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本 ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784054007734
感想・レビュー・書評
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本の本というジャンルの本は数々読んできたつもりだが、基本的には日本人による日本の文学を中心としたものが多かったと思う。
本書は、イギリス生まれの読書家コリン・ウィルソン氏の著作で、紹介される本も、当然だが要所ばかりだ。
文化の違い、時代の違いがあるにもかかわらず、本書で紹介される本たちは圧倒的に世界観が伝わってくる。
まさに世界レベルの読書家といった印象を受けた。
500ページにも及ぶ大作で一度読んだだけではなかなか消化しきれていないので、何度も読み直して確実に血肉としたい一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コリン・ウィルソン。
イギリスの小説家であり評論家だそうです。
寡聞にしてまったく存じ上げなかった作家ですが、ものすごい読書家です。
第1章のタイトルが「何冊あれば本は多すぎるか?」です。
これだけでもうわくわくするじゃないですか。
ちなみに自宅に本が2~3万冊の本があるそうで、本専用の物置が敷地内に3棟あるんですって。うらやましい。
子どものころは、ひたすら「面白い話」を読んで楽しんでいた。
けれど徐々に、読むだけではなく、読んで何かを考える本を好むようになってきたという。
その辺りがこの人が日本で特に人気がある理由なのかもしれない。
本を読む→ためになる
もちろん著者は読書に即効性を求めているわけではない。
精神を集中することによって、意識はより高次元の認識に到達し得るのであり、それによって人間という種全体が進化する可能性もひらけてくる→精神一到何事か成らざらん→なせばなる
じゃあ、どうすれば「なる」のか。
これを読書によって、考えていくのである。
“人生に何の目的もなく生きていくことは、自分の中の機械的な部分の奴隷となって生きること、すなわち「ロボット」として生きることである。”
不自由の中に閉じ込められた時に、自由のありがたみがわかる。
命の危険にさらされたときに、命のありがたみがわかる。
だから、精神の力で極限状態を作ることによって、精神活動を活発にすればよいのではないか。
これが著者の主張。
子どものころの「トム・ソーヤ―」「シャーロックホームズ」から、ゲーテ、プラトン、ヘミングウェイ、ドストエフスキー、ニーチェ、サルトル、ゾラにモーパッサンなどなど。
手当たり次第に読んで、考えて、断ずる。
かなりな独断。でも面白い。
13歳の時学校で先生に、「ドストエフスキーはどんな本を書くんですか」と聞く。
「陰気で病的な本だ」と先生に言われて、なんとなく「ロシアのポーみたいなものかな」と思ったって、先生、ざっくりすぎるやろ。
ちなみに史上初の探偵キャラは、ポーが作り出したオーギュスト・デュパンなのは知っていたけど、探偵(detective)という言葉を作り出したのはディケンズだというのは初めて知った。
昔からある言葉ではなかったのか…。
2点「あれれ?」と思ったこと。
“だとすれば、その集合的無意識が、少年雑誌に雇われたしがない三文文士のチームに憑りついて、原型的な「超人」をめぐる傑作を生みださせるということがあっても不思議はないのではないあるまいか?”
不思議なの?不思議ではないの????
“人間は幻想に取り囲まれ、個人の魂(梵)が本質的に神(バラモン)と同じであるという事実を見失っているだけだ。”
個人の原理(我)=アートマン
宇宙の原理(梵)=ブラフマン
梵我一如を悟ることによって、自由になり、苦しみから解放されるというのがバラモン教の教え。
ちなみにバラモンとは僧と習いましたよ、学生時代。
著者の理解が混乱しているのか、訳が混乱しているのかわかりませんが、読んでいてもやもやしてしまいました。
長年コリン・ウィルソンの文章を愛読してきた編集者の安原顕さんが、あなたの読書遍歴について単行本を書き下ろしてもらえないだろうか、と手紙を一通出したことがきっかけで書かれたこの本。
出版業界の中でも屈指の読書家である安原さんが一目置いている読書家ということで読んでみたけれど、読んでいる量がすごいだけではなく、読書という行為に対する愛着が規格外の人だと思いました。
著者プロフィール
コリン・ウィルソンの作品





