- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784052014055
作品紹介・あらすじ
ハーウィのおじさんが大金持ちになって帰ってきた。おじさんとラモーナのビーおばさんは高校の同級生。おとうさんは先生の口が決まらず、おかあさんも様子がおかしい。ラモーナのなやみはつきることなく……。でも思いがけず、素晴らしい出来事が待っていた!
感想・レビュー・書評
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児童書なのに、読み手の子どもを見下したり、無下に幼いものとして扱っていない本当に貴重な作品だと改めて感じました。訳の松岡享子さんの日本語も素晴らしく、簡単な言葉で、こうも複雑な人の想いを表現できるのかと、心を打たれました。日常の小さな出来事の積み重ねのなかで、人はどういう感情を抱くか、そしてどう受け入れ、乗り越えるのかをしっかり見せてもらった満足感。
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『ラモーナ、八歳になる』の続き。
隣のケムプ家、つまりは友達ハーウィの家に、大金持ちのおじさんが帰ってきた。そのおじさんのお土産のアコーディオンを、ウィラジーンがあっという間に壊してしまい、自分がしたんじゃないのに、ラモーナは「あなたはおねえさんでしょ。ウィラジーンがこんなことをするのを止めなきゃだめじゃないの」とおばあちゃんに言われ…
ラモーナは、今まで大人というのは子どもを好きになるものだと思っていたが、もしかしたらケムプさんのおばあちゃんは、私を嫌いなんじゃないだろうか、という考えが心に浮かんで、不安になる。
▼あたし、もう二度とここへ来たくない。ぜったい、ぜったい、ぜったいに。だれがなんといおうと、どうなろうとかまわない。自分をきらっている人にめんどうをみてもらうのはいやだ。(p.40)
ラモーナは、ケムプさんの家へはもう行きたくないということを、晩ごはんの席で切り出した。学校の先生になる勉強をしてるお父さんは、どういうことかとゆっくり聞いてくれて、お母さんは「ねぇ、ラモーナ、おまえ考えたことある? ケムプさんのおばあちゃん、もしかしたら、おまえや、ウィラジーンたちのお守りをしなくてもすむんならいいのにって、思ってるかもしれないって」(p.49)と言った。
そんなことは考えたこともなかった!お母さんは、おばあちゃんくらいの世代の女の人は、子どもの面倒を見るのが当たり前というように育てられてきたのだと話してくれた。そして、「おばあちゃんだって、ほんとうは、もっとほかのことをしたいんじゃないかしら」とも言った。
誰もうちにいないとき、一人で留守番してる子はいっぱいいるのに、どうしてうちはそうじゃないのかとラモーナは訊く。お父さんの「そういう子が問題を起こす」発言は、ビミョウ。ここは、そのむかし「鍵っ子が非行に走る」とか言われてたのを思い出してしまう。ちょっとムカつく。
お母さんは、ケムプさんのおばあちゃんは、息子さんがいる間はできるだけ一緒にいたいと思っているだろうからと、今週はケムプさんの家にいくのをお休みして、それでうまくいくかどうか見てみればと提案した。ケムプさんのおばあちゃんは、お母さんの予想どおり、息子とすごす時間が増えて大喜びした。
月曜日、ラモーナは、学校から帰ると、手を洗っておやつを食べ、ソファで本を読んだ。なんてしずかで気が休まるんだろう!ケムプさんの家では、いつもテレビのドラマがついていて、ウィラジーンが大声をあげてとびまわりながら、遊ぼうよ遊ぼうよとせっつくのだ。火曜日もラモーナはビーザスとおりこうさんでいた。
でも、水曜には、姉のビーザスとけんかをしてしまった。ニキビで悩んでるビーザスに「ピザフェイス」と言ってしまい、悲しませた。ハーウィの自転車に乗せてもらったら、バランスをうしなって転んでしまい、血を流して家に帰ったラモーナが手伝ってぇーと言うと、こんどはビーザスがひどいことを言った。「なによ、いやらしいゲジゲジ虫」。
ラモーナは、姉にピザフェイスと言ってすまなかったと思う気持ちと、ゲジゲジ虫と言われて腹が立つのとで、ぐっちゃぐちゃになる。姉と妹のケンカ。私は「姉」だから、「妹」のビーザスの気持ちを読みながら、妹はケンカしたときどんなん思ってたんかなーと思う。
ラモーナは、ごめんなさいを言い慣れていなかった。晩ごはんの席では、ビーザスとも、何もなかったかのようにふるまいはしたが、心は重い。ビーザスとあの話やこの話をしたいと思うのに、チビ虫というならまだ許せるけど、ゲジゲジ虫とは許せないと思う。
次の日、猫のピッキィピッキィが死んだ。ラモーナとビーザスは、裏庭に穴を掘って、ピッキィピッキィを葬った。その悲しみをわかちあって、ビーザスの気持ちに近づいた気がしたラモーナは、昨日のことごめんねとあやまって、お互いに許しあった。
そして、そのことを晩ごはんの席で伝えたとき、お母さんが帰ってきてピッキィピッキィが死んでるのを見つけてほしくなかったと二人が言ったとき、お父さんとお母さんは「あんたたちみたいないい子をもって幸せ」と言い、「じまんのたねだ、この次もそうだといいね」と言った。
ビーザスがもしかしたらと想像していたとおり、お母さんに赤ちゃんができる! それに、二人で留守番することも心配なさそうだと言ってくれた。
それから赤ちゃんが生まれるまでに、大きなことがもう一つあった。ハーウィーの大金持ちのホバートおじさんと、ラモーナのビーおばさんが結婚したのだ。それも、2週間の準備期間であっという間に。結婚式の準備のあいだのあれやこれやの話も読んでておもしろいが、やっぱり、ラモーナにとって大きいのは、妹が生まれたこと。
お父さんの名前をとってロバータと名づけられた妹を見て、ラモーナは思う「あかちゃんでいるってたいへんな仕事だ」(p.256)と。お母さんもお父さんもそう思うと言って、「大きくなるってことも大仕事」だし、「おとなでいるってことも、ときには骨のおれる仕事だよ」と教えてくれた。
自分がずっと昔には、ロバータみたいにちっちゃくて、変な顔をして、寄り目だったのが、今じゃこんなに立派なのが、ほんとにおかしいとラモーナは思う。今まであったいろんなことを思い出して、うれしかったことや、心配だったこと、つらかったことや、腹が立ったこと…自分はそんなのを全部生きのびてきたんだ!
そう気づいたラモーナが、これからどうなるのか、次はもうシリーズの最後の巻。
(7/2了) -
やんちゃぶりを見せてきたラモーナも次第に成長。それはそれで悩みやトラブルも増えるわけですが、ラモーナ一家は大丈夫です。
夫婦喧嘩のシーン。姉のビーザスがママを怒らせるシーン。あちこちに深刻になってしまいそうな緊迫する描写も出てくるけれど、さらりとかわすうまさがあります。 -
新しい家族ができて、お姉ちゃんになったラモーナ。
お父さんが学校の先生になれたら一件落着なんだけど。