ラモーナとおとうさん―ゆかいなヘンリーくん

制作 : アラン ティーグリーン  Beverly Cleary  Alan Tiegreen  松岡 享子 
  • 学習研究社 (2001年12月1日発売)
4.20
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  • 本棚登録 :32
  • レビュー :4
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784052015755

ラモーナとおとうさん―ゆかいなヘンリーくんの感想・レビュー・書評

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  • ラモーナのお父さんが失業する。レストランにも行けなくなり、靴が小さくなっても買ってと言い出せなくなり、家庭から笑顔が消えていく。なんという衝撃的な展開だろうと心配したのだが、娘は、冷静に受け止めた。ラモーナがそうであるように。そうだ。突然の辛い現実を前にした時、意外と冷静でいられないのは、大人だけなのかもしれない。
    うろたえ、イライラし、やめると宣言した煙草をつい吸ってしまったお父さん。信頼し、尊敬していた大人が、実は、自分と同じ、ただの弱い人間だと知ったとき、子どもは、ひとつ大人になる。ヘンリーを困らせてばかりいたラモーナが、すっかり大人になってしまい、母は、少し寂しくなってしまった。娘は、少し大人になったラモーナに、自分を重ねるように感情移入し、目を輝かせながら聞いていた。

  • ラモーナシリーズ大好きです

  • 『ゆうかんな女の子ラモーナ』の次の巻はこれらしい。

    ▼クリスマスと、自分の誕生日の次に、ラモーナがすきな日は、おとうさんの給料日です。その日は、何かいいことがあります。おかあさんも、お医者さんのところへパートタイムで働きに行っていますが、おかあさんの給料日は、ラモーナが一年生のとき建てまししたへやの月賦がはらえるというだけです。(p.6)

    おとうさんの給料日、ラモーナは、クリスマスに人からもらいたいプレゼントのリストを書きながら、ウキウキしている。今日は金曜日だし、映画につれていってもらえるかもしれない、あるいはおとうさんがお土産を買ってきてくれるかもしれない、晩ごはんはホッパーバーガーかもね!

    帰ってきたおとうさんは、ラモーナと姉のビーザスに「クマさんガム」(小学校では今これがおおはやり)を渡すと、おかあさんとひそひそ声で話しはじめた。

    おとうさんが失業した。おかあさんが2人に説明してくれる。「おとうさんのせいじゃないのよ。おとうさんが働いていたのは、小さな会社だったの。今度その会社を大きい会社が買って、いままで小さい会社で働いていた人は、もうほとんど、いらないことになったのよ。」(pp.24-25)

    うちはどうなるのだろう? ついさっきまでつくっていたクリスマスにもらいたいプレゼントのリストにあげていた品物を一つ一つ消していきながら、ラモーナは自分の家族について考える。

    ▼ラモーナは、おとうさんに心配してほしくありませんでした。おかあさんに悲しんでほしくありませんでした。ビーザスにきげんをわるくしてほしくありませんでした。うちの人たちみんな、ピッキィピッキィもいれて、みんなが幸せにしていてほしいと思いました。(p.29)

    この巻は、失業したおとうさんとラモーナの話がいろいろと書かれていく。おかあさんは別のお医者さんでフルタイムの仕事をみつけたので、ラモーナが学校から帰った時に家にいるのはおとうさんになり、二人はしょっちゅう一緒にいることになったからだ。学校での先生との面談にもおとうさんが行く。

    おとうさんが失業してから、ラモーナは「自分に百万ドルあればなあ」とコマーシャルに出る子になれないか考えてみたり、おとうさんの肺をまっ黒になんかさせないぞ!とタバコをやめさせようと標語やポスターを貼ってみたり、おとうさんと世界でいちばん長い絵を描くんだと紙をつなげてオレゴン州を一緒に描いたり… ラモーナはおとうさんとすごす時間がたっぷりあって、ありすぎるくらいで、あれを気をつけなさい、これを注意しなさいと、小言を言われることも増えた。

    ある日、タバコをやめると言ったはずのおとうさんがタバコをすった。約束やぶったでしょう!とラモーナは怒った。おとうさんは、古い湿気たタバコがレインコートのポケットから1本出てきて、ちょっとだけすってみたら楽になるんじゃないかと思ったのだと言った。「おとうさんも、がんばってるんだ。いっしょうけんめい、がまんしようとしてるんだ。」(p.181)

    ラモーナは、おとうさんが大すきで、だからおとうさんにタバコをやめさせようとした。おとうさんも、ときどき甘ったれのちびになっても、ラモーナのことが大すきだと言った。

    「じゃ、どうして、うちは、幸せな家族じゃないの?」と尋ねるラモーナに、おとうさんは「うちは、幸せな家族だよ」と言って聞かせる。

    ▼「どの家族だって完ぺきじゃない。そんな考えは、おまえの頭から追いはらっておいたほうがいいね。それに、どんな人だって完全じゃない。わたしたちにできるのは、完全になろうと努力することだけだ。そして、みんな努力してる。」(pp.182-183)

    ラモーナはおとうさんの言ったことを考えた。小さい娘と一緒に絵を描いてくれるおとうさんは、そんなにいないだろう。お料理をしている最中、床に広げた絵を踏まないように気をつけてまたいでくれるおかあさんは、そう大勢いないだろう。作文を書くためのインタビューに妹をつれていってくれるおねえさんは、そう大勢いないだろう。ふつうのおねえさんなら、クマさんガムを半分こせずに、私が年上なんだからたくさんと言うにちがいない…。おとうさんの言うことはたぶん正しい。

    「給料をもって帰ってくるおとうさん」じゃなくなった「おとうさん」とすごす時間が長くなって、ラモーナもおとうさんも、おたがいにいろんな発見をしていく。悩んだり怒ったりもしながら、ちょっとダメなところがあっても、「大すきだよ」と言えるラモーナとおとうさん。

    とくにイイのが、ラモーナとおとうさんが長い長い紙にオレゴン州の絵を描いてるイラスト(pp.128-129)。本の見返しのところにもこのイラストが入ってる。

    (6/10了)

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