- KADOKAWA (2024年6月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784049157796
作品紹介・あらすじ
伊藤亜和――彼女はいったい“何者”なのか。
父の日、X(旧Twitter)上にぽつりと投稿されたnoteの記事「パパと私」が瞬く間に話題となり、著名人の目に留まった彼女。
彼女の淡々とした語り口で紡がれる物事の数々は、我々の世界の解像度を少しだけクリアにしてくれる。
彼女のフィルターを通して見えている世界を体感し、彼女の一端に触れることが出来る、家族、人間、愛にまつわる珠玉のデビュー作!
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私の努力で報われたことなどなにもない。
だからせめて、この1冊目は愛してくれた貴方たちに捧げます。
私を信じてくれてありがとう。
互いの愛おしさに耐えられなかった私たちへ、言いそびれてしまったことが全て届きますように。
(「わたし」より)
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
人間関係や愛にまつわる深いテーマを扱ったこの作品は、著者の独自の視点から語られるパーソナルなエッセイです。彼女の淡々とした語り口は、読者を引き込み、知的で哲学的な考察を通じて世界の解像度を少しずつクリ...
感想・レビュー・書評
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曝け出してるな、とことん。正直な方だなという印象。話は好き好きあるが、引き込まれるものがあり
読み進める。知的で哲学的な考えにも惹かれた。やはり山口とメメの話は好きである。でもやはりパパと私かな。そしてミランクンデラ存在の耐えられない軽さは未読であったので彼女のおかげで読むことになった。この世界線が本を読む意義でもあるな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『引き出しが多い、おもしれー女』
伊藤亜和さん、めっちゃ失礼でごめんなさい。
でも心の底からリスペクトしての表現です。
ポッドキャストも聴いてます。
さくらももこみがあるというか、中央線沿いに住んでいた頃の星野源みがあるというか。
作中に"清濁併せのむ"という表現が出てくるのだけど、筆者の文章もこんな感じ。
これまで読んできたエッセイって、ゆとりや余裕があって丁寧な暮らしを匂わせていたりとか
時間とお金に糸目をつけずに旅と食を満喫してたりとか
浮世から数センチ離れてるような、庶民的とは言えない作品が多かったのだけど
今作は、大卒後フリーターとしてわかりやすくどこかに所属しているわけではない、何者でもない若者のむちゃくちゃパーソナルな部分を曝け出している日々のエッセイ。
実際、知らない怪しいおじさんの前で服を脱いでいる筆者。
かといって無鉄砲ではなく、もちろん下品なわけでもなく、むしろめちゃくちゃ知的。
静謐なのに、胸裏では箴言とも取れるようなことをたくさん考えている。
それがこの本一冊に、彼女なりの耐えられないくらい胸がいっぱいになるのに面と向かってはうまく伝えられない愛おしさとしてぎゅぎゅっと綴られている。
習い事を"習い事"としか書いてこなかったことでエンタメみが増すP128〜のチャプターに痺れ、時間が経つのを忘れてあっという間に読んでしまった。 -
「パパと私」が評判になってた というのを知らずに読みました。各界の著名人激賞!とあって なるほど!という感じでした。読んでもらうより 読ませる 文章がすごく上手い。結構 キツイ内容もあるのに さらーっと読めちゃうのが 不思議。巻末対談で ジェーン・スーさんが
文章は練習すれば上手くなるものだけど 世の中をどうみるかはセンスだと思う とおっしゃるのを読んで あーそうかーと納得。noteも覗いてみたくなりました。 -
▼「小説家志望の若い女性がSNSなどに書いた自分史的文章」が、著名人に激賞され、イッキにブレイクして本になった、ということだそうです。
▼従って、この本は自分史晒しエッセイです。多少ゆるいところもありましたが、それなりにオモシロく読み切りました、基本恐らく若い女性向けでしょうから、当方が大感動しないのはむべなるかなですが。
