声優ラジオのウラオモテ #09 夕陽とやすみは楽しみたい? (9) (電撃文庫)

  • KADOKAWA (2023年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784049150728

作品紹介・あらすじ

「……このままでは、非常にまずいです」
 『ティアラ☆スターズ』のライブ第2弾は大成功だったものの、オーディションでは連敗中。焦りから仕事へ打ち込む由美子に担任教師が突きつけたのは、模試の結果。今のままだと受験も声優業も共倒れ!?
 加賀崎の勧めで学生生活へ専念する由美子。友人との勉強会や文化祭準備――久々の"青春"はとても楽しくて。
「こんな風に、演技のことを一切考えない期間って初めてでさ」
 素直に楽しむ女子高生・佐藤由美子と、不安を抱く声優・歌種やすみ。悩める彼女が目にしたのは、アニメもラジオも大活躍な千佳の姿で――。
 進路に、千佳との関係に。心揺れる青春声優ストーリー第9弾!

感想・レビュー・書評

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  • 高校の文化祭を主題にした回。
    受験勉強もあり、オーディションを休止して学業に専念するよう加賀崎から言われた由美子は文化祭で出店、演劇をすることになる。思い通りにいかず苦しい声優の道と比較して高校生活は楽しくて…
    オーディションには落ち続け、ライバルには前に進まれ、後輩には追い付かれて。苦しい声優の道と楽しい学校生活の対比が印象的な回。それはひっくり返ることはなく、大野や森ほどになっても声優の道は苦しいと言われる。「声優に安全圏なんてものはない」、「業界の先輩がどんどん少なくなり、自分が正しいか指摘してくれる人が減る」。この作品を読んでいると声優って本当にそうだなあと思うけど、これはどんなことにも当てはまることだと思う。年を取ると自分の意見や考え方を改めづらくなるというのもまさにこれで、常に向上心を持ち続けるということに帰結すると思う。それがすごくしんどくて難しいんだけど…
    それに対比される学生生活では、勉強はしただけ成績が上がっていくし、文化祭の出店、演劇の練習は楽しいしで、声優を辞めてしまってもおかしくないくらいの差があるように思った。千佳が危惧した演劇はどこでもできてしまうということは、演劇は趣味でもできるけど、声優は仕事しかないということだろうか。演劇はサークルとか部活とか同好会とか、趣味の範囲で楽しむこともできるけど、声優ってそういうのないようなあ…と。楽しく演技がしたいだけなら苦しい声優の道を進まなくてもできてしまう。だが、文化祭が終わり楽しかったと振り返るものの、由美子は声優の道を進むことを加賀崎に告げる。もし委員長が体調を崩さず、委員長と由美子で演劇をして同じように大成功していたらどうなっていたんだろうか。結構そこも結末に関わってくるんじゃないかと思った。千佳と組んで演劇をして、千佳の演技のすごさを感じたからこそ、こいつと一緒の道を進みたいという気持ちを強く持ったんじゃないかと思った。

  • 面白かった。エピソードが短くまとまっていて読みやすいし、楽しいエピソードじゃない部分でも主人公の強さのおかげであまり辛さを感じずに読める

  • 【Bookwalker】高校での成績を落としてしまった由美子が声優活動への取り組みを緩和して、受験勉強に注力しつつ『普通の高校生』としての生活に専念することになる今回です。いわゆる『真っ当な』高校生としての青春を送ることになった由美子が、そのことを通じて「声優」であることとこれからの自分の人生に真っ向から向きあうことになる。結果的に、そのことが"佐藤由美子"が"歌種やすみ”として進むことを心に決める重要な回であったと思いますね。続きが楽しみです。

  • えーっと、いくつか言いたいことがあって……。

    シリーズがひとつのピークを迎えたところで、転換点として前章と新章を繋ぐために(場合によっては、新章に向けて設定を微調整するために)インターバル的なエピソードを挟むというやつですね。
    1巻まるごと「声優」の話をしないという意外性を突いたうえで、じゃあ何をやるかと言えば、「学園祭」という(一般的に青春ライトノベルにおいては)意外性も何もないベッタベタな題材なんですが、この【意外性】×【ベッタベタ】の掛け合わせが、思いのほかピッタリ嵌まってました。
    全体的なことで言うと、直近の数巻が大規模なイベントライブに向けて高揚感をガンガン盛り上げていく話だったので、おそらくは落差を演出しつつ、あらためて由美子と千佳に「同じ学校同じクラスの高校生」の一面があることを再確認させる意図があったのであろう、「身の丈感」とでも言うべき雰囲気が一冊全体に徹底されていた。
    そうそう、『声優ラジオのウラオモテ』って、もともとこういうのが面白い作品だったよね……というのを思い出させてくれた。

    終盤、千佳の演技によって芝居が生き物のように変わる場面は、さすがに他の青春イベントを並行しながら、話の一部として学園祭の演劇の「身の丈感」のなかに詰め込むのは欲張りすぎだったかな。
    『スキップ・ビート!』の「DARK MOON」でキョーコが練り上げた未緒の演技だったり、『ガラスの仮面』の「ふたりの王女」のオーディションにおけるマヤの圧倒的な才能の表現だったりと、ここは多くの先行作品が思わせぶりな仕込みで読者の期待を煽りながらさらに上を行くべく渾身の展開をぶち込んでくる見せ場なだけに、見劣りする点もあった。
    これで、次巻か次々巻でさらにデカイことをやるための前振りだったりしたら、もちろんこの評価は喜んで手のひらを返させてもらいますが、どうなるでしょうか。

    さて、キモである由美子が「声優」と向き合う過程に関しては、前巻と今巻の間に発表された岬鷺宮『午後4時。透明、ときどき声優』で同じ声優業を題材として非常に趣旨の似ている話が描かれた。
    『午後4時~』が声優という仕事の「業」とも言える部分の迫力ある言語化に紙幅を割いたの対して、本作は由美子の日常的なスナップショットに軸足を置いて迫ろうとしたところが「らしさ」なのですが、そこが縮小再生産(=【既視感】と【スケールダウン】の掛け合わせ)に見えたのは、方向性は間違ってないのにタイミングだけ悪かったなぁ、と。

  • 表面的にはいわば文化祭編とも言うべきお話なのだけどその実、由美子が声優であることの意味を見つめ直すお話かな。

    作品クールの切り替えで声優としての仕事が途切れた由美子に受験勉強のこともあり加賀崎マネージャーからオーディションを控えるようにお達しが下る。
    初めて仕事を気にせず高校生活に没頭する由美子。
    文化祭の準備も重なって普通の高校生活がすごく楽しい。
    そこには声優の苦しさも嫉妬も焦りもなくて、このまま声優でない生活の選択肢もあることを彼女は知るのだ。
    自分にとって声優とは? 大学に行くこととは?
    そんな悩みに充実の文化祭を終えた彼女は、答えを出すことになる。

    ラストのその一言はわかっていても胸が熱くなる。

    そう言えば、がっつり一巻使って由美子を描くのは久々な気がする。
    決意を新たにした彼女の活躍を早くみたい。

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著者プロフィール

第26回電撃小説大賞《大賞》受賞作『声優ラジオのウラオモテ』がシリーズ10万部突破。

「2023年 『声優ラジオのウラオモテ #08 夕陽とやすみは負けられない?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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