春夏秋冬代行者 黄昏の射手 (8) (電撃文庫)

  • KADOKAWA (2024年12月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784049158618

作品紹介・あらすじ

「夜を統べる者。その神名は――」
 世界に安らかな朝と夜を授ける為に三百六十五日空に矢を射る者。神の御業を託された『巫の射手』。
 大海原に浮かぶ大和と呼ばれる列島の国では、射手はこう呼ばれている。
 朝を齎す者、『暁の射手』。
 夜を齎す者、『黄昏の射手』と。
 黎明二十一年五月、黄昏の射手・巫覡輝矢は囚われていた。目覚めたとき、そこは自分の部屋ではなかった。春夏秋冬の代行者達と同様に神に力を与えられた彼が、なぜ見知らぬ地に? 加えてなぜ、彼を守る従者・慧剣は傍にいない?
「輝矢様」
 そして響く少女の声。それは現人神たちに降りかかる新たな苦難を告げるものだった――。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。黄昏の射手輝矢が主役。
    このシリーズ、神様が誘拐されるという定番。
    ファンタジーだが”大人の事情”のいやらしいのがはいり、
    それに歪められた”子供”のストーリーが悲しい。
    子供神様たちももれなく悲しいストーリーがついてくる。
    ほぼヤングばっかりの神様の中で、ひとりだけ”おじさん”な
    黄昏の射手なんだが、これが大層カッコ良いですな。
    守り人の慧剣もおもしろい。印象は中学生1年生ぐらいか?
    神様たち、春夏秋冬と暁と黄昏、は神様なんだが、
    なんか、、キーワーカー的な方向に向かいたいのか?
    と過去作で感じてたんだが、
    本作では、ものすごくちゃんと神様っぽくて
    そこらへん、良いと感じた。

  • 春、夏、暁、秋に続き、黄昏の現人神の物語
    抱きしめられるように、心がしんみりするそんな黄昏の射手の物語は、昔誰しも持ち合わせていた幼い心が想起する

    大人に振り回される子供たち
    そして、幼心を忘れてしまった大人たち
    いつから私たちは大人なんだろうか?
    そんな風に問いかけられて、成人したら!働き始めたら!と各々の考えがあるとは思うけれど、結局は父母の前では誰しも子供になってしまうんだ

    黄昏の射手である現人神である輝矢様
    今代の現人神の中では最年長の神様で、今まで凄く大人な人である印象を持っていたし、実際に大人なんだと思う
    だけど物語を通して幼い頃に蓋をしたものも多いこと、彼の心を窺い知ると彼も1人の子供であったのだと彼の言葉に全てが詰まっていた
    見ないようにして、普通の人である日常を捨て、家族との思い出の日々に終止符を打った
    それでも、心の奥底では大切な人を求めていたのだと彼の涙に胸が詰まるようなんだ
    もう良い年齢であったとしても、別の大切な家族がいたとしても、良くも悪くも父や母という存在は子供にとっては本当に大きな存在なんだろう
    だから、輝矢様と母との邂逅には凄く考えさせられるものがあった

    そして暁佳奈先生の大人はそれほど大人じゃないという言葉にも心がギュッとする
    子供とは言いきれない今の年齢だから感じる言葉なんだろうなって
    そんな大人たちの感情に貫かれるようだ
    今までの春夏秋冬代行者とは違う気持ちにさせられる

    今作で出てきた天音一鶴ちゃん、最初は正直好きになれなかった
    けれど輝矢様を通して彼女の事を知ると、彼女だけが悪とは言えない
    彼女の周囲の環境は特殊過ぎて、それは一種の虐待のようなものだ
    頑張ってきた彼女の寂しさや辛さを考えると、私は一鶴ちゃんを責めることは出来ないなって
    彼女は加害者ではあるけれど、被害者でもあるから、だからこそ彼女の未来が幸せなものでありますようにと願っている
    そして彼女の傍に、一人だとしても味方が居てくれて良かったなって
    大河くんも絶対良い子よ…2人を見ているとロミオとジュリエットのように感じられる

    そして黄昏の射手の従者である慧剣くんは、今作一番の癒しかなっていうぐらい可愛らしい、好き
    推しキャラグッズ集めてるのも可愛いし、大好きな輝矢様に懐いてる姿が可愛らしい
    彼の愛の溢れる一挙手一投足が可愛すぎた

    終章の狼星様と撫子ちゃんの絡みも尊くて、挿絵がないのが泣きそう
    挿絵があったら絶対神絵になると思う

    春夏秋冬代行者、本当にどの神の話も素敵で、宝物の物語だ

  • ラノベシリーズで紹介を続けましょう。

    『春夏秋冬代行者』

    …ん?なにそれ?萌えないタイトルだな…?

