Uボート部隊の全貌 ドイツ海軍・狼たちの実像 (WWセレクション)
- 学研パブリッシング (2011年6月28日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (632ページ)
- / ISBN・EAN: 9784054047280
作品紹介・あらすじ
狼たちが実体験を語る! 第二次大戦中のドイツ海軍「Uボート」部隊とは、実際どのような組織であったのか? Uボートの元乗組員約1000人に詳細な取材を実施、その実像に肉薄。従来のUボート関連戦史と一線を画す、資料性と臨場感に富む一冊。
感想・レビュー・書評
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550ページを超える大著。
第2次大戦中のUボート部隊とはどのようなものだったかを様々な角度から徹底的に分析している。ただし、Uボートによる戦果や戦績についての記載は少なく、戦闘シーンに至ってはほとんどない。本書のタイトルどおり、「Uボート部隊の全貌」であって、Uボート戦歴の全貌ではない。
具体的には、1930年代後半から終戦までのUボートの種類や建艦数、乗員である士官、下士官、兵の出自や経歴の分析にかなりの紙数を割いている。また、潜水艦戦を率いた指揮部隊、特にデーニッツの海軍内での昇進や発言力向上に伴うUボート部隊への物的・人的資源の割当の増加、また、逆に、科学力や合理性よりも精神力を重視したデーニッツの限界やUボート損耗率の大きさなどについても触れられる。さらに、無制限潜水艦作戦ということで商戦や客船を次々と沈める非情の部隊というイメージもあるが、戦争初頭では交戦規程に則って、臨検及び警告の後に沈めていたことや、戦争が佳境にはいってからも、生存者を救出したり援助を与えたりという活動をかなりの程度行っていたことも丁寧に記述されている。最後には、ナチズムとUボート部隊の関係といった政治面にも考察が進む。よくまあこれだけ調べたものと感心してしまう。
なお、本書を読むに当たっては、大まかなものでよいので、ドイツの地理、地方ごとのドイツ人の気質や宗教の違い、ドイツの教育制度についても予備的知識があった方が理解しやすく、退屈しないだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
並木均の作品





