名古屋の品格 (学研新書 33)

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  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054038943

感想・レビュー・書評

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  • 名古屋暮らしも2年近くになる。我住む街をより詳しく知ろうと思い、手にとった。 なかなか面白い本である。

     暮らしのなかで私が感じる名古屋の街の印象。 それは… 
    職場では挨拶が少なく人見知りが多い。一方、マンションの住民同士の朝晩の挨拶がきっちりしていることは東京の比ではなく、管理組合の活動もうざい位に活発である。一見矛盾しているが、それがこの街の印象である。本書によれば、他の土地のもんにはよそよそしく、地元住民同士の付き合いはきわめて濃い。それが名古屋文化だという。例えば隣近所の事情にも妙に詳しく、町内の娘に彼氏が出来たことまで通じている、という密なムラ意識として解説されている。
     職場での愛想の悪さは、私のように数年でナゴヤを去る転勤族はムラの外の人間として疎遠に扱われるということのようだ。
     このように、本書は、名古屋暮らしの日常の素朴な違和感にそれなりに「解」を与えてくれる。

     他にもナゴヤめしについての解説に納得。基本的に大味なのは製造業と労働者の街だから、と説いているのだ。成程…。

     製造業とブルーカラー文化を基調とする大都市(巨大なムラ)。それが名古屋の本質のひとつ、と合点した。

  • ブックオフの100円コーナーで購入した、2008年の刊行本。

    「国家の品格」が出たのが2005年で、それを自分が読んだのは、
    http://mogura7.zenno.info/~et/xoops/modules/amaxoop2/article.php?lid=5062
    2007年になってからだったので、本書の刊行当時は、まさに「品格」ブームだったんでしょうね。

    一番最後のくだりが、
    「名古屋の「品格」はまだまだ発展途上と言えそうである。」
    とあって、感想はまぁブーム本なので・・・ってことで。


    (2014/9/19)

  • 名古屋人は自虐的である。タクシーの運転手に名古屋のいいところを聞いても「なーんにもあれせんでかんて」と返ってくる。しかし、運転手の表情が暗いわけではない。そこにあるのは東京や京都を差し置いて名古屋がしゃしゃり出たくないという、一種の遠慮がある。
    名古屋人はケチである。「かけた元手は、いな、できればそれ以上のものを必ず取り返す。」という気質がある。
    名古屋は世間が狭い。出身高校所在地県での大学への進学割合は北海道に次いで2位。実質1位である。くいっぱぐれないし、土地が安い。
    驚くほど夜が早い。同じ飲むなら家で飲んだ方が安くつくし、タクシー代も使わずに済むからお金がたまる。夜は早く寝て、朝も早く起き、一生懸命に働くというのが名古屋のスタイル。生活必需活動調査では名古屋は一位ある。つまり、日本一は早い飯、早い糞なのである。
    名古屋はただのものが好き。
    相撲の土俵は米俵が使われるのだが、それを全部持ち去るのは日本広といえど名古屋場所位のもの。
    親との同居率が高く、お年寄りが家族や周りから大事にされる。金さん銀さんも名古屋の長寿姉妹である。
    地域でも職場でもムラ社会と呼ばれ、人間関係を重視する名古屋人の生き方はよくよく考えれば、昔の日本人の生き方である。名古屋を象徴する「排他性」や『閉鎖性』は見方を変えると、家族や地域社会を大切にしてきたことの証明。
    名古屋といえば経済と思われがちだが、根底には早寝早起きで働き者、節約倹約に励み、いざという時に備えてコツコツと貯金する、身の回りの物を大切にする、無駄遣いはしない、地域に溶け込み親や家族を大切にする―昔の日本人ならだれもが持っていたものを持っていた。
    あまりにも実利すぎる生き方が品格にまで発展しなかった。
    名古屋を含む東海地方の食べ残し率は9.6%と沖縄に次いで低い。
    ひつまぶしももったいない精神が生んだもの。一度食べても三度おいしい。
    名古屋が経済で独り勝ちしているのは以前と変わらず、石橋をたたいて渡ったり、時には渡らなかったりと、地味で慎重な経営をしていたからである。
    名古屋らしさとは
    名古屋はものづくりの街である。つまり、男の世界である。女性をターゲットにするのが基本であるのでビジネスになりにくい。時間に余裕のある男性はつまり高齢者である。もしくは中国や途上国の視察である。黒っぽいスーツを着た人がぞろぞろと真剣に眺めている様は決して楽しそうではない。ではどうしたらよいのか。実際問題、名古屋は潤っている。要するに誰かに来てもらう必然性がないのである。おそらくこうした状況はこの先まだまだ長く続くだろう。「観光」で人を集めるのは筋違いなのではないか。

  • 名古屋の本質とは?

