願かけネコの日 (ティーンズ文学館)

  • 学研教育出版 (2011年12月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784052034282

作品紹介・あらすじ

おれ、山室浩輔。テニスの試合に勝ちたくて願かけに行ったのに、がけから落ちて死んじゃったみたいなんだ。トコトンついてない。でも、三途の川まで来ると、「待った」がかかった。願かけしたんだから、責任取れってさ。でも、どうすりゃいいんだか……。

感想・レビュー・書評

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  • 願掛けって、神様に叶えてもらうんじゃない。
    自分が願いに向かって頑張ることを神様に誓って、見守ってもらうことなんですね!

  • ★あたしには、成仏して舟に乗り、生まれ変わるために必要な大事なものが、欠けているんだって。(p.178)
    (一)コースケは死んだが生前女神さまたちに三つの願かけをして受け入れられていたので六日間だけ寿命が延びることになりその間に願が成就するよう(自分で)努力しなければならず願かけする気になったくらいなのでどれも簡単ではない。あっさり、さっぱりの「いい話」です。
    (二)「鬼灯の冷徹」を読んでる人には入りやすいかも?
    (三)これも最近気になってる絵師、スカイエマさんの挿画です。偶然、というよりこのイラストレーターさんはとても人気のある方なんでしょうね。せやから必然的にときおり手に取ることになるんでしょう。

    ■簡単なメモ■

    【一行目】いちめんに、うすいもやが立ちこめていた。

    【天野あずみ/あまの・あずみ】かつて森下千草のパートナーだったテニスプレイヤー。愛称「あずにゃん」。
    【植村綾乃/うえむら・あやの】浩介の片想いの相手。二年生。硬式テニス部部員で浩介が入部した動機。どうやら前園のことが好きらしい。
    【遠藤】硬式テニス部員。ダブルス。
    【閻魔】三途の川の向こうにいる。カラスも会ったことはないらしい。
    【オーシャン】大西洋(おおにし・ひろし)。えらい名前つけられたもんやなあ。硬式テニス部部員。体が大きいが動きはにぶい。イギリスからの帰国子女。六月の終わりに転校してきた。
    【大西洋/おおにし・ひろし】→オーシャン
    【岡島/おかじま】浩介たち硬式テニス部の顧問。
    【おしょう】浩介の小学校時代の親友。
    【鎌倉ステーキ】ステーキ屋。とても美味いがとても高い。敷居も高い。中学生が一人で入れるような店ではない。
    【カラス】脱衣婆の家にいる。十年くらい前に死んでカラスの死骸に入り、会所で脱衣婆たちのお世話をしているようだ。
    【願かけ】こういう願を持っており頑張りますので神様見守っていてくださいというもので神様が叶えてくれるわけではない。あくまでも自力。浩介の願はテニスの県大会団体戦でベスト8に入ること、鎌倉ステーキで腹いっぱい食べること、硬式テニス部の植村綾乃と仲良くなること。
    【北沢】硬式テニス部員。ダブルス。
    【懸衣翁/けんえおう】脱衣婆の連れ合い。死者の服を枝にかけてそのしなり具合で罪の重さをはかる。今はいないのでなりてを探している。
    【コースケ】山室浩介。主人公の「おれ」。十三歳。数えで十四歳。境川南中学硬式テニス部。だが弱く、女子にもほとんど勝てない。お祖父さんの影響で古いことをけっこう知っている。江の島に行った帰りに崖から落ちて死んだ。
    【小山】硬式テニス部員。
    【賽の河原テニスクラブ】なんと! 賽の河原にはテニスコートがあった。
    【佐伯裕子/さえき・ゆうこ】硬式テニス部女子部の新キャプテン。コースケと同じ二年A組。小柄でショートヘア、日焼けしているので「ちびこんぶ」と呼ばれることも。明るく誰からも好かれるタイプ。兄はインターハイでも活躍している選手。
    【境川南中学】浩介の通う中学。
    【関根由紀/せきね・ゆき】硬式テニス部女子部部員。二年生。
    【脱衣婆/だつえば】通称「だっちゃん」。ボロボロの猫の姿をしている。三途の川を渡る舟の舟番。死者たちから渡し賃として服をはぎ取り、懸衣翁が枝にかけてそのしなり具合で罪の重さもはかる。賽の河原の「会所」にいるらしい。どうやらずっと同じ者が続けているのではなく死者の中から選ばれてしばらく続けるというシステムらしい。今の脱衣婆は二十五年前に死んだ人。猫の死骸に入り込んだので猫の姿。人間として死んだときは十五歳だった。賽の河原テニストーナメントで負けなしの七十連勝中。
    【だっちゃん】→脱衣婆(だつえば)
    【徳】だっちゃん《徳というのはね、このちょっと幸せな気持ちのほうかもしれない》p.130
    【姉ちゃん】浩介の姉。中三。
    【番頭】脱衣婆の会所の番頭。
    【前園/まえぞの】硬式テニス部部員。新部長。小学校の頃名門クラブに通っていて、テニス部の絶対エースだった。足の靭帯を痛め大会に出られなくなったので浩介に出番がやってきた。
    【宗像三女神/むなかたさんじょしん】田寸津比賣命(たぎつひめのみこと)、市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)、多紀理比賣命(たぎりひめのみこと)の三柱。江の島に祀られていて浩介はそこに願をかけした帰りに崖から落ちた。ちゃんと二拝二拍手一拝を守った。
    【森下千草/もりした・ちぐさ】佐伯が憧れている、かつての美少女天才テニスプレイヤー。
    【山室浩介/やまむろ・こうすけ】→コースケ
    【リストバンド】姉ちゃんが買ってきてくれた。猫の絵が描かれておりコースケにはちょっと恥ずかしかったがだっちゃんがつけろとせがむのでつけた。

