プロメテウスの罠: 明かされなかった福島原発事故の真実

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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054052345

作品紹介・あらすじ

史上最悪の放射能汚染はなぜ起こったのか官僚・政治・東電の罪を問う。

感想・レビュー・書評

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  • 福島の原発事故をめぐるルポルタージュ。2011年10月3日から朝日新聞に連載され、今も続いている。これを読むと、原発事故への対応がいかに杜撰になされてきたのかが実によくわかる。菅首相(当時)をはじめとした官邸は努力は傾けたようだが、いかんせん能力に限界があった。しかし、何よりも問題があったのは、原子力保安院と原子力安全委員会である。信じられないことに、保安院の院長は経済学部卒の官僚で、技術的なことは何もわからなかったのだ。そして、SPEEDIを活用することなく、あたら人的被害を拡大させてしまった。

  • 《誰が得をしようとしたか?》

    金儲け
    権威欲
    お友達
    自分さえ良ければ良い

    巨大な欲の塊、原発による大惨事

    責任を取らない
    他人事
    楽観的
    次世代に負の遺産を残して死んでいく
    逃げ切り

    必死で生きている人を、少数の無責任な人達が動かしている。

    「原発は誰得?」

    • 1331038番目の読書家さん
      爆発する一年前に名前は出せませんが、工学博士が福島原子力発電所の視察に行った時地震が来たら、危険な建物で恐怖を感じたそうです。そもそもコンク...
      爆発する一年前に名前は出せませんが、工学博士が福島原子力発電所の視察に行った時地震が来たら、危険な建物で恐怖を感じたそうです。そもそもコンクリート強度は50年から劣化が始まるのに、なぜ強行して危険な建物を建設したか恐らく貴方様の考え通りだと思います。膨大な資金を捨てても止めなければならないのが原発だと思います。
      2020/03/15
    • taka092767さん
      仰る通りです。
      止める必要がありますね!
      仰る通りです。
      止める必要がありますね!
      2020/03/22
  • P134「被害が出てくるのはこれからです。66年前の原爆で、被害者がいまだに国を相手に裁判を起こしている。これが現実です」

    続きも読む!

  • マーティン・ファクラーというジャーナリストが著書『「本当のこと」を伝えない日本の新聞 』でこの本を高く評価していたので、遅まきながら読んでみた。結論から言うと、読む価値をあまり見いだせない残念本だった。感想を纏めると以下のような感じ。

    ・文章に問題がある。とても新聞に掲載されていたとは思えないような、文章の欠落や不整合があちこちにある。正確さが命の新聞でこのような情報の「抜け」は受け入れ難い。

    ・内容も良いとはいえない。取材における聞き取りは「後日談」的なものばかり。この連載の企画スタートが震災の3か月後からという事と、「特報部」という部署の特性が自然とそうさせているのかもしれない。でも自社の現地取材による情報ほど説得力のあるものは無いだろうに、そういったリアルな情報は皆無である事に違和感を覚える。部署間の連携が良くないのかな。あるいは、クロスオーナーシップや記者クラブの存在が記者たちからジャーナリズム精神を奪ってるんでしょうか。

    ・引用元の記載がない。情報の粒度・内容からして取材ではなく二次資料を引用してるんだろうなって箇所があるけど、引用元の記載がどこにも見当たらない。なんだか不自然で気持ち悪い。

    以上です。。ほんとは被災者の声や、身を挺して圧力と戦った技術者、関係者の事を丁寧に取り上げている点を高く評価すべきなのかもしれない。でも上に挙げた理由から、本全体の信ぴょう性が薄れ、どうにも評価のしようがなくなってしまった。

    そういえば良い点もあったや。全体的に簡潔な書き方になってるのは好感が持てた。官僚の実名記載も話が明瞭化されるし、何より信頼性が向上する。あと記者の実名記載にも拍手を送りたい。本書の内容はさて置き、記者の方々にはジャーナリストとしての誇りと責任を忘れずに頑張ってほしい、と願う気持ちが自然に湧いてくる。

    最後に、本編とは関係ないけど、朝日新聞社の役員(出版当時は取締役)で、日本記者クラブ会長でもある吉田氏による「まえがき」が面白かった。たった2ページで違和感や嫌悪感を存分に味わうことができる。特に締めの一文は秀逸だった。「読者の皆さんがまだまだ続く朝日新聞紙上での連載にも熱いご声援を送ってくださることを願ってやみません。」このように謙虚さゼロな上に何かを大きく勘違いしてそうな前書きを、私はいまだかつて見たことがない。熱いご声援て、おまえは選挙カーか。まえがきで読者から読む気力を一気に奪い、猜疑心を与えた状態で本編へ誘うなんて高度な技は常人には思いつきません。こんなもん増刷のときこっそり削除しちゃえば良いと思う。

  • 本書は朝日新聞のルポルタージュ連載記事の書籍化したものです。連載は現在でも続いているそうです。ここでは福島原発事故による放射能汚染は、なぜこれほど多くの被害者を生んだのか。という事が語られております。

    僕は日ごろ朝日新聞を読んでいないので詳しいことはわかりませんが、この連載は単行本化された後も続いているみたいですね。それはリアルタイムでは読まずに続編が出たら読むことにいたします。それはさておいて、この本は朝日新聞にて連載された「3・11 あの日いったい何が起こったのか?」という記者がまさに足で稼いだ情報を元につづったルポルタージュです。