    と思ったあなた!正しいけど正しくない!
    今や私は、このタイトル見ただけで代行者の面々を思い浮かべて胸キュンになります。

    ─まず世界に冬があった。冬は孤独に耐えかねて生命を削り春を創った。やがて大地の願いにより夏と秋も誕生し、四季が完成した。この季節の巡り変わりを人の子が担うことになり、役目を果たす者は“四季の代行者”と呼ばれた─。

    というのがこの世界。舞台は「大和」、時代は現代。
    四季の代行者は国を巡り四季を顕現させる現人神。さらに、四季の巡りとは別に、朝と夜の巡りには、暁の射手と黄昏の射手という代行者がいる。彼らにはそれぞれに個性があり、人としての生活を送っている。

    代行者にはそれぞれ護衛として従者がついているのだけどね。代行者と護衛官の関係が、どれもこれもいいんです。
    春編の上あたりは世界観の独特さと話の展開の暗さに挫折しかけたんだけど、だんだんとのめり込んでいきまして…。今や、推しの主従は?と聞かれたら、それぞれに好きすぎてめっちゃ悩む。
    可愛い春の少女主従。
    明るい夏の姉妹主従。夏の二人は夏編で大きく動きます。
    最年少の秋の代行者と騎士のような護衛官の秋主従。
    そして凍てつく冬の青年主従。
    みんなイケメンで区別がつきづらいのがたまにキズ。

    夏編あたりからは恋愛要素も増えるのだが、本編ストーリーは毎回かなりヘビーである。代行者達は現人神でありながら、里の既得権益を握ったじいさん連中から監視され自由はない。死んだら超自然的に次の代行者が選ばれる仕組みのもとでは、代行者の命は軽い。賊から命を狙われることも多い。
    代行者はそれぞれに孤独で辛い立場にあるのだけど、春編では四季の共同戦線が張られ、これが巻を追うごとに強固な絆となっていくのです。我が国の四季、尊い。

    黄昏の射手編は、大好きな輝夜さまー!キター!と発売日に買ってきて読んじゃった。
    それにしても輝夜様、前から知っていたけれど人徳者すぎますね…。今回はあまり戦闘はなく、「我が国の夜、尊い」を再確認する話でしたね。

  • 今回のお話も素晴らしい面白さでした!ネタバレになるのであまり書けませんが、作者さまの言葉選びや文章の魅せ方がとても好きです!次回作も楽しみに待ってます!

  • はー凍蝶は今回もとても良い。氷と砂糖具合が絶妙です!まずそこだけ押さえておきましょう。

    そして、撫子と狼星のやりとり。普段絡まない2人の秘密の会話。この2人だから話せる会話。尊い!
    抱っこしちゃうくらい小さく、でも聡明な姫にだから言えること。小さいながら見る目のある撫子。
    本編にはほとんど関係ないけどこのシーンが1番よかった笑

    そして、本編は小さな頃から家に縛られて変な信仰に縛られた男女が拗らせた結果の誘拐劇。事件はあっさり解決したけど、心のしこりはなかなか根深い。
    何気にこうやって家に縛られている人って世の中にいそうだよなぁ。


    2025.3.16
    60

  • 面白すぎて一気読みだった。
    ハラハラさせられたり悲しくなったりする一方で、微笑ましい気持ちにもさせられる。
    このシリーズを読むと感情が忙しくなる。

    それにしても今回の事件、最年長現人神の巫覡輝矢じゃなければ収まらなかっただろう。
    大人になってもままならない事は多い。
    物分かりの良い振りをして自分の気持ちに蓋をしてしまう。
    こういうの、誰しも共感できるんじゃないか。
    そのうえで民に貴賤はないと言い切る輝矢って、ホント懐の深い神様だと思う。
    だからこそ、ラストシーンが活きる。
    何度も泣きそうになってその度にグッと堪えていたけど、最後の最後で涙腺崩壊した。

  • 黄昏の射手・巫覡輝矢に降りかかる困難。大人に振り回される子どもと、環境のせいで幼心を忘れてしまった大人たちの姿が切なく、暁先生があとがきで書いていた「大人は実はそれほど大人ではない」という言葉にもハッとさせられる。何事も達観して"大人”だった輝矢様が感情を顕にするラストが印象的だった。