  • 願かけに行った帰りに事故で死んだコースケは、その願いをかなえるために現世に戻ってくる。残された時間は127時間44分!? 

    死から戻ってきた主人公の物語というとアレコレ思い出しますが、これはそこにテニスを絡めて青春ものとしての色合いを強めています。
    那須田作品の中学生は飄々として大人びているイメージがありますが、この主人公コースケは少し違いました。
    何事にも適当に済ませていたコースケが真剣に取り組もうとした時に、周りの人たちの関係が変わっていく。周りの人とも真正面に向き合うことで変わっていく。
    真剣になるきっかけは何であれ、部活も人間関係もきちんと取り組んだ方が楽しい。勝つためだけじゃない、認められるためだけじゃない、そんな行為の楽しさをコースケを通して感じられます。

    軽やかでユーモアに溢れながら、切り込んでくる人間関係の難しさと怖さ。それは現実にごろごろあるものでしょう。
    でもそこから適当に逃げずごまかさずにいれば、きっと楽しく思えることもある。そんな中学生へのエールを感じる作品でした。

  • 2017年7月7日読了
    久々に図書館へ行って借りてきました。
    図書館では今回のようなラッキーな本との出会いがあって、やっぱりいいなと思う。
    脱衣婆のだっちゃんがとても魅力的❤️
    かなしい過去があったけど
    主役のコースケと共に成長していくところは
    読んでるうちに元気をもらったようで
    前向きな気持ちになりました。
    コースケじいさんが言ってた
    「自分の気持ちがわからなくなったら
    一から十までかぞえなさい。……」は
    私も使ってみようと思う。

  • 2014年9月11日

    装丁/藤田知子

  • 資料番号:020235412
    請求記号:Fナスダ

  • アルバイトをやめるにあたり、パートさんの知人が書いたというこの本をいただいた。三途の川、煉獄らへんの話。児童書はこどもらしさを出すために子供を馬鹿にした表現をしがちだが、この本はそういうところがあまりなく好感が持てた。

  • 願掛けに行って崖から落ちて死んじゃった中2男子

    三途の川の船にのりそこねて
    願いを3つ叶えてくる条件で6日延命に

    テニスとか生きることとか恋とかそういうはなし

    カラフルみたいな

    スカイエマさんの絵はいいなぁ〜(しみじみ)

  • 絶対佐伯を結ばれるものだと思っていたのに、オーシャン、くそぅくそぅ(ぇ

    テニスの話が出てくるけど、そういう知識が無くても分かりやすく描かれているように思った。ただ、ちょっとどういう試合なのか想像しにくい。テニスの試合見たことないし。用語も知らないから...
    しかし、チーム戦は心理戦でもあるんだな...