▼主人公というかつまりは作者の伊藤さんは、(創作をしていない限りは)恐らく関東圏のご出身で、お父様がアフリカ系の方で、イスラム教徒で、肌の色で言うと黒人さんである。お母様は日本人である。つまりはご両親が国際結婚で、いわゆる「ハーフ」。そして伊藤さん自身が見た目は「黒人さん」。なんだけれど、日本生まれ日本育ち日本国籍、日本語しかしゃべれない。
ありていにいうと、上記の特殊性と、そのお父様との葛藤がいちばんの「売り」なんですね。
▼そして、当然ながらかなり赤裸々に晒していらっしゃる(そうぢゃないと話題にならないでしょうね)。お父様はかなりの激情家のようで、かつイスラムの戒律に忠実なようで、愛が深い一方で、カッとなると暴力をふるう人だった。そして伊藤さんが思春期頃?に離婚した。伊藤さんは母親と暮らすことになった。以降はお父様は、どうやら近所で暮らしているようだけど、絶縁状態のよう。
▼伊藤さんは見た目が黒人さんですから、日本人の子供の社会ではいろいろ辛い思いもされたよう。それから、お父様もお母様も、「お金持ち」でもなかったようで。そして伊藤さんは大学生くらいの頃には「作家になりたい」と思う。そして恐らく外見もその頃にはエキゾチックな魅力?もあったようで、ご本人曰く「ほんのちょこっとだけモデルの仕事」もされたそう。大学を卒業するが、会社員になるのではなく、作家になりたくて、水商売など仕事転々しながら過ごす。そしてSNS(”note”というのかしらん)で自分晒しエッセイを書く。それがあるとき、お父様との赤裸々なあれやこれやを書いたものが、著名人に激賞され、イッキにネットで大ブームになる。出版社からホンにしないかと声がかかる。
▼ということだったようで、正直、本全体の半分くらいは「自分史エッセイの本を出せる!そのためにもうちょっとネタが要る!」という需要がありけりで書かれたもので、女友達との珍道中なプチ旅行記とか。そのあたりは、正直言って面白くはありません。
まあ・・・、若い人が「ワタシって、私たちって、ほらこんなにちょっとユニークなんですよ自慢」の延長に過ぎないような。
▼ただ、それらも含めて読ませる文章力は、これは上質なんだろうなあとは思いました。 -
最初は伊藤亜沙さんと勘違いして、変わったタイトルの本を出したんだなぁと思っていた。
紹介文を見て、あれ?違う?となって、一気読みしたエッセイでした!みたいな感想を見て、気になって購入しました。
彼女が有名になった「パパと私」から始まる。
個人的には、一周読み終わって「パパと私」に戻りたいなと思った。
伊藤亜和さんのことを何も知らずに、ここからスタートしてしまうと、間違った怖れを抱いてしまうような気がした。
ご本人は、きっと「怖れ」って何だよと思われると思うんだけど。メッセージを勝手に読み取って、読み間違えていたように感じた。
「演技をするには、今、自分の身体がどう動いていて、自分の顔がどのように変化しているのかを完全に把握しなければならない。それをコントロールしたうえで、覚えたセリフを声に出して、シーンの雰囲気を作る。たくさんの視線を受けながら演技をするには「自分の演技のために人の時間を使う」という度胸がいるのだと、何度かレッスンを受けるうちにわかってきた。その度胸がなければ「早く終わらせてしまおう」という気持ちに押し流されて、セリフの行間が潰れてしまう。」
ここ。あー、めっちゃ分かるなーと思った部分。
つまり、私は度胸がなくて「早く終わらせてしまおう」とする人間なんだと思う。
他にも「全部、自分のせいだと思って生きてきたから、社会やシステムが悪いと考えたことがない」という所も、割と自分とは反対で。
私は「自分のせいだ」と思いたくないから、「システムが変わればこんな想いをしなくていいのに」とブツブツ考えてしまう。
エッセイなのだけど、テーマというよりは人物描写が細かくて、一人称小説みたいな雰囲気がした。
この人が、どんなものをどんな風に言葉にしていくのか、確かに楽しみな気がする。 -
大切な方に買っていただいた本。
全く人物像を知らない方のエッセイを読むのは新鮮だった。
これまで、小説作品を読んだことのある作家や、芸能人のエッセイを読んできたので。
