- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784054052130
作品紹介・あらすじ
信長と家康、二人は同盟した。信長は天下統一を目指し、家康はそれに協力する。関係は信長が死ぬまで続く。はたしてその同盟関係は一様なもの不変的なものだったのか? 戦国時代の基軸となった清須同盟の真の実体に迫る!
感想・レビュー・書評
-
2012年発行。戦国時代における数多くの同盟、ほとんどが数年後に破棄される。にもかかわらず、信長と家康の同盟は21年も続いた。家康がひたすら耐えたから、というのがよく言われる解釈。この同盟の実体を探ろうしたのがこの本。結局のところ、双方の利害が一致していたというのが結論だけど、実体はさほど明らかになっているとは思えなかった。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
信長と家康の同盟は、なぜ戦国時代では稀有な長い期間、続いたのか……ということを説明するため、
信長と家康のかかわる事件、事象などをひとつひとつ解説している本でした。
結構長かった……。 -
信義なき戦国時代であっても数多くの同盟が結ばれている。そして、そのほとんどが数年後に破棄されているのだ。事情が変われば信義などない。それが戦国の常識だった。ところがその常識がくつがえされる現象が一つだけある。
なぜこのような奇跡と呼べる現象は起こったのか。いったいこの二人の間にはなにがあったというのか。信長と家康、真の清須同盟の実態に迫る。
副題は清須同盟の実体とありますが、信長と家康の出会いから本能寺の変後までを俯瞰的に取り扱っています。目新しい内容はあまりないですが、丹念に纏められており、堅実な内容となっています。
著者は、織田信長について「大魔王」、「革命児」といった先入観にとらわれないことが大事だといいます。著者は信長を、良質な史料のみでその生涯をたどってみると、まったく違った顔がのぞかれ、合理主義者の一方、良識を持った人物であり、かつ現実を踏まえた政治家だと評価しています。
家康については「神君神話」に惑わされないことが大事だといいます。江戸時代初期に書かれたいわゆる「徳川創業史」の史料としての価値を認めながらも、家康が神格化されていることに注意を喚起しています。
本書は、複数の説を取り上げながら、著者の考えを論じており、バランスのとれた内容となっていますが、欲を言うと、良質な史料のみでその生涯をたどった信長像を掘り下げて欲しかった気がします。
以下、気になった点を備忘的に記すと、
今川時代の家康の苦労話への疑問。一門の娘を与えるほど大切にされたというべきで、三河物語が言うほど悲惨ではなかったのではないか。
桶狭間後の家康による西三河制圧について、今川氏真による公認もしくは黙認があったのではないか。(私的には、公認も黙認も素直には頷けないが、家康の動きが今川方に敵対する行動とは認識されなかったことは確かであろう)
三方ヶ原の戦い。織田の援軍三千は、家康の監視役も兼ねていた。信長は、時間稼ぎのために家康を戦わせた。(監視役だったという視点は面白いが、このくだり、やや雑な論法に思われる。昔、織田方は籠城を勧めたという話を読んだ気がするが、本書では言及されていない。)
長篠の戦いに関しては、三千挺の鉄砲、三段撃ちを虚説としながらも、「鉄砲が火を吹くごとに武田の将士は倒れ伏し」や「鉄砲の乱射」など、従来説にひきづられているかのような表現があるのは残念なところ。
明らかな間違いか
(長篠の合戦の大勝利を)伊達政宗、小山秀綱、佐竹義重、田村清顕へと報じた。・・・政宗は、家督相続前(当時9歳くらい)であり、輝宗の間違いではないか。このため、画竜点睛を欠く感じがしました。 -
戦国の美談という人もいましたが、たまたまだった。お互いの利害関係が一致していたということが改めて確認された。