太平洋戦争のロジスティクス

著者 :
  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054058729

作品紹介・あらすじ

「日本軍は、ロジスティクス(兵站補給)を軽視したために太平洋戦争に敗れた」としばしば言われる。はたしてそうだったのか。日本陸海軍のロジスティクスの流れと方法、各種関係機関、鉄道や船舶などの輸送手段をつぶさに検討するとともにこの通説を覆す。

感想・レビュー・書評

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  • これで映画かドラマが一本はできるほど新鮮な角度

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    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    よく日本軍は補給を軽視していたと言われるが、この本を読むことで必ずしも補給を軽視していたわけではないことが理解できた。太平洋戦争においても補給自体は実施しようとしていることが理解できたが、残念なことに日本にはその拡大に耐えられるような地力が存在していなかったということなのだろう。
    この本を読み感じたことは補給そのものよりも、それらを支えるシステムに多くの問題が存在していたことがよく分かる。マレー作戦とインパール作戦の比較もなかなかに面白かった。

  •  帝国陸海軍は兵站を軽視したといわれるが、本当にそうだったのか?という疑問に答えを出すべく論を展開する。 著者は「兵站を重視していたという」立場で論を展開しているが、問題点も十分指摘しているので決して結論ありきの論とはなっていない。兵站の重視、軽視と作戦の成功、失敗は別の問題であるという前提のもと、どのような組織が存在し運用されたかを順に紐解き、作戦の成功事例としてマレー作戦、失敗事例としてインパール作戦を兵站の視点から分析している。
     結論を始めに言ってしまえば「兵站の重要性を理解し準備をしていたが、運用、マネジメントに問題があり、また太平洋戦争という新しい考え方とそれに伴う部隊の規模の拡大に対応できなかった、だから作戦に失敗した」となるだろう。それを明治以降繰り返された輜重部隊に関する法令や研究資料を挙げて解説している。この小史を見れば試行錯誤を繰り返した様子がわかる。また、国内のインフラの整備も進め総力体制を構築していることからも決して軽視しているとはいえないだろう。一方で組織内の対立や新しい考え方への拒否感によって思うように運用できなかった面も指摘している。そして太平洋戦争に突入したことによって部隊の規模が国力を超えた規模にまで膨れ上がり、輜重部隊そのものの維持が困難になった結果、補給が滞るようになったとしている。
     もし兵站を軽視しているのならば、兵站に関する組織が作られることはなかったという著者の指摘はもっともである。それに、「補給物資が届かない」ということが起きるということは、裏を返せば補給物資が届く仕組みがあり、それが運用されていたということでもある。それを考えれば少なくとも兵站を軽視していたとはいえないだろう。

  • 感想未記入。引用省略

  • 統制による権力拡大で何が起きるのか?秘密保護法とかも責任を果たせず機能不全に陥ったら、また国滅ぶのかね?

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著者プロフィール

林 譲治(はやし・じょうじ)
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、
幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。
確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。
著書は『戦艦大和航空隊』『異邦戦艦、鋼鉄の凱歌』『新生八八機動部隊』(以上小社刊)、
『帝国電撃航空隊』『超武装戦闘機隊』(電波社)、『星系出雲の兵站』(早川書房)など多数。

「2020年 『技術要塞戦艦大和 (3) 珊瑚海海戦!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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