までサポートをしてくれる美里との絆は深まるも、お互いが相手を助けるために秘密を抱えるドラマが切ない。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
ボーイミーツガール!ミステリ!SF(過去視と未来視)!演劇!恋愛!コロナ禍!館!とやりたいこと全部入れました感がすんごい!ライトノベルを注文したらデカ盛りがきてビビる(笑) ぼくはこういうの大好き。読み込むほどにそこも伏線か!となるし、演劇のことや作中作、即興劇のかけ合いなどもよく練られている。ミステリに終わらず、しっかりとボーイミーツガールとして終わるのもいい。
ただ、この作品が電撃文庫というレーベルの雰囲気に合うかと言うとうーん……。メディアワークス文庫のようなレーベルか単行本で出すのが適切かも?ライトノベルとして考えると、テーマを盛り込みすぎて、キャラが目立たなかったなと。それが犯人の意外性に繋がっていないし、警察なにしとんねん!とかツッコミどころは多い。そこを含めても、やっぱり魅せてくれる話だったと感じた。ぜひ春に読んでほしい一作。
p.56
「人を殺したら、それは“悪”だよ」
「わたしには未来が視える。その人が将来、五万人を殺す殺人鬼だとしても?」
僕は答えに窮した。
「……それは“善”かもしれない」
「本当に? その五万人が全員、五万人を殺す殺人鬼かもしれないよ?」
「後出しじゃないか」
「全てを知ることができない限り、後出しは永遠に続く。本質的に。どうしようもなく」
「……たしかに」
「結局、認知の限界が、倫理の限界なんだと思う。五万人の死者のことが見えなければ、ひとりの死者を生むことがすなわち悪になる。わたしには未来が視えて、よーくんには過去が視える。つまり認知が普通の人とは違う。だから倫理も違って当たり前で、わたしたちはきっと、自分だけの倫理を見つけていかなくちゃいけない」
「その“自分だけの倫理”ってのが、自己満足なんじゃないかな」
「“倫理”そのものが、そもそも自己満足なんだよ。だって、神様じゃないから。神様の認知のなかではきっと、人間の善悪なんて瑣末な問題でしかない。人間にできるのは、迷いながら、ベストを尽くすことだけ」
p.180
「自分自身もまた、自分の魂にとって他人なんです。わたしたちが自分だって思っているものは自分ではない。自分は自分に感情移入しているにすぎない」
p.252
「“間”もちゃんと演じることを意識するんだ! 音楽の最高傑作が何か知っているか?」
僕は首を横に振った。阿望先輩は言う。
「──“無音”だ。小説の最高傑作は“白紙”、映画の最高傑作は“暗闇”、舞台の最高傑作が“間”だ。空白と闇のなかにすべてがある。俺たちは時間と空間を汚して、最高傑作を台無しにしながら演じていることを忘れるな!」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『わたしは、あなたの涙になりたい』でガガガの大賞をとった作者の電撃文庫の金賞作品。
内容はボーイミーツガールもののミステリーです。
人や動物の瞳を見ることでその記憶を辿ることができる主人公と未来をみることができるヒロインが猫の瞳を通じて交信し、現在に起きている殺人事件を協力して解決しようというお話。
正直、設定が複雑すぎるのか、入ってこないなと思うところも根気よく読めば、理解でき、設定さえ理解できれば読む手が止まらなくなりました。
ミステリーなのでネタバレしないように書きますが、実は主人公とヒロインのお互いを思って水面下の駆け引きもあり、ただ、事件解決に向けて謎解きしてるわけでもないというのが面白いところ。
果たして、主人公とヒロイン、どっちが勝つのか。勝っても負けても切ない戦いがそこにはありました。
私が主人公、ヒロインの立場なら…やっぱり同じようなことをするのかなと。
過去と未来が現在と交わるとき、悲しくて切なくても幸せな未来を夢見ながら究極の選択に悩まされる主人公とヒロインの覚悟がとても羨ましく思える、そんな作品でした。
進んでいく未来は辛くても明るいものでありますようにと思いながら。 -
桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
https://web.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD202307000745
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B913/シ/
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〈僕らは薄闇の街へと、一緒に歩き出した。街には不気味なくらい人気がなかった。誰ともすれ違わない。まるでこの世界にふたりだけになったみたいに。ミリがそういう未来を選んで歩いているのだとわかった。〉
コロナ禍の真っただ中に東京にある国際仙庵大学に入学した紙透窈一は、警察官の拳銃紛失のニュースを聞いた直後に、銃声と女性の悲鳴を聞く。現実か夢なのか。境目の曖昧な感覚の中で、窈一は猫の瞳を覗き込む。世界が切り替わる。瞳を覗き込むことで他者の過去の記憶の光景を視ることのできる能力を持つ窈一はそこで、今までにない体験をする。過去の光景にしかいないはずの少女が、窈一に語りかけてきたのだ。「未来が視える」と言った少女は、これから起こる連続殺人について語り、「この運命を変えられるのは、あなただけなの」と告げた。
過去の視える青年と未来の視える少女の出会えて出会えないふたりの姿を、演劇部で起こる殺人事件を絡めながら描いた、とても美しい余韻の残る傑作です。ファンタジックなまなざしを持ったミステリとしても魅力的ですし、困難な状況を抱えたふたりが意外な形で重なり合う恋愛小説としても感動的で、過去と未来の時間軸の齟齬によって展開するSFとしても素晴らしい作品なので、ジャンルにこだわらず様々なひとに刺さる作品ではないかな、と思います。演劇にかける情熱なんかにもぐっとくるものがあります。
もう一度、言いますが、これは本当に傑作だと思います。希望の線を引くように提示されたラストに、あぁ物語が好きで良かった、と温かい気持ちで満たされました。 -
913-S
文庫(別置) -
大学の演劇部で起こる連続殺人を舞台にしたミステリー。演劇部員は誰も彼もがキャラ立っていて魅力的だった。
主人公は探偵役で他人の瞳から過去が見えるという能力がある。そんな中で出会った未来視ができる少女ミリ、彼女はこの演劇部や殺人事件とどう関わるのかと最後まで目が話せなかった。 -
猫の瞳を通じて、美里と出会った窈一が、演劇部に所属しつつ殺人事件の解決に乗り出すちょっと変わったお話。
詳細な資料に基づいた上で描かれたと思われる、作中で展開される様々な演劇が、比喩表現や地の文の表現力の良さと相まって非常に良かったです。
また、所々に現れる日常系ミステリーは、次々に予想外のポイントに視点が移ってゆく所が好み。特に、最初の火事事件は良かったです。
ミリとの対話、演劇、ミステリーの3要素が複雑に絡んだ作品で、視点の変化や登場人物の多さから読みにくさも有りましたが、独特の面白さを感じる作品でした。
ただ、ミステリーと残り2つとの絡み方が微妙で、犯人が誰か?の部分に興味を持って読めなかった、というのが正直な所です。
また、要素が多すぎてラブコメも描ききれて居ない印象でした。
もっと要素を減らすか、日常系ミステリーに留める等の方が良かったのでは?と感じました。
著者プロフィール
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