佐藤優の特別講義 戦争と有事 ウクライナ戦争、ガザ戦争、台湾危機の深層 (学び直しの時間)
- Gakken (2024年9月26日発売)


本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784054070103
作品紹介・あらすじ
★★★“知の巨人”佐藤優が語る、
ニュースだけではわからない
危機の時代の見取り図★★★
////////// 本書のココがスゴイ! //////////
・“知の巨人”佐藤優が、現代世界が直面する
民主主義の劣化および紛争の激化について、
どこよりも深く、わかりやすく解説
・ビジネスパーソンにとって真に価値ある知識・
思想が満載の、時宜を得た教養書
//////////////////////////////////////////////
『佐藤優の特別講義 戦争と有事』
人は、国家は、なぜ殺し合うのか? 宗教による対立、民族間の紛争、領土の奪い合い……。憎しみと復讐の連鎖に終わりはあるのか?
ウクライナ、ガザ、そして世界の各地で今も続けられている凄惨な戦闘は、膨大な数の被害者と甚大な破壊をもたらし、この現代世界をとてつもない混迷に導こうとしています。ニュースだけではわからない世界と日本を覆う危機の深層を、“知の巨人”佐藤優が語り明かします。
【戦争と有事:目次】
序 章 なぜ人間は戦争をやめられないのか?
第1章 ロシア・ウクライナ戦争の行方
第2章 ガザ戦争にひそむ殉教と報復の論理
第3章 東アジアの有事の可能性を読む
第4章 戦争と平和――日本の国防と未来
「戦争と有事」を理解するための10冊の推薦図書
「戦争と有事」あとがき
■□■□■『学び直しの時間』シリーズについて■□■□■
『学び直しの時間』は 、現代人が知っておくべき知識と教養について、どこよりも深く、そしてわかりやすく解説。数多くの新刊書籍がしのぎを削る教養書分野に大きな一石を投じること間違いなしの新シリーズです。
世界情勢を見通し、生き残るための、ビジネスパーソンにとって真に価値のある知恵が詰まった読み応え充分の本シリーズに、ぜひご注目ください。
感想・レビュー・書評
-
ウクライナ・ロシア紛争とガサ戦争の内在的論理を理解して、東アジアで戦争を起こさないように行動する。ことをテーマに読みました。内在的論理は理解できたが、行動できるか。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し難しいところもあったが面白かった。ロシアとウクライナの関係、イランとイスラエルの関係がわかりやすかった。
-
戦争を煽るのは大衆ではなく知識人
東アジアで有事が起こってもアメリカは守ってくれない。日本は起こさないための外交交渉に力を注ぐ。
北朝鮮の脅威を排除するためには国交を樹立すること。その後に拉致問題を解決する。
核兵器を持っている国には現実を見て対峙しないといけない。
東アジアのパワーバランスは変化して日本は国力から考えて後退戦に入らざるを得ない。リアリズムで対処。
日本の生き残りの道はインドネシアとミャンマー。将来経済大国になるインドネシアと中国のインド洋への道、現代の援蒋ルートを封鎖できるミャンマーは極めて重要。
日本の核武装は構造的、理論的に無理。アメリカは太平洋戦争の記憶は残り、日本を本質的に信用しないので絶対に持たせない。
自由、平等、平和の概念は極めて脆く、他国に押し付けると戦争が起こる。
平和がないと自由と平等はない。平和のためには防衛力が重要で共同体を守る意思は教育で強化。ただし国家を守る意識を過剰に植え付けるイデオロギーには警戒する。 -
世界は「新しい戦前」にある
生の欲動と死の欲動が戦争の根底に
外交で相手の攻撃「意思」をなくす
イデオロギーでなく現実的問題で交渉
友と敵を分ける人間の本能
NATO東方拡大が戦争の原因か
グルジア侵攻が確執の分岐点
ユーロマイダン革命はクーデターだった
ロシアの緩衝地帯確保へのこだわり
イスラエルの生存権とパレスチナ問題
ホロコーストと「他者を当てにしても無駄」意識
ハマスの「滅びの美学」
日米安保は片務的、自前の抑止力は核か
日本の安全保障は「後退戦」
インドネシア、ミャンマーとの戦略的外交
日本の核武装は国民性から不可能
核共有・核の傘は幻想
民主主義下の国民の無責任体質
平和第一義、人権・価値観は時に棚上げ
相互主義、「やられたらやり返す」平和? -
【第1章 ロシア・ウクライナ紛争の行方】
