あした、裸足でこい。5 (5) (電撃文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049155983

作品紹介・あらすじ

 ようやく辿り着いた、隣に二斗がいる未来。あれほど強く望んだのに、なぜかここには『彼女』だけがいない。
 誰もが笑顔でいられる、そんなハッピーエンドを目指して。巡と二斗は、最後のタイムリープに飛び込んでいく――。
 シリーズ完結! 駆け抜けたやり直しの果て、巡たちを待つ「あした」は。

感想・レビュー・書評

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  • 爽やかな青春タイムリープ物語でした!

    第一巻から、ずっと真琴ちゃんを置き去りにしてしまっていることが貴になっていましたが、彼女が救われるエンドにほっと一安心。
    タイムリープによって完全無欠の未来(※ ただし真琴ちゃんを除く)を手に入れた巡くんが、時間遡行の能力を手放しても、一度きりの青春を怠惰に浪費した最初の未来を選んだ行動が、とても丁寧に書かれていました。
    タイムリープを重ねて仲間たちと積み上げてきた時間は事実上消えてしまいますが、巡くんの記憶にその経験が蓄積されているからこそ、仲間を信じて敢えてバラバラの道を進むことができたのでしょう。
    選ばれなかった未来を進む人たちの切なさに思い至った点にも、巡くんの成長を感じます。

    かけがえのない恋人とともに、ふたたび仲間と友情を育んでいく明日が見える、希望にあふれたお話でした。

  • 二斗に未来への希望を持たせるこれまでのやり直しとは違い、真琴に起きる問題はかなり重い
    後輩の一家心中を回避するなんて、一般的な努力でどうにかなるものではない。これまでは二斗に相応しい人間になるとか、彼女の人間関係を改善するという手の届く範囲の問題だった
    でも、今回は巡の知らない場所で起きる悲劇をどうにかしようとする話で
    おまけに真琴がそのような袋小路に行き着く原因の一端を巡自身が担っているのだから尚更に対処は難しい

    巡は過去をやり直してでも二斗を取り戻そうとしたし、彼女がループして自分の可能性を駄目にしたと知っても関係を終わらせたりしなかった。巡はそれだけ二斗に深い愛情を持っている
    それは横から掻っ攫うなど不可能な想いの深さ。前巻にて、真琴は他者に表明する程の深い巡りへの愛情を見せている。これで巡の想いが二斗への一方通行であれば真琴の想いが叶う可能性もあったのかもしれないけれど、生憎と2人は両思い
    真琴の想いは深いだけに叶わない未来も受け容れられない
    そうなれば真琴は悲劇の未来へと突き進んでしまう

    巡と二斗ではどうしても届かない解決策。ここで五十嵐や六曜に相談する展開になるとは本当に予想外だったよ
    個人的な印象として、ループ物って時間を繰り返している点を明かさないからこそ、未来を知らない周囲と知っている自分の間でアドバンテージが生まれるという認識だっただけに、ループしている事実を関わった人間に明かしてしまうのは驚き
    また、それによって4人で新たなループを起こすのだから衝撃的でトリッキーな展開ですよ

    二斗一人では良い未来は掴めなかった。巡が協力しても真琴までは幸せに出来なかった。4人も集まればかなり効率的なループが可能なのでは?と思いきや、ここで前のループにおける知識を過度に使わないと取り決めるのは良いね
    真琴の心中という重い悲劇を回避しようとする彼らが、けれど自身の青春も忘れずに楽しもうとしているのは好印象。自分の幸せを忘れてしまった人間が誰かを幸せにするなんて難しいだろうし

    そんな4人だから2度目になる各イベントも楽しげだね
    何もかもが好調に進んでいる。だからこそ、それでも巡の想いが届かなかった展開はずしりと響く…
    そもそも巡も二斗も互いにを愛しながらループを繰り返してきた。今は真琴を助ける為に真剣に行動していても2人の根っこの部分は変わらない。その状態で真琴は誤魔化せない

    そうして行き詰まってしまった巡がした最後の決断。あれは果たしてどうだったんだろうな……
    個人的にはあまり賛同できない選択だっただけに、その流れで完結してしまった点をどう受け止めれば良いか判らなかったり
    ループを始める前に戻るという話であれば、それが巡である必然性は果たして存在するのかとか、また世界線がどうのという点を考えた時にこの選択は本当に真琴を救うものと言えるのかとか…

    青春のやり直し、その最後に生じた物語が青春と掛け離れたものであり、またその解決策も青春の否定に近いものであった事をどう受け止めれば良いかやはり判らない……

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著者プロフィール

第19回電撃小説大賞〈電撃文庫MAGAZINE賞〉受賞。同受賞作『失恋探偵ももせ』でデビュー。以降、電撃文庫・メディアワークス文庫で青春小説を中心に執筆。

「2023年 『あした、裸足でこい。3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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