勝手に生きろ! (学研M文庫)

チャールズ・ブコウスキー 都甲幸治

• 学習研究社 (2001年5月8日発売)

作品紹介・あらすじ

第二次大戦前後のアメリカ。チナスキーは、楽な仕事を求めてグレイハウンドのバスで全米を駆け巡り、酒と女と競馬に溺れ、ときおり小説を書くという日々を送っていた…。伝説の無頼派作家ブコウスキーが、放蕩に明け暮れた２０代を赤裸々に綴った最高傑作！

感想・レビュー・書評

[minamiaoさんの感想 · 2018年3月31日]

猛烈に。愛すべきくだらなさ。
どこか抜粋しようと読み直すが、どこも同じくらいくだらなすぎてなかなか抜粋するのも難しい。
バーで請け負ったブラインド掃除の仕事を最後は他の客や娼婦たちも手伝ってくれるとこが好き。
ジャンとの怠惰な生活、別れは映画版でも感じた同じ寂しさ。なんだろう、この希望と絶望のないまぜは。
失業して給料の小切手をもらいに行くのだが、そのときジャンはハイヒールを履いている。理由は彼が喜ぶからだ。けれどお金はその日もらえず、シチューの肉と野菜は買えず、ジャンはハイヒールを脱ぎ捨て、ストッキングで歩き出す。このとき映画版ではヘンリーがおぶってあげるのだが、原作では、からかってクラクションをならす車に中指を突き立てるのみ。帰って少し喧嘩をしてからセックスして寝るのだ。
あとやはりケジラミの薬を長時間放置して大変なことになるシーンもよかった。
それから画材店で働いているときの同僚ポールが誕生日に女から買ってもらった痩せる機械で、機械が勝手に上下に動くからその上にのればなにもしなくてもセックスできるというエピソードもくだらなすぎて、圧巻。最後のダーリーンのストリップシーンには、チナスキーが味わってきた空虚と、これからへの絶望と希望が集約されている、そんな気がする。

[rcnさんの感想 · 2013年5月4日]

03031

二十代の頃の彷徨、下働きの日々を描いた自伝的長編。簡潔だがツボを得た語り口は、その後のビートたけしの書く小説などにも影響を与えているのかも。作者がモデルと思われる主人公は単なる性格破綻者ではなく両親から承認を与えられなかったアダルトチルドレンではないかという訳者の読みが深い。

著者プロフィール

1920-1993　ドイツ生まれ。３歳でアメリカ移住。24歳で初の小説発表、郵便局勤務の傍ら創作活動を行う。50歳から作家に専念、50作に及ぶ著作発表。『町でいちばんの美女』『詩人と女たち』等。

「2010年 『勝手に生きろ！』 で使われていた紹介文から引用しています。」