殿さま狸

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054062207

作品紹介・あらすじ

国か、御家か、息子の命か、それらを全て失うのか? 絶体絶命の天下分け目の戦いで東西両軍をあっと化かした、蜂須賀家二代目による「関ケ原一の奇策」とは? 阿波踊りをはじめた男は、大名にして商売人、なによりも川並衆だった! 徳島藩祖の痛快な半生!

感想・レビュー・書評

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  • #読了 蜂須賀小六の嫡男、蜂須賀家政が主人公。蜂須賀小六は知ってるし、徳島藩が蜂須賀家だってこともわかってたのに、ここが全く結びついてなくて読み進めながら「なるほど!」と納得することが多かった。
    そもそも蜂須賀家政という人を知らなかったので、新しい人を知ることができるっているのはとてもわくわくする。
    家政は危機に何度も陥るけれど、そこからなんとか巻き返していく。後手後手に回ることが多く、人とのかかわりもそううまいとは思えないところが、人間味があって良いのかも。
    同じ著者さんの「うつろ屋軍師」主人公の江口さんの名前もちらっと出てきて、前作を読んでたのでちょっと嬉しかった。

  • 羽柴秀吉を支えた蜂須賀小六の嫡男である蜂須賀家政について書いた本です。

    時代的には、羽柴秀吉が毛利攻めにいそしむあたりから、関ヶ原の戦いの仕置き後あたりまでが描かれています。

    蜂須賀家といえば川並衆ですが、この川並衆の信念や生き方を軸として、豊臣の世から徳川の世へと苦労しながらかじ取りした様子が伺えました。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-d025.html

  • 阿波国藩主、蜂須賀家政の半生を描く。

    父親の蜂須賀小六の名前くらいは知っていたのだけれど、嫡男の家政のことについてはほとんど知識のないまま読んだ。表では不敵な態度をとりながら、正室の比奈の前でだけ本来の臆病な姿を晒し出す家政に好感を覚える。意外や経済感覚に優れ、稲作に適していない阿波の土地で藍や塩の産業を作り出し、一大商業地に発展させた才に感嘆を覚えた。元は川並衆という出自であったからこそ、この経済の才が育まれたという流れには、ナルホドと思わされる。阿波国存続のために、狸と呼ばれた策略の才をもって立ち回る家政の姿に最後まで魅了。阿波踊りの起源説や、「のぼうの城」の忍城に対する水責めの舞台裏(?)も描かれていて、終始、興味深く読めた。

    「うつろ屋軍師」に続いて2冊目だが、どちらも面白い人物を取り上げていて、文章も読みやすく、楽しく読ませてもらった。多少、作り過ぎているエピソードもないではないが、それなりに史実に添ったものであり、荒唐無稽な感をほとんど覚えることなく読むことができる。次作以降も追いかけていきたい作家さんに決定。

  • 蜂須賀家の話

  • 一言で言うと、帯のあおりにだまされた。

    帯の文句から想像したのは、阿波踊りの発祥となった破天荒な殿さまかと思ったら。。。阿波踊りなんて1ページも占めておらず、もう一つのあおり文句の関ヶ原の奇策も、対して奇抜にも思えず、興奮するシーンがなかった。同じエンタメ歴史系なら、確実に「のぼうの城」の方がわくわくした。

    石田三成との友情は良かったが、一冊でまとめるにはすでに周辺歴史を広く知っていないとついていけず、その意味でもあんまり良くなかった。秀吉が乱心しており、三成がむしろ世間の噂と違って、みんなを庇ってその処置を軽くしているのではないか、忍城で水責めにこだわり続けたのも秀吉で三成はその意思に応えようとし続けただけ(証拠の秀吉の書簡が何通かあるらしい)とか目新しい視点ではあった。

    また、家康の反撃のきっかけとなった婚姻だが、それを誘導したのが家政で、家政をうまく騙しこんで導いてそうさせたのが、主家の毛利家を天下に伸し上げたかった堅田兵部(実際に処分されている)というのも面白い視点。信長の人質であった時の家政の世話役の高木佐吉の存在感も面白い。

    もう一つの見どころは、国か秀吉への忠義か友(三成)かの葛藤に苦しむ家政。

    書いたように、なかなかの読み応えがある内容なのに、それを描くには短すぎ、背景を知らない人にとっては説明不足な点が残念。

  • この時代っぽくない単語が多くて少々興を削がれるものの、あちこちの言い回しに妙に色気を感じるので相殺して★4つ。

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著者プロフィール

1987年栃木県生まれ。2014年『うつろ屋軍師』が第19回歴史群像大賞に入賞し、デビュー。2015年、同作が第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞候補となる


「2022年 『決戦!賤ヶ岳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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