今日もピアノ・ピアーノ (ティーンズ文学館)

  • Gakken (2023年11月24日発売)
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本 ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784052057786

作品紹介・あらすじ

お母さんにゲーム機を没収されてしまった、小学6年生の海斗。うかない気持ちで塾に向かう途中、駅にあるピアノで美しい音をつむぐおじいさんに出会う。
「このピアノは、だれが弾いてもいいみたいだよ。」
翌日も、海斗はそのおじいさんとピアノが気になり、駅に向かうことに。学校や塾、習い事にいそがしい現代の小・中学生におくる、小さな「変化」の物語。
巻末には、国内にあるストリート・ピアノの場所や、主人公が作中で弾いている曲の譜面を紹介するコーナー「ピアノが弾きたくなったあなたへ」を収録。
★★★第31回小川未明文学賞大賞作品!★★★

もくじ
1.駅のピアノ
2.お姉さんと『別れの曲』
3.おじいさんとの再会
4.カフェへの冒険
5.今がチャンスなんだよ
6.ピアノレッスン
7.だれのために?
8.今、できることを
9.ピアノ・ピアーノ
10.二人のクリスマスコンサート
11.海斗のそれから
あとがき
ピアノが弾きたくなったあなたへ
小川未明文学賞について

感想・レビュー・書評

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  • 受験勉強や習い事に忙しい小学生が、本当に夢中になれるものに出会う物語、というあらすじに惹かれて読む。子供がピアノに惹かれるって、どうしたらなるの?って、仕事柄気になった。
    ピアノ・ピアーノはイタリア語で「あわてず、ゆっくり、少しずつ」といった意味があるのだそう。

    文章は、取ってつけたような、何だか硬いものだったが、素直で、言いたいことが直に伝わってくる本だった。

    駅に置かれているピアノ。人によって賛否両論あると思う。私は正直あまり好きではない。ここではそれは置いておいて、駅ピアノでピアノの練習ができるっていうのが、まぁ、非常識ではあるけれど、羨ましい環境だなと思った。今は電子ピアノばかりで、なかなか本物のピアノに触れる機会がないし。

    登場人物の台詞に、よく聞く使い古された言葉だけれど、シンプルで優しい言葉で書かれているからか、この本で読むとすっと心に届いたものがあった。

    ◯「自分で考えて意見を持つことをすごく大事にしてるんだ。周りに流されたり、人のせいにして欲しくないんだって。」

    ◯「自分で考えて自分で決めた方が、後悔しないし、何より一生懸命になれるからね。僕の経験談。」

    ◯誰のために練習しているのか?

    ◯「あせらず、分解するんだよ。右手なら右手だけ、それができたら左手だけ。どちらも指がスムーズに動くようになったら、合わせてみる。そっか、問題は小さくして、それを一つずつつぶしていけばいいんだ。」
    「なんだ、これってもしかして、ゲームといっしょかも。ボスキャラと戦うときは、急所を一つずつ攻撃してつぶしていくもんな。」そう気づいてからは、こつこつやるのがむしろ楽しいとさえ思えるようになった。

    もし本当にこんな風な言葉がけが、子供の心に響いてくれるのならば、そして、練習を楽しいと思って、いや、楽しいとまで思わずとも、少しは練習してくれるようになるのなら、諦めずに声掛けをし続けようと思った。友達と、グループで一緒に取り組む部活などには真剣に取り組むことが出来ても、一人でこつこつと何かに取り組むことが出来る子供が、本当に少なくなって来ていると感じる。

    わかりやすい楽しさだけでなくて、そこに内包されている厳しさの中にある楽しさも感じられるようになって欲しいと日々願っている。そんな世界の理想の形を夢見させてくれる本だった。

  • 小川未明文学賞 今年度は大阪府の有本綾さんが大賞! | ニュース | 上越妙高タウン情報(2023年02月24日)
    https://www.joetsu.ne.jp/208230