    これを読みながら、やはりマスコミの組織力はすごいなぁと思ったと同時に、これだけのことを震災当時、リアルタイムに報道してくれればよかったんだけれどなぁと一抹の怒りと寂しさを覚えてしまいました。読んでいて思うのはまさに「隠蔽工作」とも解釈できるような政府側の対応の数々で、放射能の知識がない一般市民に問い詰められても「緘口令」が敷かれていて一切数値を公開しない場面などを読んでいると、まさに「棄民」だなと、登場人物の一人で、自らの職を擲って現地の調査を行っていたたたき上げの学者と同じことを考えてしまいました。

    さらに、ほかの文献でもあぶりだされていましたが、政府中枢の混乱振り、これも際立っておりました。まさに「囚人のジレンマ」とも呼ぶべき様子を呈しており当時の菅直人首相をはじめとする閣僚たちは個人的には事態を収縮しようと躍起になっているのはわかるのですが、集団になると混乱し、支持系統がめちゃくちゃになっていたり、肝心の情報が届いていなかったりと、まさにカオスの様相を呈している場面が事態の重さを物語るものでありました。

    そのほかにも現在でも被曝を伴いながら現地に留まる人間と、「夜逃げ」のように避難する人間との「相克」が描かれたりと、いつ終わるとも知れない「原発災害」の重さを教えてくれる一冊でありました。

  • 詳細なレビューはこちらです↓
    http://maemuki-blog.com/?p=9303

  • 原発事故はまだまだ終わっていない。
    朝日新聞のコラムを書籍化。
    内部被爆を広島・チェルノブイリの例も交え詳しく解説。
    政府側の対応を時系列で客観的に実名で記載。
    このコラムで今後どう事態が好転するのか、否か、またみてゆきたい。

    20年後、30年後の日本人に見届けて欲しい一冊。

  • 最初はなんでこの本がそんなに話題なの?と思ったが、さすがに第六章は息を詰めて読みました。よくも悪くも極めて日本型ジャーナリズムですね。誰があのときこう言った、、みたいなのはとてもよく書けていますが、科学的な分析はかなり甘いです。個人的には第三章もよいです。坪倉先生の活躍も紹介されています。

  • 新聞の連載記事だけあって読み易く、理解し易い。被災者、政治家、官僚、
    研究者のそれぞれに丁寧な取材も行っている。でも、東京電力は取材拒否。

    福島第一原発事故の発生前夜から、その後の事故対応を様々な観点から
    検証している。ただし、官邸の対応については本書をそのまま鵜呑みにに
    は出来ないが。

    でも、おかしいじゃないか?当時の首相・菅直人がSPEEDIの存在自体を
    知らなかったって…。日本国の緊急事態時の最高責任者だぜ?どうして
    そんな人物に、必要な情報が提供されないのか。

    危機管理センターには原子炉の設計図もなく、保安院も安全委員会も
    放射能拡散予測を伝えない。

    東日本大震災では被災された方々に必要な情報が届かないことが大きな
    問題になった。しかし、日本の中枢にさえ最低限の情報が集まらないって
    のは異常だろう。

    先日、NHKスペシャルを観ていたら「住民がパニックを起こすから」との
    理由で段階的に退避区域を広げたことの言い訳をしていた人がいた。
    パニックになっていたのは危機管理センターではなかったか。

    尚、こんな官僚・政治家を尻目に正しい情報を集めようとした研究者が
    いたことを忘れていはいけない。それなのに気象庁気象研究所には
    なんの根拠もなく50年以上続けて来た放射能観測中止が申し渡される。

    誰が、何の為に、中止を決めたのか。判然としないところが、責任を
    取らない日本の官僚の体質ってところか。この第3章だけでも読む
    価値あり。

    尚、本書は朝日新聞の連載で今も続いている。不思議なのは同新聞社
    は出版部門もあるはずなのに、発行元が学研なのだ。う~ん、系列に
    テレビ朝日があるから?テレビ局の最大スポンサーが電力会社だから
    気を遣った?な~んて深読みしてみた。

    ところで、朝日新聞もそうだがメディアはメディア自身の震災・原発報道
    の検証をしてみてはどうだろう。

  • ここまで原子力にヘイトだと逆にすがすがしさを感じます。

    もちろん福島第一原子力発電所の事故により避難な精神的な苦痛を被った人へのインタビューは価値があるが、なんでもかんでも原子力のせい、というのは隔たりすぎでしょう。
    あと、原子力(≒放射能)が超危険!ということを間接的に言っている表現が多すぎる。
    例えばホットスポットで、100マイクロシーベルト毎時が発見されて、年間900ミリシーベルト浴びて国の基準を大きく逸脱する!大変だ!という表現。
    そりゃあ、屋外の流動がない水たまりでホットスポットが見つかって、そこに1年365日24時間たっていればそのような線量を浴びるけれど、そんな人いる?
    周辺よりも高い線量の場所なので「ホット」スポットと言うのです。

    あと、食べ物についても過度に内部被ばくの危険性をあおっており、WHOが定めた科学的に根拠のある数値なんかあてにならない!という論説で、なぜにあてにならないのか、という回答は一切ない。

    さすが朝日さんです。

    あと、著者は新聞屋であって原子力に精通している人では「まったく」ないので、科学的でもないし、原子力も理解していない。

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著者プロフィール

朝日新聞報道局につくられた調査報道専門の取材チーム。2011年の福島原発事故による放射能汚染の惨劇を受け、検証記事を作製するために、特別編成取材班がつくられた。

「2015年 『プロメテウスの罠 9』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝日新聞特別報道部の作品

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