- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784054048409
作品紹介・あらすじ
本能寺の変後、織田軍が旧武田領から撤退し、信濃、甲斐、上野は空白地となる。ここに徳川、北条、上杉が進軍し、熾烈な争いとなる。真田らも勢力確保を目指す。織田家中の政権交代劇の影に隠れて、注目されなかった本能寺の変後の東国情勢をひも解く。
感想・レビュー・書評
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[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
読み応えのある内容だった。増補版でないのが残念ではある。
2016年の大河ドラマ「真田丸」の放映が始まる前に読めてよかったと思う。
今まではほとんど注目してこなかった本能寺の変以降の甲信地方の流れがよくわかった。この著者が監修しているのであれば、極端に違和感が出ることはないと今から期待できる。
それにしても信長の野望では見たことのない武将が多数存在していたな。依田や曾根などは昌幸よりも活発に活動し、成果を上げているようだから登場してもいいような気がするんだけどな。天正壬午の乱以降はパッとしなかったのかな?
それにしても徳川も北条も上杉も全ての勢力が劣勢に陥っていた事には驚いた。やはり、本能寺の変が誰もが予想外で急いで行動していたからだろうか? -
詳細に記述されてるので全部覚えるのは無理だけど、流れは随分把握出来た気がする!この本をご紹介いただき感謝です。
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天下の行方は「天正壬牛」に原点あり
本能寺の変によって生じた東国空白地をめぐる騒乱
「本能寺にて信長死す」の報は、東国にも瞬く間に伝わった。
徳川・北条・上杉が、旧武田領を確保すべく触手を伸ばす。
かたや真田をはじめとする国人衆も勢力を拡大すべく躍起となる。
戦国期にも稀有な大躍進のチャンスに各陣営はどのように動いたのか。気鋭の研究家が送る「天正壬午の乱」に関する初の本格論考。 (2011年の刊)
第一章 武田勝頼滅亡と本能寺の変
第二章 各勢力、動き出す
第三章 三者鼎立
第四章 戦乱終結へ
買ったものの厚さに仰け反り積読状態でした。今回、意を決して読んでみましたが、めちゃくちゃ面白く一気に読みました。
現在、新刊では入手困難のようですが、もし本書を見かけたらとにかく購入する事をお勧めします。
内容が素晴らしいのはもちろん収録されている地図が素晴らしいです。
さすが歴史群像シリーズで培った学研クオリティーと言えます。 (地図製作、データアトラス株式会社とあります。)
あとがきで「徳川中心史観に与しない」とありますが、本書を読むと徳川家康が甲信を掌握したのは必然では無い事が解ります。
本能寺の変により、関東甲信地域の織田体制がリセットされ、徳川、上杉、北条の争いの場とかします。上杉景勝は北信を押さえますが、本国越後における新発田の乱のためそれ以上に領土を拡大することが出来ません。家康は順調に信濃を攻略しますが、酒井忠次の失策により従属した国衆の離反を招きます。北条氏直は大軍を擁し信濃に侵攻しますが、優柔不断(当てにしていた春日信達の内応が露見し誅殺されたことが原因ですが、大軍の割に戦意が乏しい気がします)によりチャンスを生かすことが出来ず、甲州へ転進します。
家康の甲州攻略は順調に進み武田旧臣を掌握します。(恵林寺再興を約束するなど人心掌握につとめます。)
甲州での戦いは、北条方の失策などにより戦線は膠着状態となり大軍の補給に苦慮した北条側は和睦の道を選びます。
こうした3巨頭の争いの間隙をぬって、木曽、小笠原、諏訪、真田などの国衆が生き生きと活躍するが、信州人としては痛快です。
私的には、木曽が頑張っているのと、非常にマイナーな下条氏の大活躍が良かったです。それと家康に忠誠を尽くす依田が健気。
家康の甲信侵攻が、織田政権の承認のうえに行われていること。織田政権による援軍の派遣が予定されていたこと。木曽義昌の後ろにも織田政権の影響がうかがえることなど、本書は読みどころ満載です。
残念なのは、参考文献一覧がないところです。ページの都合で省略したとのことですが、非常に残念です。(文中には史料名があり、各章の最後に資料の注釈があります。)
「天正壬午の乱」という視点から戦国史を一歩進めた大事な研究の成果と言えます。 -
信長死後に起こった甲斐・信濃の領有をめぐる対立と一連の戦いを「天正壬午の乱」と呼ぶのだけど、じゃぁその、対立に至る流れと結果ってどういうことだったのよ? ってのを、解りやすく解説した本。
大名の単なる領地争いというだけでなく、地方豪族や国人たちの思惑がどんなふうに歴史を動かしていたのかとか、どんな立場でこの行動をとっていたのかという点をキチンと解説されていて、読んでいて目からウロコが止まらない内容。
面白くって勉強になるって凄いことだと思います、実際。
学術書なのに、ページを捲る手を止められない本は久々でした。
著者プロフィール
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