ラモーナとおとうさん

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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784052015755

作品紹介・あらすじ

ラモーナのすきな日は、クリスマスと自分の誕生日とおとうさんの給料日です。給料日には何かいいことがあるからです。ラモーナはクリスマスのリストを作りながら、たのしい気分でおとうさんの帰りをまっていました。ところが、帰ってきたおとうさんは・・。

感想・レビュー・書評

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  • ラモーナのお父さんが失業する。レストランにも行けなくなり、靴が小さくなっても買ってと言い出せなくなり、家庭から笑顔が消えていく。なんという衝撃的な展開だろうと心配したのだが、娘は、冷静に受け止めた。ラモーナがそうであるように。そうだ。突然の辛い現実を前にした時、意外と冷静でいられないのは、大人だけなのかもしれない。
    うろたえ、イライラし、やめると宣言した煙草をつい吸ってしまったお父さん。信頼し、尊敬していた大人が、実は、自分と同じ、ただの弱い人間だと知ったとき、子どもは、ひとつ大人になる。ヘンリーを困らせてばかりいたラモーナが、すっかり大人になってしまい、母は、少し寂しくなってしまった。娘は、少し大人になったラモーナに、自分を重ねるように感情移入し、目を輝かせながら聞いていた。

  • おもしろかった。自分が子どもの頃に感じていたことなどを思い出した。自分は今や親の年齢で、父母側の言い分というか、都合というか、子どもにはまだ見えていないであろう一人の人間としてのダメさとかそんなのもわかる立場だ。でも、子どもなりの一所懸命さとか、的外れに理解される無念さとか、見え透いたごまかしに苛立つ気持ちとかがすごくよくわかった。子どもの頃に戻って親に抗議したい気持ちだが、そうするとまたうまく言えないで終わるんだろうなあ。

  • 泣けるほど素晴しく好きでした。

    日常の中にある、子どもたちの心の動き、不安や喜び、幸福感に悲しみ。そういうのを描いた本こそが素晴らしいと思います。

    とっても素敵なお父さん。ラモーナの良き理解者。
    そんなお父さんが、ある日家に暗い顔で帰ってくる。
    失業してしまったのだ。。
    ラモーナの不安な気持ち。お金のために、自分が子役になってお金を稼ごうかとか、必死に家族を明るくさせようとする健気さ…お父さんのことは大好きなのに、タバコをやめてくれない。タバコを吸っていたらお父さんが死んでしまうかも!なんていう不安…
    節約しなくてはいけなくて、ねこの好きなキャットフードも買えない。クリスマスのご降誕劇に出たいのに、衣装も用意して貰えない…そんな中でも子どもの楽しもうとするたくましさも素敵に描かれます。
    ラストのクリスマスの美しさ、どれもこれも素敵でした

  • 『新・この一冊から 子どもと本をつなぐあなたへ』で紹介されていたので、借りて読んだ。

    ラモーナ・クインビーは、二年生。
    おとうさん、おかあさん、七年生のおねえさん・ビーザスと暮らしています。
    ある日、お父さんの仕事がなくなってしまいます。

    冒頭30ページでお父さんが失業、ハードです。
    二年生で家族の幸せを考えるなんて、すごいです。
    家族のなかのもやもや、役に立ちたいと思う気持ちと裏腹な幼さ、いろいろあります。
    おとうさんに禁煙させるところ、一生懸命さと意地を感じます。
    そういえば、小学校の保健室の壁に、月一くらいで健康に関するポスターが掲示されていました。
    そこでみたタバコで黒くなった肺の写真はショッキングで、まだぼんやり覚えています。
    だから、ラモーナがタバコのことで急に不安になったりする気持ちがわかります。
    大人の弱さやずるさも描かれていてリアルです。
    子どもだましではないお話です。
    降誕祭というもののイメージや尊さは、キリスト教圏でない国の私たちには分かりづらいです。
    でも、クリスマスがただのお祭りさわぎではない特別なものであることを感じました。
    ハッピーエンドで良かったです。

  • 自分がラモーナの気持ちと一体化する感覚で読み進んだ。子どもは天真爛漫で、辛いこともすぐ忘れるなどは神話。親や兄弟、周囲の人たちのちょっとした言葉や表情に、実は敏感で、殊に親にはいつも笑って、嬉しそうにしてほしい。そして自分を見守ってほしいという子どもの本心が、伝わってくる。子が親に求めるものが何か、子としての視線からも、子育てが終了した親の視線からも、本当に考えさせられました。

  • ラモーナシリーズ大好きです

  • 『ゆうかんな女の子ラモーナ』の次の巻はこれらしい。

    ▼クリスマスと、自分の誕生日の次に、ラモーナがすきな日は、おとうさんの給料日です。その日は、何かいいことがあります。おかあさんも、お医者さんのところへパートタイムで働きに行っていますが、おかあさんの給料日は、ラモーナが一年生のとき建てまししたへやの月賦がはらえるというだけです。(p.6)

    おとうさんの給料日、ラモーナは、クリスマスに人からもらいたいプレゼントのリストを書きながら、ウキウキしている。今日は金曜日だし、映画につれていってもらえるかもしれない、あるいはおとうさんがお土産を買ってきてくれるかもしれない、晩ごはんはホッパーバーガーかもね!