文章は上手で表現も面白いけれど、帯の「各界の著名人、激賞!」というほどの良さは、私には分からなかった。全体をとおしてちょっと暗い雰囲気。
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noteの記事「パパと私」が話題となった彼女は一体"何者"なのか__
俯瞰的で淡々とした語り口の中、感情の起伏を表すように文章が熱を帯びる箇所があった。何者かになりたくて、抗って、苦しみ、羨んだ...亜和さんの飾らない言葉が胸を打つ -
ジェーンスーさんがnoteの記事「パパと私」をXで紹介していたのをきっかけに著者を知りました。
登場する「山口」や「メメ」、同居する祖父母も魅力的だけどなんだか全体的に淡々と書かれた文章で読みやすい。表現力も絶妙で、今後の活躍に期待したい方です。 -
大事なものを宝箱から一つ一つ取り出して丁寧に並べたような、はたまた、愛おしい記憶と消えない一抹の淋しさからくる想いの丈を綴ったような繊細さと侘しさに強い余韻が残った、セネガル人の父と日本人の母を持つ伊藤亜和さんによるエッセイ集。
互いに愛情はあるのに10年近く会っていない父のことや、祖父母との暮らし、友達や恋人とのやりとり、少し厄介な性格ゆえに巻き込まれた危なっかしい体験のこと…。内容はとても多岐に渡る。
読みながらずっと、大正時代に書かれた中勘助の随筆風小説「銀の匙」が頭の片隅にあった。時代も文体も内容も著者の性別も属性も、そもそも文学ジャンルすら…ほとんど全てと言っていいほど違うのに、一冊を貫く、哀愁漂う愛おしさが共通している気がする。
でも、本作に時折盛り込まれる自虐的な話題や、時に冷たくすら感じるほどに自身のことも周囲のことも俯瞰的に描写しているところなんかは、いかにも現代的という気がする。
そして、「愛おしい思い出」が昇華・結晶化されたものとして表された中勘助の物語に対して、伊藤さんの人生は創作物ではなく、現在進行形で、それ故に、家族や周囲の人々への面と向かっては言えない愛情の発露だけでなく、渇望感もあるし、閉塞感も孤独感も、怒りすらある。
俯瞰的な冷静さと直情の両立という矛盾を孕んだ瑞々しい文体は、なんだかとてもクセになる。
本作のタイトルは、みなさんご察しのとおり、あのチェコの有名文学作品「存在の耐えられない軽さ」がもとになってます。
伊藤さんがこのクンデラの代表作に出会ったきっかけのエピソードも本書には収録されています。
さらりと読めるので、興味を持った人にはぜひ読んでみてほしい。
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【感想】
引き込まれるような文章、ど同時に湧き上がってくるモヤモヤ…。
これの正体は嫉妬だ。
やめておけばよかったのに、途中でうっかり自分のnoteを見返して比べてしまい、自分の文章の稚拙さを勝手に浮き彫りにして凹んだ。
書籍を出している彼女と比べるなど、傲慢甚だしいのだが、一度モヤモヤに心を覆われてしまえば、もう晴らすことはできなかった。
もう2ヶ月早くに読んでしまいたかったな、noteを始める前だったのに…とタイミングを呪う。
これからも気になって読んでしまうのだろうな、亜和さんの文章。
「人を判断する力が弱い」という彼女の特性が、エッセイの魅力を引き立てているのだろう。
【心に残ったところ】
◉ "私の周りで何かが起きているとき、私は確かに観測台から降りていると思う。みんなと同じように言葉を話して、たまに取り乱したりもして、それからすべてが終わればまたひとり静かに観測台に上り、物語としてまとめる。観測台の梯子を上るうちに、ポケットに入っていた怒りは憎しみはポロポロと地上に落ちてしまって、物語の上には楽しかった記憶やその人に向けた愛情や、切なさばかりが残っている。大好きだよ、長生きしてねと、そんなことだけを祈りながら書く。"
【きっかけ】
ポッドキャスト「Over The Sun」でスーさんが、「Twitterですごい人を見つけた!!」と言っていて気になったので図書館で予約。4ヶ月待ちだった!!! -
亜和ちゃんが出版区で、
「知らない人の知らない話読んでなにが面白いの?笑」って言った時から私はこの人に興味が出た。
