奈落-タルタロス- (あすかC)

山岸凉子

• 角川書店 (1989年1月6日発売)

感想・レビュー・書評

[忍田鳩子さんの感想 · 2012年3月2日]

読んだことのない短編ばかりだったのでほくほく買い。家族や、肉親の業をばかり描いた短編集。すべて怖くて面白かったが、やはり表題作「奈落」が秀逸。美しく、なんでも恵まれている姉に対して、ただ追いかけることしかできない妹。こういう兄弟姉妹、身近にたくさんいるよなあ。怖いも切ないも通りこして、たまらない「救われなさ」を楽しむ作品。これは山岸涼子のお家芸だよね。

著者プロフィール

山岸凉子（やまぎし・りょうこ）
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ／舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」