    帰ってきたおとうさんは、ラモーナと姉のビーザスに「クマさんガム」(小学校では今これがおおはやり)を渡すと、おかあさんとひそひそ声で話しはじめた。

    おとうさんが失業した。おかあさんが2人に説明してくれる。「おとうさんのせいじゃないのよ。おとうさんが働いていたのは、小さな会社だったの。今度その会社を大きい会社が買って、いままで小さい会社で働いていた人は、もうほとんど、いらないことになったのよ。」(pp.24-25)

    うちはどうなるのだろう? ついさっきまでつくっていたクリスマスにもらいたいプレゼントのリストにあげていた品物を一つ一つ消していきながら、ラモーナは自分の家族について考える。

    ▼ラモーナは、おとうさんに心配してほしくありませんでした。おかあさんに悲しんでほしくありませんでした。ビーザスにきげんをわるくしてほしくありませんでした。うちの人たちみんな、ピッキィピッキィもいれて、みんなが幸せにしていてほしいと思いました。(p.29)

    この巻は、失業したおとうさんとラモーナの話がいろいろと書かれていく。おかあさんは別のお医者さんでフルタイムの仕事をみつけたので、ラモーナが学校から帰った時に家にいるのはおとうさんになり、二人はしょっちゅう一緒にいることになったからだ。学校での先生との面談にもおとうさんが行く。

    おとうさんが失業してから、ラモーナは「自分に百万ドルあればなあ」とコマーシャルに出る子になれないか考えてみたり、おとうさんの肺をまっ黒になんかさせないぞ!とタバコをやめさせようと標語やポスターを貼ってみたり、おとうさんと世界でいちばん長い絵を描くんだと紙をつなげてオレゴン州を一緒に描いたり… ラモーナはおとうさんとすごす時間がたっぷりあって、ありすぎるくらいで、あれを気をつけなさい、これを注意しなさいと、小言を言われることも増えた。

    ある日、タバコをやめると言ったはずのおとうさんがタバコをすった。約束やぶったでしょう!とラモーナは怒った。おとうさんは、古い湿気たタバコがレインコートのポケットから1本出てきて、ちょっとだけすってみたら楽になるんじゃないかと思ったのだと言った。「おとうさんも、がんばってるんだ。いっしょうけんめい、がまんしようとしてるんだ。」(p.181)

    ラモーナは、おとうさんが大すきで、だからおとうさんにタバコをやめさせようとした。おとうさんも、ときどき甘ったれのちびになっても、ラモーナのことが大すきだと言った。

    「じゃ、どうして、うちは、幸せな家族じゃないの?」と尋ねるラモーナに、おとうさんは「うちは、幸せな家族だよ」と言って聞かせる。

    ▼「どの家族だって完ぺきじゃない。そんな考えは、おまえの頭から追いはらっておいたほうがいいね。それに、どんな人だって完全じゃない。わたしたちにできるのは、完全になろうと努力することだけだ。そして、みんな努力してる。」(pp.182-183)

    ラモーナはおとうさんの言ったことを考えた。小さい娘と一緒に絵を描いてくれるおとうさんは、そんなにいないだろう。お料理をしている最中、床に広げた絵を踏まないように気をつけてまたいでくれるおかあさんは、そう大勢いないだろう。作文を書くためのインタビューに妹をつれていってくれるおねえさんは、そう大勢いないだろう。ふつうのおねえさんなら、クマさんガムを半分こせずに、私が年上なんだからたくさんと言うにちがいない…。おとうさんの言うことはたぶん正しい。

    「給料をもって帰ってくるおとうさん」じゃなくなった「おとうさん」とすごす時間が長くなって、ラモーナもおとうさんも、おたがいにいろんな発見をしていく。悩んだり怒ったりもしながら、ちょっとダメなところがあっても、「大すきだよ」と言えるラモーナとおとうさん。

    とくにイイのが、ラモーナとおとうさんが長い長い紙にオレゴン州の絵を描いてるイラスト(pp.128-129)。本の見返しのところにもこのイラストが入ってる。

    (6/10了)

  •  子供向けの話と思って読んだのだが、意外と大人の世界も描かれていて、最近の外国の児童文学はシビアだなあ、と感じたもの。
     リストラや離婚の危機など世相を現す出来事が散りばめられており、そんな風に感じたのだが、調べてみると意外と古く、そう言えばそんなにどぎつくはない。

     そう、いろんなトラブルやせつなくなるような出来事が起きるのだが、前向きに進んでいくのは主人公ラモーナのおかげかも。
     本当は「ヘンリー君」が主人公のシリーズらしいが、ラモーナのみ読了。娘を持つ身としては、このやんちゃ娘の動向から目を離せない。

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著者プロフィール

1916年米国オレゴン州生まれ。カリフォルニア大学卒業後、ワシントン大学で図書館学を学び、その後、児童図書館員として働いた。1950年刊行の「ヘンリーくん」は半世紀以上にわたって大人気シリーズ。

「2015年 『ゆかいなヘンリーくん改訂新版 第2期 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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