瑠璃の爪 (あすかコミックス)

著者 :
  • KADOKAWA (1987年7月30日発売)
3.50
  • (4)
  • (5)
  • (14)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 53
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049240214

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 山岸凉子さんは私が最も好きな漫画家さんです。

    二人暮らしの姉妹。
    ある日突然姉は妹に殺されます。
    その姉妹をとりまく周囲の声によってこのマンガはなりたっています。

    二人の周囲の人間は誰もが口を揃えて、殺された姉はしっかり者で妹思い、母親に甘やかされて育った上にあんな良い姉を殺した妹は地獄に落ちると言います。
    妹を溺愛していた母親が死んだ後、自我をもたない妹の人生に姉は大きく関わってきます。
    妹にきた見合い話を裏で調査して断ったり、妹の恋人が実は結婚していたとつきとめたり・・・。
    姉自身もそれは善意からしていたことと信じて疑いませんでした。
    ただ姉本人すらも気づかなかった感情-。
    姉が妹を憎んでいたと気づいていたのは、妹本人と姉の元夫でした。

    象徴的だったのは妹の最後の言葉。
    「だって姉さんのあたしを決して幸福にしまいとする無意識の悪意をどんなに努力しても自分の中で善意に変える事ができなかったのですもの。無意識の悪意をね・・・」
    という言葉です。

    このマンガを読んだ当初は「わぁ~、相変らず引き込まれるすごいストーリー」と思ったくらいだったと思います。
    それが後から何度も何度もこのマンガを読み返した時、「これ私たち姉妹じゃないか」と気付き愕然としました。
    うちの場合は妹ですが、妹の「無意識の悪意」にずっと私は苦しんできました。
    その苦しんでる私自身ですらずっと後になって気づいたのだから妹が気づくはずもないのです。

    現在は妹とは一切会うことがないので、このマンガのような悲劇にいたることはありません。
    例え血のつながった姉妹であろうと、関わりをもたない方がお互い幸せな人間はいると私は思います。
    そうでないと瑠璃の爪でお互いがお互いをボロボロにしてしまうのです。

  • ・瑠璃の爪
    ・鳥向楽
    ・海底より
    ・ある夜に
    ・木花佐久夜毘売(このはなさくやひめ)

  • 表題作ほか、「木花佐久夜毘売」「鳥向楽」「海底より」「ある夜に」「あらら・内輪話」以上6編。

  • タイトルの作品以外は既読のものばかりだったため、星は3つかな。理不尽な理由で申し訳ない。文庫になっている他の作品集に比べたら、ややパンチが弱いかと思って。ただ、絶版なので、この本でしか読めない2作は貴重である。
    しかし、山岸涼子の作品は心理的に怖い。私も結婚するまで、この妹・絹子と同じような人生だったなぁと、誰か現状から救い出してくれる人が現れるのを待つ受身の人生だったと思う。青春時代を、もったいないことをした。

全5件中 1 - 5件を表示

山岸涼子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×