    大切なものほど壊したくなる、っていうのを見て『でかい月だな』という小説を思い出した。

    恋愛観+テニスを通じた努力観+死生観がバランスよく描かれているという印象。

    生まれ変わった先で、だっちゃんと主人公が結ばれたら面白いなという妄想。
    自分の気持ちがよくわからなくなったら、10まで数えること。

  • ...って、おれ、ホントに
    死んじゃったわけ?

    現世で残された時間は127時間44分。
    コースケは「3つの願い」を
    叶えることができるのか!?


    ダメ男コースケの、起死回生の物語。

  • ひょんな事故から死んでしまったコースケ。
    でも、宗像三女神に願かけをしていたおかげで、三つの願いをかなえるための猶予をもらえるという。
    期限は6日後。次の満月の出るまで。
    お目付け役の脱衣婆(見た目はネコ)のだっちゃんと一緒に、コースケは願いを叶えることができるのか?

    言い訳がましくてやる気のないダメダメなコースケが、変わっていく姿が自然で丁寧。
    ダメな感じで書かれているけど、すごーく良い子なのが伝わってくる。
    さらりと読めて、読んだ後すっきり。

  • 図書館で発見!!イラスト書いているスカイエマさんの本を探していたら見つけたよ(*^^*)
    ストーリーの設定も良かったし、読みやすかった。
    神社で願い事しただけで、満足してる人には、この本読んでほしいなあ。
    神社は、願い事を自分の努力で叶えるのを見守ってくれるように頼みに行くところ。
    結局、努力なしでは願い事なんて叶わないんだっていう作者の考え方すごく共感しました。
    私以外にもこんな考え方する人いるんやなって分かってうれしかったです。

  •  山室浩介、享年14歳…江ノ島の神社からの帰り、崖から落ち、三途の川へ。ところが、神社の祭神・宗像三女神が願かけを聞き届けてくれたことから、もう少し生きられることに…。でも、その期限は6日後、次の満月まで。願かけした願い事を実現すべく、ネコの姿をした三途の川の脱衣婆“だっちゃん”とテニスの猛特訓!?

  • 子供の頃大好きだった「三毛猫のしっぽに黄色いパジャマ」の著者が最近新刊を出していると知ったので図書館で借りた。
    この人のYA小説は本当に爽やかで透明感があって好きだ。
    コースケは何処にでもいるような平均的な少年で、本の折り返し紹介に書かれているような「ダメ男」とは思わなかったなあ。むしろ根は素直で優しい、いい少年だと思う。まあこの著者の描く少年少女っていつも皆眩しいほど真っ直ぐなんだけどね。
    そしてだっちゃんが可愛い。「ちゃんと十までかぞえたぞ」のシーンが好き。
    久々に「三毛猫のしっぽ~」を読みなおそうかな。

  • きのう読み始めてきのう読了。那須田さんは二冊目。
    「一億百万光年~」は文体が合わない感じで、以来手がのびなかった作家さんだったのだけど、これはけっこうよかった!軽めのタッチにぶれがなくて読みやすかった。はなしもすっきり上手にまとまっていてするする読める。でもだからこそ、もうひとひねりほしかったな、という気もしてしまったり。するする読めるぶん、そこまで印象に残らない感じもけっこうする。いっそエンターテインメントに突っ走った方がおもしろいかも? 女の子にも子どもにも、ロマンを抱いてしまうひとなのかなぁ。
    テニスの描写は、けっこう好き。