    →ムラ意識が強く、排他的
    ケチで金にうるさい

  • できれば、仏様の御骨がある日泰寺、三種の神器のひとつがある熱田神宮、源氏物語絵巻がある徳川美術館など、
    品格のある話だけにしてはどうだろう。
    そうすれば、名古屋を知らない人は、すごく品格のある都市だと思うに違いない。

    品格ものの、品格のない話題の多さには、辟易としています。

    それでも、5つ星にしたのは名古屋の同世代の人なら、内容にうなづけるところもあるかもしれない。

  • 名古屋に行ってから読んだ本。
    名古屋文化について詳しく、面白い。
    名古屋は都市だが都会ではないという言葉がまさに名古屋だと思った。
    田舎の人間関係が残っている名古屋は温かい人間関係が残っていたし、とても住みやすい街であった。名古屋生活は楽しい思い出。

  • 名古屋が商品になる時代がきたというだけでも、いいか。

  • 今話題の「品格」モノの類
    と思いきや、大間違い

    ○○とはこうあるべきだ
    と提言するのではなく

    名古屋は最近景気が良い
    名古屋嬢は可愛くなってきた

    など、他地方との違い、イメージをひたすら
    書き綴った本でうむしろ「県民ショー」あたりの類か

    サブカル的読み物としては楽しく読めるが
    新書を読む気分で臨むと肩透かしくらいます

  • 現在日本一活気があるといわれる名古屋について
    単純な街の元気さや歴史、県民性ではなく
    「品格」という切り口で語ろうとしているところが
    結果的に薄っぺらい印象を残してしまっているのが残念。

    以前読んだドバイの本と比較しても
    抽象的な話が多く、読んだあと、で、なんだっけ?と思ってしまう部分は大きい。

    ただ、名古屋初心者としたそれでも面白かったのは事実。
    特に、名古屋人はみんな「ツレ」であり、互いに同じような状態であることを好む、
    だから、名古屋嬢もみんな同じを意識した結果ああなった、という分析は面白かった。

    城山三郎が言った「大いなる田舎」であることにいまだに変わりがないのであれば
    やはり名古屋が今勢いがあるといっても
    それは都市としての習熟度が高まったのではなく
    ましてやそこにすむ人たちが先進的になったのではなく
    単純に21世紀型・平成型モデルを日本、ないしは日本企業が確立できない中で
    昭和型を色濃く残して成功しているトヨタを中心にすえた名古屋が浮かび上がっているだけにすぎないのではないか。

    「先進的・最先端であるもったいないの精神は名古屋にこそ宿る」と
    筆者は鼻息が荒いが
    何のことはない、単純に昔の価値観を引きずっているだけではないのか。

    名古屋はあくまで大いなる田舎に過ぎず、あくまで日本が目指すべきものはここにはない。
    名古屋は確かに面白いが、ここにしがみついてはいけない、
    そういうことを考えさせてくれた、という意味では面白い。
    (ただし、これはこの本だから、というわけではなく、名古屋を取り扱っていたからだろうが。)

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著者プロフィール

1950年生まれ。愛知県立明和高校から東京大学文学部へ。卒業後、出版社勤務を経て編集企画会社エディットハウスを設立し、出版プロデューサー、ノンフィクションライターとして活躍。著書に『新・出身県でわかる人の性格』『新・不思議の国の信州人』『日本全国都市の通信簿』『名古屋学』『博多学』『札幌学』『広島学』『鹿児島学』『「城下町」の人間学』『語源に隠れた世界の歴史』ほか多数。

「2016年 『「いい夫婦」の旅術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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