私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない (1) (電撃文庫)

  • KADOKAWA (2024年1月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784049154412

作品紹介・あらすじ

 容姿端麗、学業優秀、スポーツ万能、金持ちの家に生まれ、超美人の姉妹までいる。順風満帆な人生を送る千秋には悩みがあった。
なぜか! ま~ったく女の子にモテない!
生まれてから一度も恋をしたことがない!
高校では心機一転、女子にちやほやされる日々を送ってみせる!
 そう誓った翌朝、目覚めた千秋は女の子になってしまっていた。自慢の外見を失ってしまった千秋は大ショックを受けるが、鏡で見た「わたし」の姿は、めちゃくちゃ可愛い!
 さっそく妹に見せびらかしに行く千秋だったが、女子にモテモテな双子の妹・楓の身にも、とんでもない異変が起こっていて――
 これは埼玉県が誇る美少女三姉妹の次女、千秋ちゃんによる――まったく恥ずかしくない堂々たる初恋の物語である。

感想・レビュー・書評

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  • これはきっと世界一恥ずかしく、いとおしい乙女の受難劇だ。

    ご芳名は聞き及んでいましたが、私自身は「伏見つかさ」先生の著作を読むのははじめてです。
    よって、そちらの観点からレビューを書かせていただきます。
    はじまりに二点ほど申し上げておくと、今回この作品でポイントとなるのはライトノベルの本領に立ち返ったかのような圧倒的な読みやすさ、それに続刊を重ねていくためには十二分となる期待感です。

    ちなみに、作品のジャンルには安定のラブコメのほかにいわゆる「TSF(後天的性転換を取り扱ったフィクション)」も入ります。先行作品はそれこそ色々あるのですがここでは紹介を割愛しましょう。
    それと、表紙を飾る主人公「八隅千秋」が辿る運命は「朝おん(朝起きたら女の子になってた)」してたというよくあるパターンですね。そちらに関しては導入を含め、奇をてらわない王道の運びでした。

    もっとも、TSFの一ファンとしてはもうひとりのヒロインに施された仕掛け、というか受難の方に驚かされたわけですが……。その辺については追々、述べてみようと思います。

    そんなわけでまずは一点目。
    先ほども触れた通り「TS(性転換)」ファンを吸い寄せるとっかかりの下、モチベ―ションが高かったということを抜きにしたとしても、非常にスラスラと読み終えることができました。
    これが二桁巻からなる代表作を複数持つ作家の実績なのでしょうか。きっとそうです。

    あえて情報量と主要キャラの数を絞った上で、シチュエーションから来るキャラの掛け合いが巧みだったからでしょうか。まずは主人公とヒロイン、一対一の関係に話を終始させたというのも大きい。
    結果として話の本筋がスッと頭の中に入ってきました。

    それでいて、TS的な見どころも結構押さえてくれていましたし今後が見逃せないと感じました。
    性転換を単にギミックとしてのみ扱う意図もなく、イロモノで終わらせるでなく。シリアスとコミカルの間を上手にたゆたう話の根幹に据えていただけそうです。安心して今後の展開も見守っていけそうでした。

    ゆえに、隠すようなことでもないのでこっちの方は書いておきますね。
    主人公の千秋は破天荒なマッドサイエンティストな姉「夕子」によって性別を変えられちゃいます。
    男だった時の姿は特に描写されていませんが、言動通り「残念な王子(モテない)」だったのでしょう。
    が、彼あらため彼女は持ち前のポジティブさを発揮、「初恋をする!」という目標に邁進します。

    この主人公、普通に考えれば何考えてんだおめーってなるところを自信過剰で押し切ってしまいました。
    周囲を巻き込み、流れを引っ張り込むのが主人公の証とすればきっとそうなんです、たぶん。
    男の時モテなかったからって理由で、こうもすんなり女の自分を受け入れ順応して見せるTS主人公、はじめて見ましたよ。この時点にして、同ジャンルでもオンリーワンな主人公になっちゃったかもしれません。