p. 73 陸続きの大国ゆえ、ロシアは伝統的に、自国の周囲にバッファーゾーン(緩衝地帯)を設定しようとする。ロシア、ウクライナ戦争の原因の1つに、こうしたロシアの『恐怖』に基づく世界観があることは間違いない。(奥山真司『世界最強の地政学』)
p. 74 ロシアにとってウクライナ南部は黒海への出口だっただけに、ウクライナの西側への接近は死活問題。
【第2章 ガザ戦争に潜む殉教と報復の論理】
p. 100 イスラエルという国ができた背景には、第一次世界大戦時のイギリスの三枚舌外交があった。「バルフォア宣言」を根拠として、第一次世界大戦後にユダヤ人はパレスチナへの帰還を始めた。その後ナチスドイツのユダヤ人へのジェノサイドを受け、第二次世界大戦後にパレスチナへの帰還はさらに本格的になっていく。
p. 102 パレスチナ問題は、議論のスタート地点における立場設定が非常に重要です。この問題は、イスラエルの生存権を認めるか、すなわちユダヤ人の帰還権を認める立場に立つか、認めない立場に立つかで、完全に変わってくるのです。(中略)
しかし、イスラエルはヨーロッパにいたユダヤ人が作った植民地であると言う立場の場合、ハマスの戦闘行為もテロも、パレスチナに住むアラブ人による植民地解放闘争と言うことになり、ユダヤ人はパレスチナに住んではいけないと言う結論に至ります。つまり、本来の自分たちの母国であるヨーロッパに帰れと言うことです。
このように、パレスチナ問題を考えるにあたっては、立場設定が最も重要だと言う点を最初に理解しておく必要があります。
p. 111 もう一つ、ジェノサイドによって植え付けられたユダヤ人の意識があります。(中略)ドイツを始めとするヨーロッパ各国の人々は、ユダヤ人をジェノサイドから積極的には救わなかったと言う歴史的事実があるのです。このような状況から、ユダヤ人が「他者をあてにしても無駄だ」と言う考えを抱いたとしても不思議ではないでしょう。ユダヤ人は祖国を持つ必要性だけでなく、多くの敵対勢力に囲まれたときにどうするべきかを考えるようになりました。要するに、「自分の身は自分で守るしかない」ということです。
このように、今回のイスラエルによる徹底したガザへの攻撃も、ユダヤ人の歴史とイスラエルの地理的背景による内在的論理がわからなければ、理解することは難しいのです。
p. 112 イスラエルの内在的論理を考えていくと、今回のガザ地区への軍事作戦実施は、イスラエルにとっての“自衛権”どころか、さらに根源的な権利である“生存権”を守るための軍事作戦であることがわかります。かつてホロコーストを経験したユダヤ人にとっては、「全世界から同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」というのが本音であり、信念なのです。いってみれば、これこそがイスラエルの論理であり、国是なのです。
p. 119 日本にやってきたガザの画家の言葉が紹介されています。
日本で日本人が生きているこの暮らし、これが人間が生きるということであるなら、ガザにおける生、それは決して、人間の生などではありえない。自分はこれまでひとたびも人間として生きたことなどなかった。自分は日本に来て初めて人間となったのだ、だから、私の歳は7日なのだ。
p. 132
要するに、イランはイスラエルに何らかの報復をしないと国民にも示しがつかないため攻撃を仕掛けましたが、本格的な戦争になる事は望んでいなかった。その後、イスラエルの報復攻撃があることはありましたが、現在両国が戦闘状態に入っていないことからも、これはそう理解できます。相互に以心伝心でやったプロレスだったのです。こうした国家間の駆け引きを理解しなければ、中東情勢を大きく見誤ることになります。 -
専門家、知識人→専門以外は大衆と同じ。
脅威=意思✖️能力
ヒューマニズム
GDPの虚構性
民をまとめるための主義、主張が必要。
ウクライナも悪である。
内在的理論。 -
最近の私にとって知の巨人と言える佐藤優氏。恐らく氏の知識・智慧の総量の100分の1にも満たないであろう一角を濃縮してかつ平易にまとめた本書。俄然、きな臭くなってきたパレスチナ情勢についても、既に氏の懸念が的中しつつある。本書の背景に、氏の圧倒的な情報量を感じる。
学べば学ぶほど、理想とリアリズムの狭間において目眩がする。私は何のために学ぶのか。学んでどうなると言うのか。無力感を感じながらも、でも、この一歩からしか始まらないと思い直し、また頁をめくる。
著者プロフィール
佐藤優の作品