私の長年のプチコンプレックスに同意する人がこの世にいたなんてと感動すらした。
どんなにおもしろいと言われてるエッセイでも、その人に興味が持てないと私は途中で挫折してしまう。
亜和ちゃんのことを知りたいと思ったからか、この本は一気読みでした。
言語化できない感情や現象を表現するのが上手な人。わかる〜と異世界…!が混在する人。 -
赤裸々なんだけど露骨すぎなくていい塩梅。という感じの読了感だった。
現代っ子の人の頭の中ってこんな感じなんだなぁと思いながら読みました。腐りかけだけどなんとか持ち堪えてますよ的なちょうど良さが好き。
登場する友達や元カレも突き抜けていてその人脈たるや、やや憧れさえ抱くような面白さがある。
いい意味での口の悪さも水たまりに浸るような孤独感も持ちながら私ってどう生きるの?って話してるようなメッセージ性もあって私はサラリと読んでしまったことを悔やむくらい何度も読めばもっと感じ方も変わる作品なんだと思う。文庫本がでたら買うと思う。 -
2024.10.18発売の雑誌『CU』の書評コラムで紹介させていただいた1冊。自分の人生がこれからどうなるかわからない、自分のやりたいこともできることもわからない——そんな漠然とした不安を抱えながら生きてきた経験と、その時々考えたことを赤裸々に、ユーモアたっぷりの文体で綴っている。
飾っていない伊藤亜和さんの人柄に触れるたびに、ポジティブにさせてくれた一冊だった。僕も自分の身に起きた面白いことや楽しいこと、悲しいことさえもこんな風に綴れたらなと思う。 -
ジェーンスーさんがラジオでおすすめしていたので、読みました。
綺麗な文章なのに、なぜかSNSか動画コンテンツを見ているみたいに軽く読めるところに、人に読ませる文章を書き慣れているなと感じました。SNS世代だからか、これが文才というやつなのか…
内容は、素直に赤裸々に日々の出来事を書かれています。私もそう思うことあるある、と代わりに表現してもらったと思う部分が多かったです。
スーさんとの対談でも書いていたけど、私も外れ値的な立ち位置で育ったからかな。
これからも文章を書かれるのであれば、彼女の世界観がどのように変わっていくのか、見ていきたいと思いました。 -
絶妙—
この本を読み始めてから最後まで一貫して私が感じたことである。
日頃から私は人の気持ちや感情は白黒ではなく白と黒の間のグレーゾーンにあると考えているが、伊藤亜和さんはそのグレーゾーンを自由に動き回り、我々では言語化できない気持ちや感情をドンピシャで表してくる。
だから、読んでいると妙に心地よさを感じるのである。
読んだ人が「そうそう、同じこと思ってた」、「そうそう、こういうこと言いたかった」と言っているのが聞こえてくる、そんな本である。 -
作中でも書かれていたけれど、普段は友人と軽口を叩いたり、喧嘩して癇癪を起こしたりと喜怒哀楽の中で生活している亜和さんが、「書く」となるとそこからすっと観測台に上り、客観的な視座から思索を広げていく様が面白くて魅力的だった。
ところ構わず不機嫌を撒き散らす人とは違って、信頼し合ってる仲で、こんな風に理知的な人が自分にだけ不貞腐れた顔を見せてくれたら、確かに愛おしくなってしまうだろうな。とご友人の山口さんにも思いを馳せる。 -
ペンの力。楽しいとか心地よいだけじゃない一冊だった。育ってきた環境、家族、学校、社会、全てが似通った人なんていない。
それでも共感する何かを、ペンの力で、文章、言葉、エピソード、その時の感情を表現することで他者、読者に伝わるってのはもうとんでもなく凄いことなんだよな。
父親との関係って、本当に難しい。私にとっては、年々難易度が増している。これを読み切った今日も、なんとも言葉にできない嫌悪感を感じて、できるだけ距離を置きたいと思ってしまった。
作者が10年会ってなくても「親孝行したい」と思えるのは、何がそうさせるんだろう。しょっちゅう会っている私とは全然違う感覚なんだとは思うけど、何かどこかで同じ色の成分が混ざってるように感じられる本だった。
出てくる人がみんな素敵。それは文字を通しているからだろうし、私の脳内で美化して想像しているからだろうけど。
とてもいいエッセイを読んだ。妻にもすすめる。
ありがとうございました。
著者プロフィール
伊藤亜和の作品
