- 本 ・本
- / ISBN・EAN: 9784054004436
感想・レビュー・書評
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読み終わる度に背筋が寒くなる短編集でした。
人の心のどす黒いところに、ゾクッとします。
「冬薔薇」「骨董屋」「山神」「幻獄」が好き。
「巫子」、皆川さんの体験が7割入ってると後書きでかかれてましたが、たいへんな少女期です。。「冬薔薇」の体操も目撃したものということで、これらの経験が皆川さんの根底にあって、こちらの短編集や他の短編集など様々な幻想小説を紡がれてるのかなと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
智内兄助氏の妖しくも美しい少女画の表紙が既に最高。口を固く結んで、視線がこちらを向かずに、左開きの方向を見てるのが・・・視線の先に物語の行く先と少女たちの行く末を見透かしてるかのようで・・・怖いのに美しい・・・。
70~90年代初出作品を多く収録しているだけあらい、舞台装置は確かに時代を感じるのだけど、そこにある恐怖は色褪せていないのが圧巻。
「冬薔薇」お家騒動に奇妙な体操怖・・・、でもこういうのあったんだろうな・・・。
「夜の声」オチが怖・・・怖・・・。既に皆川短編のカラーは此処に。血の呪い。
「骨董屋」これも皆川短編カラー色濃い。幼い残酷さが交錯する・・・。
「流刑」皆川先生いわく『好きな手法』らしく、過去と未来が交差するオチはたしかにお好きなようで短編でよく見かける。それよりも既に確立されていた皆川式耽美が・・・艶っぽいな・・・。傷付いた男と少女が重ね合う手と手・・・。
「山神」出た!皆川世界観の様式美、殺し合う百合風味熟女!!怖い!!
「幻獄」汚い百合に見せかけた二重三重トリック・・・皆川式幻視の世界・・・。
「山木蓮」お手本のような信頼できない語り手・・・と思わせておいて・・・っていう。うーん巧みだ・・・。
「冥い鏡の中で」姉妹百合だと思った?残念、いつもの皆川博子だよ!!
「巫子」収録作品唯一の中編でした。インチキカルト宗教を舞台に翻弄される男と少女たち・・・。実体験が7割って皆川先生マジで計り知れない人生を送ってらっしゃる・・・。 -
ミナガワ魔界の深奥には、いつも独りの少女がいる―霊媒となった少女たちを待つ残酷な運命(「巫子」)過去の自分からかかってきた深夜の電話(「夜の声」)少女と女流画家の世にも奇妙な愛欲地獄(「幻獄」)単行本未収録作品多数を含む怪奇幻想短篇集。(袖)
冬薔薇
夜の声
骨董屋
流刑
山神
幻獄
山木蓮
冥い鏡の中で
巫子
ミコの字が女じゃなくて子なのは、女性になると神聖が薄れるとかなのかなぁ…。
『少女外道』に比べると、生々しさが増えました。
夜の声、山木蓮が好み。 -
既読のものも含めて、非常に魅力的で好みなねっとり感だった。少女ホラーということで、少女あるいは少女だった頃の記憶がメインに描かれている。
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久しぶりに読んだら、怖くてたまらなかった「骨董屋」が、さほど怖くなくなっていて驚いた。皆川作品が醸し出す物語の魔の毒に、私まで絡め取られ、耐性ができたからかしらん。 少女を巡る幻想怪奇譚が9編収録。後の作品に見られるモチーフを見出したりと、怖ろしくも妖しく美しい濃厚な読書時間を過ごすことができて満足。 「冬薔薇」「流刑」「冥い鏡の中で」そして表題作の「巫子」が印象的。
著者プロフィール
皆川博子の作品





