軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応 「仮に」理解して、「実際に」支援するために

  • 学習研究社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054029743

作品紹介・あらすじ

自閉症などの発達障害を抱えた子どもは成長の節目節目で様々な困難に直面しやすい。そこで一生を見据えた支援が必要となる。幼児期、小学校、中学校のころなどの成長のベクトルに合わせた仮の戦略を立てた支援の実際を解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 『月刊実践障害児教育』に連載された「悩み相談=「子どもの示す困った問題」は、どう理解できるのだろう?」を元に編集されたも。保護者や先生の相談に答える形式で、出生前後・就学前・小学校・中学校の子どもたちの世代にわけて構成されている。寄せられた30の相談に対し、いずれも相談者を労いながら、子どもたちが何に困っていて、子どもたちにとってどうすることが良いだろうかというスタンスで書かれている。

    最後の章に、著者の考え方が記されている。

    「支援の本当の主役は子ども当人であり、間近にいる保護者や家族である」
    「相談・助言・指導といったやり取りが生じる相互の関係は、本来同じ目線で、各々が対等の立場でやり取りができなければならない」

    「大切なことは、まず対応ありき・戦略ありきではなく、個々の思いに身と心をはせ、相手の思いを探るところから考え始めることです。」「そのときに必要な視点は、かれらにある「障害」への対応策ではなく、障害のある「かれら」への向き合い方を考えることです」

    そして、支援者の基本姿勢として

    「支援をするためには、気がかりな相手の状況を見極めることから始めるべきでしょう」

    「関心」をもって見続け言動を「観察」し、「記録」し、どのような気持ちが隠れているのか「予想」する。
    それを行うために、子どもの言動を「まねる」、子どもと同じ環境で「感じる」、そして子どもの行動を「予測する」ことを勧めています。

    そして「伝える」技術の大切さをあげています。「要点のまとめ方」「相手の受け止め方を見極めた予測」するとともに何よりも「相手を尊重する姿勢」=わからないときは相手に尋ね、「今自分ができる範囲内」という限界を知ったうえで、「できることからはじめる」という決心が大切だと語っています。

    支援者の方におすすめしたい一冊です。

  • 「仮に」理解する、「実際に」支援する、という考え方が、勉強になりました。

  • 就学前就学後。
    それら事例を扱う。

    わかりやすくて、温かい文章。

    厚めだが、すぐ読める。

    線を引きすぎて、逆に読みにくくしてしまった。
    反省。

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著者プロフィール

1958年、栃木県生まれ。児童精神科医・臨床心理士。獨協医科大学医学部卒。北海道内の精神科病院での勤務後、国立精神・神経センター精神保健研究所の児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長、北海道大学大学院教育学研究院教授、同附属子ども発達臨床研究センター教授を経て、現在、医療法人社団倭会こころとそだちのクリニックむすびめ院長。北海道大学名誉教授、日本児童青年精神医学会認定医。
主な著書として、『ADHDの明日に向かって 増補版』(星和書店、2004年)、『軽度発達障害――繋がりあって生きる』(金剛出版、2008年)、『生活障害として診る発達障害臨床』(中山書店、2016年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで――その子の「不可解」を理解する』(SB新書、2019年)、『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)。監修として、『わかってほしい!気になる子』(学習研究社、2004年)。また翻訳監修として、クリストファー・ギルバーグ『アスペルガー症候群がわかる本』(森田由美訳、2003年)、ダイアン・M.ケネディ『ADHDと自閉症の関連がわかる本』(海輪由香子訳、2004年)、エドナ・D・コープランド他編『教師のためのLD・ADHD教育支援マニュアル』(海輪由香子訳、2004年)、ジョージ・J・デュポール他『学校のなかのADHD』(森田由美訳、2005年)、ルース・シュミット・ネーブン他『ADHD医学モデルへの挑戦』(森田由美訳、2006年)、トム・ハートマン『なぜADHDのある人が成功するのか』(海輪由香子訳、2006年)、スティーブン・V・ファラオーネ『子どものメンタルヘルスがわかる本』(豊田英子訳、2007年)、アーサー・E・ヨングスマ他著『臨床現場で使える思春期心理療法の治療計画』(西川美樹訳、2010年)、ロバート・L・ヘンドレン編著『子どもと青年の破壊的行動障害――ADHDと素行障害・反抗挑戦性障害のある子どもたち』(松井由佳訳、2011年)、テレサ・ボーリック『アスペルガー症候群と思春期――実社会へ旅立つ準備を支援するために』(丸山敬子訳、2012年)、キャロル・グレイ他『いじめの罠にさようなら クラスで取り組むワークブック――安全な学校をつくるための子ども間暴力防止プログラム』(小川真弓訳、2013年)、アラン・E・カズン『子どもと青年の素行障害――診断・アセスメントから予防・治療まで』(吉田ちはる訳、2013年)、アーサー・E・ヨングスマ他『臨床現場で使える思春期心理療法の経過記録計画』(坂本律訳、2015年)、アーサー・E・ヨングスマ他著『教育現場で使えるスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーのための支援計画』(東眞理子訳、2015年)、クリストファー・J・パトリック編『サイコパシー・ハンドブック』(松井由佳他訳、2015年)、スーザン・ヤング、ジェシカ・ブランハム『大人のADHDのアセスメントと治療プログラム――当事者の生活に即した心理教育的アプローチ』(石川ミカ訳、2015年)が共に明石書店より刊行。

「2024年 『自閉症とその他の神経発達症のESSENCE(エッセンス)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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