- Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
- / ISBN・EAN: 9784054056466
作品紹介・あらすじ
大反響を呼んだ『戦国の軍隊』の著者の第二弾!日本の城の9割以上を占め、3~4万か所もある戦国の城。なぜこれほど多数の城が造られたのか。なぜこれほど千差万別なのか。前著と同様、「軍事」の視点から徹底考察、その実像に迫る!通説を覆す渾身の一冊。
感想・レビュー・書評
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まえがきだけで、ハートを鷲掴み、なんていう表現さえ使いたくなってしまう。われわれが90%だ、という中世〜戦国時代の城。
城ファンは城を「攻める」のに、研究者は「攻める」と言わない理由。この城をどう攻めるか、と聞かれたら「航空隊に爆撃してもらう」という答え。そういう冷静かつ興奮するような視点で、城の通説の理解を正してみよう、という本。研究の中身と著者の人格がよいバランスで出てきている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
城取り、って城攻めのことではなく、縄張りから城の建築を指すんだそうだ。
沢山の城跡を、なぜこの場所にこの縄張りをする必要があったのかという、そもそものところから検証していく。
私は城に詳しいわけではないが、こういう視点で城を見ている本て、あまり見たことがない。
大きかろうが小さかろうが、山城だろうが平城だろうが、中世だろうが近世だろうが、特定の武力集団が自分達の軍事上の都合によって構築する防御施設、それが日本の封建制社会にあっての城の本質なのだと解く。
なるほどなあ。 -
中国やヨーロッパにおける都市が城壁に囲まれているのに対し、日本の城下町は城壁に囲まれていないどころか城の防御機構になっているのはなぜかと思い、読みなおした。
第八章の最後に日本の城と城下町の関係に触れているが、結論としては戦国時代の大名は自領に攻めこまれた場合でも城下町を守る事を目的としておらず、反撃の機会を伺い城下町が焼き払われても戦力を温存する場合もあったようだ。
著者は応仁の乱から100年近く内乱が続いた結果、日本の城は権力そのもの、軍隊そのもの、あるいは戦争そのものを守るようになっていたのではないかと書いている。
城下町の誕生に関しては面白い事に別の『歴史の中の江戸時代』で著者の速水融が大名が作り出したと主張するのに対し、この本の著者の西股総生は城の需要を満たすために商人等が集まった結果だと主張しており、トップダウンとボトムアップで真逆の主張なのは大変面白いなと思った。
自分としては戦国初期はボトムアップでの城下町が多かったのではないかと思うが、末期に近づき大勢力が誕生するとトップダウンの城下町も多く生まれるようになったのではないかと思う。 -
全ての城に城下町は無い、のも当然といえば当然の話。ただし、そこまで考えないので、改めて指摘されると「確かに」と思う。
時代が下るにつれ、城は大きくなるのが当然かといえば、それも違う。むしろ鉄砲の影響で、塹壕戦の要素が出てくるのが意外。でも、指摘されると理にはかなっている。 -
縄張り研究者の西股総生氏による、戦国城跡本。「ほとんどの城は、純粋な軍事施設」という持論に基づき、城には現実の状況に対峙するための具体的な目的と意図があると説く。そして、「小さい城は、その地域を地盤とした弱小土豪の居城に違いない」という考え方が如何にナンセンスかを強調している。著者は、戦国大名の戦略拠点としての居城を除き、ほとんどの城は特定の状況に対処するために築かれた時限的なものであり、状況が変われば放棄されたと推測している。そのような「時限的な城」には、輪番制の守備隊が詰めているだけなので、「城主」はおらず、「城主の居城」という概念も成り立たない。といったことを主張する本。
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Lv【初心者】?
内容としては初心者でも解る…けれど、まえがきでも有るとおり、城郭用語の解説などはない、もしくは解っている前提で書かれている。
・曲輪・堀(水堀/空堀/竪堀)・大手・虎口・馬出(主に東国)・単郭/連郭
(↑頭に入れておく、すぐ調べられるサイトや他の本が有れば大丈夫)
戦争論や戦略論を楽しむ人には非常に面白い本だぞ!
ミリタリー系のたとえ話もよく出てくるしな -
いわゆるお城、と呼ばれる近世城郭ではなく、
中世城郭を縄張りという視点で書かれた珍しい本です。
お城にはそれなりに詳しいつもりでしたが、
それでも目から鱗、的な内容も多かったですね。
すべてに賛同できるわけではありませんが、興味深かったです。
お城というと、
天守や櫓や石垣がある近世城郭が思い浮かべがちですが、
圧倒的多数を占める中世城郭にも、
多くの人の興味が集まればと思います。