    ただ、そのくせして肝心なところで押しは弱いんですけどね。乙女の身体に精神も引っ張られてか弱さ、可憐さも発揮してくれます。なかなかに完成度の高い主人公兼ヒロインになってくれました。
    あとは、TSFでは定番のはじめての下着選びなどツボを押さえたシチュエーションはきっちり採用していましたね。加えて、肉体に振り回される精神というテーマを引き出せたのもTSF的に考えるとなかなか深い。

    ちなみに先述したもうひとりのヒロインに施された仕掛けの方ですが……。
    もうひとりのヒロインこと、千秋の双子の妹「八隅楓」の異変についての詳細はあえて伏せます。
    (まぁ、読んでいけばすぐ目に飛び込んできますがこれは私なりの配慮ということで。)
    そちらはちょっと扱いを間違えれば話が18禁の方に飛びそうと、別の方面でハラハラさせるシロモノです。
    無様で滑稽な面が強いんです。少なくとも年頃の女の子に背負わすにはあまりにも酷な十字架でしょう。

    ただ、その辺はやわらかく崩した言葉選びとコミカルなかけあいでうまく緩和してきた印象です。
    きちんと真摯にならなければならない場面ではその現象と向き合ってますし、決して軽々しく扱っているわけでもありません。下品に思わせず、一般向けの範疇に収めようという工夫を感じました。

    あと、伏見先生とタッグを組んで久しい「かんざきひろ」先生のイラストもほのぼの重点で巧みでした。
    周囲のモブ女子から王子様とも称される楓の硬質な魅力は完全には引き出せていないと思う一方で、女子の体のラインは顕著に描き分けされるなど熟練の絵筆さばきを感じました。
    「愛のカタチ」というには賛否が分かれるけっこう危うい題材を取り扱っていく上で、きちんと身体の自己主張はしますがピースフルなかんざき先生の絵柄は十全に仕事をなさっていることでしょう。

    そして話のクライマックス部分について。
    タイトルと人物紹介読んだ時点で話の核心は一目瞭然です。なんでしたら巻末の紹介文で思いっきりもうひとりの当事者目線からネタばらしされています。だからこそ楽しく読み進めることができました。

    つまり、わかっていた上でそのハードルを越えてきた出力にやられたわけです。
    体当たりで互いのすべてを吐き出しストレートに愛の言葉をぶつけ合う熱量にやられてしまいました。
    とは言え、ここでふたりが引き返せない一線を越えることはまだなくて――?

    インモラルと捉えられることに理解を示しつつ、今は水入りの小康状態を保って日常に戻ります。
    とは言え出し惜しんだ感じはなく、ここ一巻からさっそく作者が全力投球されたことは確かでした。

    以上。
    そんなわけで冒頭で述べた二点目の要素として。
    シリーズ化を念頭に置きながらも、おさまりが良すぎるくらいには一巻で出し尽くして見せたわけです。
    読者の心理を手玉に取り、続刊を望む方に寄せたことにきっとなりますね。

    さて、二巻以降はどう展開されてくることでしょう。私にはわかりません。
    ですが、きっと面白いと思った方はきっと正しい。私から言えるのは、本作はノリと勢い、すなわちパッションで細かいところは押し通しますが意外とテクニカルってことくらいなんでしょうけどね。

  • やはり今回のもぶっ飛んでおりました笑
    ラブコメ感を残しつつもコメディにも振り切れてて面白かったです!

  • 1時間半くらいで読み切りました(我ながら凄いスピード)
    ページ数も少なめで滅茶苦茶サクサク読めました。
    伏見先生、相変わらず兄妹での恋愛モノ好きだな……と思いつつも、とんでもない設定でもあるので、伏見ワールドの新たな一面を読んだ気分です。
    起承転結があまり感じられない作品ではありますが、今後ドタバタハチャメチャになりそうな予感がとてもします(笑)
    男性特有の現象についても語られるため、下ネタが苦手な方は不向きかも。
    個人的には女だから分からないことだったので、学びになりました(笑)

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著者プロフィール

電撃文庫『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『エロマンガ先生』著者。

「2022年 『エロマンガ先生(13) エロマンガフェスティバル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

伏見つかさの作品

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