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- Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
- / ISBN・EAN: 9784059003236
作品紹介・あらすじ
北条三来和尚は肌身離さず数珠をもち、朝夕に念仏を欠かさない。それが突然、袈裟を脱ぎ捨てて宗会議員に立候補した。かつて生き仏とまで讃えられた大老僧が、湯水のごとくゼニをまきちらし、仏戒を破り、票をかき集めるべく大奮闘する。宗門をあげての大騒動の果て、最後に和尚が口にしたのは…。聖俗のはざまに揺曳する人間模様を活写した第44回直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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浦野所有
4作が収録されていますが、直木賞を受賞した「はぐれ念仏」が一番、印象が弱いような…。
104歳の高僧を描いた「不老長寿」は30ページ強。ここから読み始めたほうが、寺内大吉の世界に入りやすいかも。
私好みの“女の一生モノ”である「月影の里」もいいです。若干、心理描写が甘いようなところもありますが、ミニチュア版『一絃の琴』といった趣です。
「梵唄鈔(ぼんばいしょう」には、声明師(しょうみょうし)という、仏典にフシをつけて歌い上げる「声明」にたけた僧侶が登場。人智を超えた超高音にせまる僧侶の気迫が、文庫を手にする私のもとにも伝わってきました。
いずれの作品も僧侶を扱っていながら、かなり俗な部分が入り込んでいるのが特徴。仏に生きる方々の素顔は、私たちにはなかなか伝わってきませんが、ある部分では同じように欲や本能のままに生きるし、ある部分では常人が考え及びもしない世界を生きているんでしょうね。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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