東京今昔旅の案内帖 彩色絵はがき、古写真、古地図でたずねる (学研ビジュアル新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054049642

感想・レビュー・書評

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  • 以前読んだ『彩色絵はがき・古地図から眺める東京今昔散歩』にとても惹かれたため、似たようなテーマのこちらの本も読んでみました。
    この本では、街の目印となる建物や塔など、ピンポイントに絞った紹介のされ方がされています。
    明治から大正まであった浅草の12階建ての凌雲閣から、東京タワーを経て、スカイツリーに至るまでの、塔としてのランドマークが時代の変遷とともに紹介されていました。

    今よりも、さまざまに特徴的な塔が立っており、楽しい町並みだったことが伺えます。
    そのほとんどが関東大震災で倒壊してしまい、ニコライ堂も震災後は低くおさえられました。
    その後は一気に四角いビルの町になって行くことに、ものさびしさを感じます。

    幸田露伴の『五重塔』のモデルは谷中の天王寺だったと知りました。残念ながら、焼失してしまったそうです。
    また、御茶ノ水大学はかつて御茶ノ水駅にあったからというのは知っていましたが、具体的に今の東京医科歯科大学病院がある場所だったことが、地図からわかりました。

    ヨーロッパ旅行中によく目に留まるのは、凱旋門ですが、日本にも、壮麗な凱旋門があったと知って驚きました。
    日露戦争の戦勝記念だそうで、凱旋塔もあったとのこと。
    なにがきっかけで、なくなったのかが気になり、調べてみたら、一定期間のみ建てられていたものが多かったそうです。
    九段の高灯籠は今でもあるとのことで、(あのお堀のところに立っている古めかしい塔のことね)と思い当たりました。

    桃山風の歌舞伎座は、人目をひく建物ですが、帝国劇場との違いを目立たせるために純和風の外観にされたと知りました。
    今の帝国劇場の建物の特徴が思い出せないため、やはり外観の印象は大切だと思います。
    また、宝塚劇場は連合軍占領下ではアーニー・パイル劇場と呼ばれていたとのこと。
    聞いたことがない響きで意外でした。

    日本初のカフェは銀座のカフェー・プランタン。
    画家の松山昭三が経営したそうです。
    遊学先のパリのカフェを日本で開きたいという希望からだとのことで、利益優先ではなかったのだろうなと思います。
    日本のカフェとフランスとの違いは、本場にはない女給(ウェイトレス)をおいたことだそうです。
    フランスにもウェイトレスはいるはずですが、ギャルソンが主流だということでしょうか。

    女学生のピンナップ絵葉書が売れたと紹介されている中で、半袖半パン水着姿のものがありました。
    シマシマではなく「シマウマ水着が人気だった」と書かれており、(えっ)と見返しました。
    確かにシマウマに見えなくはないような横縞の柄でした。

    今回はなんだか戦争や経済といった近代化を感じさせるようなまとめられ方になっており、『東京今昔散歩』と比べて、ノスタルジーよりも時代の勢いと若干のせわしなさを感じました。
    個人的には、前述の本の方が好みですが、時代の移り変わりを把握するにはこちらの本の方が適しているように思われます。

  • 東京の都市絵はがき集。
    新書サイズのため写真も小さいが、カラフルで見ているだけで楽しい。
    東京タワーなど戦後の絵はがきまで収録されている。

  • ◆モノからみた東京の今と昔。この本でいう「昔」とは、明治時代から昭和30年代という、遠いようで近い時代。もはや体験した人のほうが少ない時代ではありますが、こんにちの東京の礎となる部分がつくられていった時期だといえるかもしれません。

    ◆とくに、この本が取り上げているシンボルタワーや劇場、花見や隅田川、大学や近代建築といったものは、こんにちもほぼそのまま残っているものも多くありますし、明治時代に高さ52mの凌雲閣をつくる技術力や、市電の”帰宅ラッシュ”を想像すると、まとめて”昔”として片づけていた時代の新しい一面が見えてくる気がします。

    ◆けれど当然、こんにちとの距離感を感じてしまう部分もあります。シンボルとなる建物はそれほど変わらなくても、周辺の建築物や地形は驚くほどに違うものになりました。いまや、品川駅のすぐそばに海を見ることもなければ、東京湾を航行する人が靖国神社の高灯籠を目印にすることもありません。けれど、連綿と続くものもあって、そこには今も同じように人が集まっていると思うと、やはりしみじみするものがありますね。

  • 凌雲閣は関東大震災で崩壊してしまった。
    豊多摩郡が出ている地図がある。
    市電は喧嘩腰で乗らないと乗れないくらい混雑していた。

  • 前作「東京今昔歩く地図帖」と同様、レイアウトのセンスが光る。古地図・ノスタルジー趣味派には必読必携の一冊。

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著者プロフィール

1931年、東京谷中生まれ。帝京大学文学部教授を経て、現在同大学非常勤講師

「年 『帝都地形図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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