  • テニス部の試合の前に神社へ願かけに行った帰り、足を滑らせ崖から落ちて、
    どうやら死んでしまったらしい浩介。
    三途の川の手前で、猫の姿をした脱衣婆のだっちゃんに出会い、
    浩介が死ぬ前に願かけをした三女神が、浩介の願いをかなえるための時間を
    くれたから、まだ川は渡せないと言う。

    浩介の三つの願いが、浩介自身の手でかなえられなければ、
    ひどい罰が待っているということで、浩介はだっちゃんと共に現世に戻り、
    残された6日間をすごすことになった。

    浩介は最初に「鎌倉ステーキハウスで腹いっぱい食べる」
    という願いをかなえに、ステーキハウスへ向った。

    ダメダメな浩介が、前向きにがんばる姿を応援したくなります。

  • 森絵都さんの『カラフル』を思い出した。

  • 三つの願いを神社でしたコースケ。帰りに土手で足を滑らせ、そのまま三途の川へ・・・。作務衣を着た変なネコ=脱衣婆(だつえば)が現れた。
    そのネコの脱衣婆が言うことには、ぼくには、三途の川を渡って 閻魔様のお裁きをする事に、神社からの渡船差し止め願いが出ている。神社とは、僕が死ぬ直前にお参りした江ノ島神社の宗像三女神が、ぼくがお願いした3つの願いを、次の満月までの間なら見届ける、すなわちあと6日間は生きて、願いを叶えるチャンスをくれる、というのだ。
    神様に願いをかける、とは言っても、叶える努力をするのは自分。神様がかなえてくれるワケではない。しかも、願いが叶ったところで、死んでいることにかわりはない。6日後には三途の川の渡し船に乗るのだ。しかし、余分の6日を、努力なしに過ごしたら・・・三女神様がお怒りになるだろうことと、えんま帳にも良くない評価が載るかも。
    と言うわけで、ぼくはぼくの願い事を6日間で、全力で叶えることとなった。脱衣婆ネコと一緒に。
    1つめ・・・高級ステーキレストランでの食事。貯金を全部下ろしたけれど、子どもだけで入店した時点で声をかけられ、15万からのケータリングならと言われたが、資金不足でダメ。
    2つめ・・・テニスの新人戦団体でベスト8までこまをすすめること。はっきり言って、部のお荷物なくらい下手なぼく。だけど、レギュラーだった前園が怪我のため、試合出ることになってしまった。
    3つめ・・・片思いの綾乃と両思いになること。でもテス二部の先輩の前園を好きみたいで、これもダメ。
    がんばれるのは、2つめのテニスの試合。ダブルスでパートナーとなった大西洋(オーシャン)と、女子でテニスの上手い佐伯裕子に教えてもらい、特訓をはじめる。


    三途の川に、作務衣の脱衣婆のネコに、テニスの試合に・・・なんか、摩訶不思議なとりあわせなのですが、ラストのストーリー急展開にもびっくり。
    なんにせよ、魔法なんかとか、神頼みとかじゃなく、
    自分で努力する事の大切さ、自分で生きることへの熱意みたいなのを持つことが大切だと、今の若者に伝えたいワケだ!

  • 登場人物に個性があって、最後まで一気に読みました。
    テニスと三途の川、絶対合わない筈なのに…イイ!映像が見えそうです。
    挿絵もすごくイイところに入ってて、ステキです。
    ただ、私からみると結構ちゃんとしてるコースケが、本の中では生きにくそうにしてて、それがリアリティがあるって、何だかさみしいなぁと思ってしまいました。

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著者プロフィール

1959年浜松市生まれ。著作に「ペーターという名のオオカミ」(小峰書店、産経児童出版文化賞、坪田譲治文学賞)など多数。日本ペンクラブ会員。日本YA作家クラブ会員。和光大学非常勤講師。

「2021年 『10歳までに読みたい世界名作 第4期 既3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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