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本 ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784059007821
作品紹介・あらすじ
混迷する現代に光明をもたらす仏教の救いとは? 文学、歴史、芸能など幅広い分野を縦横無尽に馳せながら日本人の信仰について語り、ブッダが教え日本が育んだ叡智を明らかにする。仏教思想に独自の視点でアプローチしてきた二人の知の巨人による白熱の対話!
感想・レビュー・書評
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五木寛之と梅原猛による、親鸞の思想などをテーマにした対話です。
この二人の仏教理解には、「非我」や「空」の否定性が欠如しているのではないかという疑いをかねがね抱いていたのですが、本書を読んでその思いをいっそう強くしました。
梅原は『美と宗教の発見―創造的日本文化論』(ちくま学芸文庫)のなかで、鎌倉時代以前には「日本的霊性」の目覚めがないと主張した鈴木大拙を批判し、最澄や空海の思想を見なおそうとしました。たしかに、天台本覚思想や即身成仏を説く密教、あるいは神道との習合のなかに、日本の宗教意識のあり方を見いだすことは可能でしょう。しかし注意しなければならないのは、大拙は一人の思想史家として鎌倉時代以前の日本仏教を切り捨てたのではなかったということです。むしろそこには、ドグマティッシュな「即」から「即非」への廻心を果たした大拙の宗教的実存を見るべきでしょう。梅原は大拙の「人」(にん)を見ず、どこまでも文化史的な次元で宗教現象について論じているように思えます。とくに悪人正機を軽視する梅原の二種廻向解釈は、すべてを受け入れるものとしての「自然」の絶対肯定にいき着くほかないのではないかという疑問を感じます。
そして、蓮如や暁烏敏の影響のもとに親鸞を解釈する五木にも、これと同じ問題を指摘することが可能でしょう。もっとも五木の場合は、ロシア正教の影響を無視してトルストイやドストエフスキーを理解することはできないと主張しているのに、なぜこのような仏教理解で満足することができるのか、不思議な気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20141223読了
2011年出版。中身が濃い。●対談当時、五木氏第二部を執筆中だったという「親鸞」は現在、完結篇の第三部が刊行されており、梅原氏が書きたいと言っていた親鸞の本は今年の10月に「親鸞『四つの謎』を解く」として上梓されている。●宗教で説かれる戒めは、人間の中には根源的に悪が存在していることを見抜いているから。●順番待ちの親鸞・完結篇が楽しみになった。二種廻向(往相、還相)。蓮如の本もおもしろそう。●そういえば宗教をテーマにする以前の五木氏の作品は読んだことがなかった。 -
仏と神の感覚がさらにしっくりと馴染んだ。
神はあるもの、仏はなるもの。
キリスト教が根付かないのは、日本の伝統を排除してしまったから。
デウス大日やマリア観音、やっぱり私は好きだな。
著者プロフィール
五木寛之の作品