  • 輝矢が本当に優しくて、幼い頃の彼を想像するだけで涙が出ました。
    序盤の暁主従のカーチェイス、冬主従の安定感に笑顔をもらいつつ、後半は涙無しでは読めずテッシュを大量消費してしまいました。
    ラスト一鶴ちゃんと慧剣くんを見ていると様々な事件を経て慧剣くんの成長を垣間見れたような気がして引っ込みつつあった涙が再来。
    そして輝矢本当、本当頑張ったねって…いやもう、上手く言語化できないので是非読んでいただければと…
    大人だけど、大人すぎなくていいんだよって輝矢の背中をさすりたくなりました。

  • 聴了。
    あれ、また黄昏のお話なのですねと思ったら前は夏のお話でしたね。今回のテーマは親子です。一体どうなるのかなぁという場面もありましたが、とても素敵な終わり方でした。親も誰かの子供。

  • 面白くて一気読みした。四季の現人神、護衛官達と巫の射手、守り人達の結び付きが深くなっていて協力しているのが嬉しい。この物語の世界観もどのキャラクターも魅力的でずっと続いて欲しいと思う。

  • 2025/02/24 読了。

    図書館から。

    輝矢さん主人公。慧剣君の成長が見られて嬉しい…!
    月燈さんとの進行具合とか気になるけど、また今度かな。
    この巻は、輝矢さん個人に焦点を当てた話で、
    現人神最年長で年齢も最年長だけど、大人だって子どもな部分もあるんだよ、と。

    慧剣君もよく頑張ったけど、愛ゆえの暴走性は
    まだ凄いな笑
    我慢して諦めた結果の大人になってしまった輝矢さんに
    最後に応えがあって良かった。

    にしても、人たらしだわ。

    終章の護衛官達のとこと秋が冬に相談する件が、
    もうキュンキュン過ぎて…!
    春と冬のお出掛け、読みたすぎる…‼

  •  輝矢メインのお話。外伝認識してる人がいるらしいけど、ちゃんと本編です。
     ネタバレギリギリを攻めつつ今回の魅力を伝えるならば、怪盗王子シマエナガが可愛く、ドキドキカーチェイスに護衛官の剣舞だろう。
     まずこの怪盗王子シマエナガ。大和で人気の作品で、シマエナガとエニシ鹿が出る物語。扉絵にイラスト付きで紹介されていた。度々出る。
     ドキドキカーチェイス……と言ったが、決して楽しいものではない。ガチなカーチェイスである。ドキドキをつけたのは私の心臓がバックンバックンしたため。恐怖の体験だった……。
     そして最後に護衛官の剣舞。これはそのままの意味で、剣(模擬刀)を持って舞う。さくらと凍蝶と竜胆と雷鳥さんのイラストが神ってる。尊い。
     今回は上下じゃないので短く感じた。次巻は冬の舞だろうか。とても楽しみ。
     そして変わらずあとがきが最高。

  • タイトルどおり、今回は黄昏の射手にフォーカスを当てたお話。

    羽形鎮守衆に誘拐された巫覡輝矢、テーマパークにひとり取り残された慧剣、同日、暁の射手の周りにも不審者が現れる。彼らの目的とは…?

    …慧剣…ほんと可哀想すぎる…。すっごくすっごく楽しみにしてた1日をこんな事件で潰されるなんて。まぁそれ相応の報復はしてたけどさ。花矢さんの方もお気の毒だし、誘拐した羽形鎮守衆もある種の被害者ではあるしで、「当時の巫覡の一族出てこい!!」ってなりました。いや、大河や一鶴の父親には「おまえらも悪い」と言いたいけど。輝矢の親にも一言物申したいけど。そう考えると、今回は”一族と個人””親と子”の話でもあったんだろうな。

    輝矢さんがさぁ…あんな小さなころから親と引き離されて、射手として生きてきて、今では慧剣の”父親”をちゃんとできてるなんて、人となりがすごいよねぇ。なんだかんだ神さまに選ばれただけあるよなぁ。
    ……すべてを丸く収めようとするけど笑。

    この小説に出てくる人たちは、みんなどこか”陰”の部分があって、自分の幸せをもっと享受していいんだよ…と思う。でもだからこそ神さまに選ばれたんだろうなぁと思うと同時に、あれ?とすると、件の「黄昏の射手」はどんなやつだったんだ…?気になる…ってなりました。どんな事情で羽形鎮守衆にそんなひどいことできたんだ?これ、本人っていうより周りがなんかしてたんかな…?

