メタンハイドレート 日本を救う次世代エネルギーの大本命 (ムー・スーパーミステリー・ブックス)
- 学研パブリッシング (2011年10月18日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784054051126
作品紹介・あらすじ
東日本大震災によって発生した福島第一原発の事故を受け、今、脱原発が叫ばれている。そうしたなか、次世代エネルギーの本命として、もっとも注目されているメタンハイドレートとは何か、基本的な情報と最新研究を紹介する。
感想・レビュー・書評
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日本太平洋側で採掘等もうまくいっているメタンハイドレードの本。
とはいうものの、前半半分弱は東日本大震災の原発問題におけるエネルギー問題について書いてある。邪推かもしれないが、資料が揃わず、原発関連2/5、残りがメタンハイドレードについてだった。
メタンハイドレードは、メタンガスそのものは引火することで大きな事故につながったり、メタンハイドレードは海中にあることから奥尻島の家事などについても関連している可能性があることをしり、危険性もあるが日本にとっては資源として使える可能性が高いことがわかった。
今後は、日本の資源のためにも、メタンハイドレードから水を取り出す技術と、そのコストを下げる技術を研究してほしいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(以下、本書100p~102pから引用)(ここから)
まず物質としてのメタンハイドレートは、メタン分子が水分子と結びついて結晶化した状態を意味する。またメタンは、地球上にさまざまな形で存在する炭化水素化合物が二酸化炭素と水に最終分解される直前の、非常に単純な可燃物質として知られている。代表的な可燃性の化石資源・石油にもメタンが含まれ、これは地中深くの石油が地熱を受けると単独のメタンに分離する。もうひとつ、地球の深層部では無機物質からメタンが生まれるという学説も唱えられてきたが、いまのところ実証的に確かめられてはいない。
そして人間が暮らす範囲内に存在するメタンのうち、大半は「メタン菌」が有機物質を分解する際に生成される。ただし、「メタン菌」は、そうした生化学的能力をもつ多種類の嫌気性細菌の総称である。地球上で最初の生命活動が始まった数十億年前には早くもメタン菌が誕生しているので、現在までにとてつもない量のメタンが生み出されたことが推察できる。常温1気圧のもとでの実態は軽い気体なので、その多くは大気中に拡散してしまうが、かつて海底・湖底などに蓄積した有機物質が地殻変動で地中深くに閉じ込められ、そこに生息するメタン菌によってメタン生成が続いているとみられる。
ハイドレートという言葉は「水和物」を意味するので、南関東ガス田に蓄積した水とメタンの混合物も理屈のうえではメタンハイドレートといえるだろう。しかし、新資源として注目を浴びているメタンハイドレートは水の結晶(=水)のなかにメタン分子が取り込まれた状態なので、物質の形としては完全な個体である。みた目は氷だが、水分子には大きな隙間があるので、メタンハイドレートの場合は驚くほど多くのメタン分子が取り込まれる。仮に1立方センチのメタンハイドレートを0度以上の温度で解かすと、最大で160立方センチのメタンガスが出てくる。この小さな質量に多量のメタンが含まれている物性に、燃料資源として開発利用するうえでの大きなメリットがあるのだ。
だが、1気圧常温下では解けてしまうメタンハイドレート結晶は、当然ながら特殊な物理環境下でなければ生成されないし形も保てない。無理矢理に1気圧下でメタンハイドレート結晶を製造するなら、マイナス80度C以下の低温状態が必要になる。さらに10気圧下ではマイナス30度C以下、23気圧下ではマイナス0度C以下、50気圧下ではプラス6度C以下、100気圧下ではプラス12度C以下と実証されている。要するに人工的にメタンハイドレートをつくり形状を維持するには、高圧または極低温の実験装置を用意しなければならない。
では、メタンハイドレートの生成に不可欠な「高圧、低温」の条件を満たす自然環境は地球上のどこにあるのか。ふたたび南関東ガス田を引き合いに出すと、地下500~1500メートルの砂礫地層に蓄えられた水溶性メタンは数百気圧に換算される高い圧力を受けているが、一方で、その圧力は地熱を上昇させるので氷結はできない。
そうなると陸上でメタンハイドレートの生成条件を満たすのは、厚さ数百メートル~1キロもの永久凍土や氷雪で覆われた南北両極地方の一部ということになる。そして、もうひとつの有力候補が海底下の堆積層内部だろう。海域によって違いはあるが、水深1000メートルを超す深海底の水温は0度C近くまで下がり、しかも水深10メートルあたり約1気圧の高水圧を受けている。この環境条件ならば海底面でもメタンハイドレートが存在でき、さらに海底面下では安定した状態でメタンハイドレートの層が成長できるだろう。
(ここまで)
さて、いきなり本書から一部引用させて頂いたが、上記が本書における「メタンハイドレートとは何か」を説明した記述である。
尚、本書前半の100ページ程はメタンハイドレートと直接関係のしない話題、今現在日本のおかれているエネルギー事情(原発問題が特に紙幅を費やしています)を総括し、本論である「メタンハイドレート」論へと繋げている。
やや辛口の批評になります。「メタンハイドレート」に関する話題はようやく庶民の間にもチラホラその名前を耳にしたことがある方々が増えてきたと思いますが、では「メタンハイドレート」って何?って素朴に感じた人や、そうでなくてもそれなりに門外漢の立場ではあっても多少知識を得た人が読む書としても、あまりお勧めできる本ではありませんでした。
理由は、図で示したり、一覧表を載せるほうが明確に把握しやすい事柄でも、ことごとく文章記述に徹している印象が強く、読んでいて非常に内容把握がしんどかったからです。上に引用したメタンハイドレートに関する説明でも、温度気圧と結晶の相関曲線の図を載せるほうが自明であるにもかかわらず、文章記述されているのが一例として挙げられます。
また、「立方センチメートル」等も記号表記一発で済ませるほうが見やすい。「12度C」も「12℃」で十分。さらに化学記号も多少は引用したほうが見やすくなるのにと思うこともしばしばです。
以上は冒頭に引用した文章から具体的に細かい部分まで指摘しましたが、細部の表現を指摘するまでもなく全体的な問題も感じました。本書メタンハイドレートに関する記述全体が、著者の取材・情報収集結果を幕の内弁当のように詰めて陳列開陳されているので、「分析」や「推理」や「事実」が入り混じった記述になっていました。注意深く読まないと「推測」を「事実」と読み違えそうになりました。
最後に。著者は専門外ながらメタンハイドレートに関する調査・取材を現在進行形で継続中の様子。今後さらなる情報収集や分析を経て、より整理されたメタンハイドレートに関する書籍を期待したいと思います。 -
メタンハイドレートが何かも分からずに読んだ。埋設ガスね。
エネルギー利用としての可能性より、自然現象の方が興味深かった。
東京のガス爆発、悪魔のトライアングルetc
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