    【第31回小川未明文学賞】大阪府・有本綾さん「小さな僕のメロディ」が大賞を受賞 | 本のページ(2023年4月10日)
    http://bookpooh.com/archives/46607

    今日マチ子のセンネン画報
    https://juicyfruit.exblog.jp/

    ティーンズ文学館|今日もピアノ・ピアーノ|有本綾(作) 今日マチ子(絵)|ショップ学研+
    https://gakken-mall.jp/ec/plus/pro/disp/1/1020577800

    ティーンズ文学館『今日もピアノ・ピアーノ』 | 学研出版サイト
    https://hon.gakken.jp/book/1020577800

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト『今日もピアノ・ピアーノ』 | 教文館ナルニア国
      https://x.gd/acni8
      ベスト『今日もピアノ・ピアーノ』 | 教文館ナルニア国
      https://x.gd/acni8
      2024/05/22
  • 塾に空手にスイミング、小学生の海斗はとても忙しい。けれどどれもどこか中途半端な自分に気づいてもいた。そんなある日、海斗は駅でストリートピアノを弾いているおじいさんに出会う。
    なんとなく日々を過ごしていた海斗の世界がこの出会いによって大きく変わる。

    やりたいことに出会い、真摯に向き合う姿は本当に美しいと思う。そして、海斗にピアノを教えてくれる青柳さんのスタンスがまた素敵で、良き指導者に巡り会えたことが、海斗くんの幸運のひとつでもあったのだろう。
    素直に感動できる本だった。

  • 街角ピアノっていいよね
    TVで見るのも好き
    自分もいつか弾けたらいいなと思う
    子どもの頃習っていたけれど人に聞かせるような腕前ではない
    簡単でもいいから素敵な曲を一曲レパートリーにしたい

    練習をしてみたくなる一冊

  • 誰のためにピアノを弾くのか
    ピアノに限らず、なんでも、自分のためって堂々と答えられたらいいなぁ。
    小学校高学年向けの本だけど、私たち大人こそ読むべきだと思いました。

  • 評価を⭐︎3にしたが、物語が面白くないわけではなく、今の私の読書欲にマッチしない内容だったという意味だ。

    小学校中学年、高学年あたりが読みやすい物語と字数ではないかと思う。現に、主人公も小学校6年生だ。なかなかに真面目な少年が、今となってはあり得ないであろう「見知らぬ人」と親しくなる話だ。

    もしかしたら、この「今では普通にあり得ない」見知らぬ人との出会いの話というシュチュエーションそのものが、今の子どもたちにとっては真新しいことなのかもしれない。

    入学したばかりの中学一年生あたりにも、おすすめ。軽く手に取れる分量と内容の話だと思う。

  • 5.6年から。塾に習い事に気持ちの入らない海斗が出逢ったのは、駅のストリートピアノをひくおじいさん。ピアノの音に魅了され、おじいさんとの出逢いが海斗の何となくな生き方を変えていく。
    言葉がとても優しいリズムで紡がれていて、読んでいて心が安らいでいく。物語も大人も子どもも変わりなく通じる出逢いや音楽の良さ、ピアノ・ピアーノのに含まれるメッセージも心に沁みる。

  • 高学年~。現代のこどもたちはいろんなものがあふれている。こうして自分の好きなものを選び取っていけたらなと思う。

  • ストリートピアノ弾ける環境と勇気。好きなことを周りに認めてもらう事の難しさ。たとえ趣味の範疇だって夢中になれる事がある人生はキラキラしてる。

  • いいなと思うものに出会えたら、思う存分やってみる。いいな、キラキラしてるなと思いながら読み終わった。海斗がやってみたいと思えるピアノと青柳さんに会えたこと、自分からやろうと行動したこと、すごく素敵。ピアノ・ピアーノ。ゆっくり、少しずつ。そんな風に進めたらいいなぁ。

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