  • B913/ア/5

  • 黄昏の射手輝矢の誘拐、このシリーズは誘拐が多いようだが、今回は割とサクサクっと解決して良かった。この現人神の生贄的な要素が理不尽で、どの方々たちも幸せになってほしいものだ。

  • 「蟷螂の斧」
    二人で楽しむはずが。
    こんな場所で何か起きるはずがないと思い込んでいたからこそ、互いに油断し一瞬でも単独行動をしたのだろ。

    「青天の霹靂」
    助けを求めた相手は。
    自分の中で答えが一つしかなかったとしても、それは最善の結果であり十分な戦力になってくれるのだろうな。

    「烽火連天」
    もう一人の射手にも。
    何か勘違いすることを誰かに吹き込まれたのだとしても、ここまで完全に思い込んでしまうのは何故なのだろ。

    「騎虎の勢い」
    話を聞いて知ること。
    必要がないから伝えられてないのか、それとも自分たちに不利だから何も言わないのか答えは今は出ないよな。

    「柳に雪折れなし」
    どちらも譲る訳なく。
    子供の頃から想い続けた相手との事との待望の時間とはいえ、子供じみたことばかり言ってたらダメだろう。

    「一天にわかにかき曇る」
    強行突破してきた者。
    他人が何を言ったとしても、二人にとって特別な日常だったからこそ余計に苦しく怒りが爆発したのだろうな。

    「燎原の火」
    一度殺されてみれば。
    復讐の気持ちがないといえば嘘になるだろうが、死んで逃げようとした者たちには十分な仕置きとなっただろ。

  • どうして現人神様はいつも誘拐されるのか…

    それはさておき「犯人の動機を探る推理モノ」みたいな話で面白かった

  • 春夏秋冬代行者シリーズは毎巻大ボリュームで面白いですが、今巻もとっても良かったです!!
    今回の焦点は黄昏の射手、輝矢様。

    喬国事件が落ち着いたと思ったら今度は輝矢様誘拐事件。。。冒頭から何事だ...?!とページをめくる手が止まりませんでした...!!
    闇狼事件以降ちょっぴり大人になって誰かを頼ることを覚えた慧剣くんの忠犬っぷりが健気で可愛いです。今回は家族について考えさせられるお話でした。狭い世界で生きる無知な子供にとって親は全てであり、どんな親であっても最初は甘えていい存在で後をついてまわる、大好きな存在であったはず......それがいつしか確執や周りの環境に左右され非難を浴びることで1番守って欲しい、1番頼りたい親に突き放されることで子供が感じる孤独というものは計り知れません。
    自分のことに必死で愛すべき子供に目を向けてやれなかったことが大きな事件を引き起こすきっかけになってしまうという悲しい事件でしたが、慧剣くんのお灸もだいぶ効いたみたいですしこれからまた少しずつ溝を埋めて彼女たちらしい家族の形を作っていって欲しいなと思います(•ᵕᴗᵕ•)
    輝矢様と月燈さんのもどかしくじれったい大人の恋も慧剣くんと輝矢様の少し不器用だけど共依存の温かな家族の形もとても素敵でほっこりしました(ღ*ˇ ˇ*)。o♡
    難しい大人の気持ちと大人になりきれない子供のような部分を見せる大人たちの様子とは対照的に描かれた冬と秋の子どもなのに大人びた考え方をする恋愛相談がなんともいじらしくて応援したくて、そちらもとても微笑ましくて良かったです( ´艸`)

    アニメイト限定特典小冊子もわちゃわちゃと楽しくてこんな平和な日々が続けばいいのになとほっこり癒されました(* ´ ` *)ᐝ

  • 【請求記号:913.6 ア 5】

  • 黄昏の射手の輝矢さんの回。
    自分は「かつて差別があったとしても、それを今まで持ち越さなくてもよいのでは?」と思うが、被差別側の本当の辛さも分からないだろうし、そう簡単に割り切れるものでもないのかもしれないと思ったりもしている。今でもくすぶり的なのを垣間見ることもあるので。輝矢さんみたく俯瞰して見たり、フラットに見られる人も中にいなかったのかもしれない。そういう意味で若い二人は犠牲者でもある。輝矢さんはしごく冷静に見ていて、終盤懐のでかさも改めて見られるが、ラストの数ページにも持っていかれる…。

    割とオールスターな感じで、代行者や射手のやりとりもほっこりしたりする。春と秋や、冬と暁とか、秋と冬とか。

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著者プロフィール

KAエスマ文庫『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』でデビュー。

「2023年 『春夏秋冬代行者 暁の射手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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