- 本 ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784059004509
作品紹介・あらすじ
深川の十六夜長屋に住む甚六は、ある日川べりで行き倒れの男を見つけた。男は驚くほど巨体で、血と泥に塗れた姿は鬼を思わせた。しかし甚六は連れて帰る……。歴史群像大賞最優秀賞、日本ファンタジーノベル大賞、W受賞作家、初の書き下ろし時代小説!
感想・レビュー・書評
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時代小説。人物の描写がとても良い。
物語がどうなるか、というか、一人ひとりの行く末が気になって読んでしまう。
人間同士の繋がり、息を呑むような決闘、あらゆる場面が魅力的。
山さん、どうなるかと思ったけれど。ラストも良かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終章の「海野儀助という…」の一文がかわいくて、大好きです。
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江戸は深川の貧乏長屋、十六夜長屋に住む男やもめの甚六は、河原で行き倒れている大男を拾った。常人でない体力や敏捷性を有しているが記憶を一切失っている男は「山さん」と名づけられ、娘のとみと一緒に甚六の家で居候暮らしをはじめる。
一方、江戸の武家屋敷の一室で、怪しげな密談が交わされていた。
行き倒れの山さんの正体はなんなのか、甚六たち十六夜長屋の住人たちは、知らぬ間に争いの渦に巻き込まれていく。
話の筋や設定としては悪くないと思うんだけど、ころころ語り手の視点が変わることや、過剰すぎる思わせぶりな書き方や叙情たっぷりの描写のせいで話の仕組みがわかりにくい。
書き手の感情が盛り上がりすぎちゃって、一読者である自分との温度差がありすぎる気がした。
もっと淡々と語られたらおもしろかったと思うんだけどなぁ。 -
2006/12入手。2007/1読了。
仁木先生の二作目。一作目のファンタジー中華小説とは一線を画して、こんどは真っ当な時代小説です。真っ当という割には、異能ものなんだけど。
前作を読んだときにも感じたんだけれど、この作者は日常の風俗を描くのが巧みです。生活を丁寧に、生き生きと描けていて、突っかかるところが無いから、物語に没入できるし、楽しい。このあたりは、作者さんの目論見通りになってると思う。<br>
正直なところ、異能格闘という点では見所はあまり無かったりする。目立っていたのが、本来主役であるはずの山さんではなく、藤村先生であったり、甚六と三兄弟の楽しげな旅道中であったり。面白いからいいんですけどね。<br>
次回時代物は、ぜひ、『樅の木は残った』みたいな大作を書いていただきたい。
著者プロフィール
仁木英之の作品





