戦前回帰

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  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054062856

作品紹介・あらすじ

日本は敗戦とともに軍隊という「ハードウェア」を捨てた。しかしそれを駆動させていた「ソフトウェア」はその後どうなったのか? それが再び起動しつつあるとしたら? いまこの国でなにが起こっているのか。気鋭の論客が読み解く日本近現代の地下水脈!

感想・レビュー・書評

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  • さまざまなことが
    腑に落ちてしまう、
    さまざまなことに
    改めて危機感を持ち、
    さまざまなことに
    今一度 自分の頭で考えたい

    ぼやーっと見過ごしてしまうことは
    大きな罪であることを
    再認識させてくれる一冊です

  • 社会
    戦争

  • 著者は太平洋戦争へと向かっていた日本をコンピューターに擬えて国家神道をOSに、軍国主義をOS上で行うアプリケーションソフトに喩えている。

    そして安倍晋三による改憲は旧OSを再起動させるようなものだと言う。

    <blockquote>つまり、戦前・戦中の日本軍の特徴として挙げられる人命軽視の悲劇を二度と繰り返さないためには、当時の日本を「軍国主義」と捉えるのではなく、宗教的政治思想が戦争指導部とここの軍人の価値判断に大きく影響せていた事実を直視する必要があります。
     その構図は、第2次世界大戦で日本が敵として戦った連合軍の国々はもちろん、同盟国であったナチスドイツとも、完全に異質なものでした。
    (P.40)</blockquote>

    著者は"戦前・戦中の日本人の、その前後の歴史から隔絶したかのような、異常とも言える思想と行動について"、"正常な判断力を失い、冷静で理性的な状況ならば絶対にしないようなことできるようになる"状態=熱病に罹患した状態に喩えて大日本病と呼んでいる。

    そして、この熱病の発生源こそがOSたる国家神道だというわけだ。

  • ほぼ知っている内容の本だったが、至極真っ当なことを直球で投げ切ったような印象で、かつとてもわかりやすく書かれており興味があれば誰でも読めてすんなりと理解できる教科書的な一冊。右左関係なく真っ新な気持ちで読むとすっと心に入ってくると思います。良著です。

  • 1967年生まれ山﨑雅弘氏の「戦前回帰(大日本病の再発)」(2015.9)を読みました。日本の戦前・戦中と戦後、第2次安倍政権発足後の世の中の動きについて語った政治的な話で、難しい内容でした。「戦陣訓」や「教育勅語」がそのまま復活するとは思えませんし、人命を軽視したり無視したりする国家政策に変わるとも思えませんが、いつの世も「政治は国民のためにある」ものであって欲しいと思います!

  • 特に第二章はとても勉強になった。重要なキーワードである「国体」についての解説は、戦前・戦中に政府などが出していたプロパガンダ誌などに直接当たった上で述べているので、説得力もかなりある。さらに現首脳陣らがなぜ日本国憲法を敵視するのか、その背景もキチンと説明されている。「日本会議」について学ぶうえで参考になる一冊だと思う。

  • 色々と腑に落ちた。

    国家神道が今日まで生き延びてきたことこそが日本の恥だ。

    日本会議ほどじゃなくても、大日本病の欠片を発病している人は世の中にたくさんいる。

    大日本病予防
    1、際限のない「誉め言葉」に注意すること
    2、二者択一や「敵と味方」の二分法を拒絶すること
    3、謙虚な思考を心掛け、傲慢な思考に陥らないこと
    4、客観的視点と合理的思考を常に持っておくこと
    5、文化や信仰と「政治」の境界を意識すること
    6、「形式」ではなく「実質」で物事を考えること
    7、独立した思考を持つ「個人」であり続けること

  • 「建国神話」を基盤に位置づけ、天皇を現人神として拝む「国家神道」が支配した当時の日本では、「天皇を頂点とする国家体制」こそが戦争で守るべき第一であり、次が領土。「個人」を全否定する「国体」思想の下で、国民の生活や命は軽視された。国体明徴運動の高まりの中で軍部は戦局を正しく見極める合理的思考を失い、国の主権を外国に奪われるまでに戦禍を広げた。この「亡国の体制」を擁護し復活させようとしているのが現政権。第二次安倍政権発足以降、天皇や皇太子からは護憲の思いが重ねて示されているが、NHKはそれを伝えない。

    靖国神社は戦没者を神格化して顕彰する政治的な宗教施設。もとは「長州藩の戦没軍人を祀るローカル神社」であり、薩長軍と敵対した「賊軍」の兵は祀っていない。戦没軍人の約六割が、兵站の軽視による餓死であり「戦死」ではない。死亡した軍人を等しく「英霊」として祀る靖国神社がある限り、どんなに多くの自国民を死なせようとも軍部の無能が追及されることはない。

    【校正漏れ?】
    昭和天皇が一九四一年十二月八月に下した「開戦の詔勅」に記されているように、(p.171)
    →昭和天皇が一九四一年十二月八日に……

    戦前・戦中の日本では「当然の前提」とされたような、日本人優越思想とその背景を「単なる神話と伝説」や「架空なる概念」という厳しい言葉を用いて、(p.255)
    →……「単なる神話と伝説」や「架空なる観念」という……

  • 大崎Lib

  • これは、歴史書ではない。現在進行形の話である。

    読み手として求められているのは現在を生きる私たちだ。


    【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
    https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200183294&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200452801&type=CtlgBook

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著者プロフィール

山崎雅弘(やまざき・まさひろ) 1967年生まれ。戦史・紛争史研究家。

「2020年 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山崎雅弘の作品

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