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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784059020554
作品紹介・あらすじ
ゲーテの論文をでっち上げた法学者、シェイクスピアの戯曲を偽造した少年、3万通もの架空の古文書を書きまくった能筆家……妄想を肥大させ、異様なる情熱をもって偽書をつくりつづける作家たちとは? 真贋論争の渦中にいた偽作者たちの系譜をさぐる!
感想・レビュー・書評
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盗作というか、結構(=構造や組立の意)自体が
嘘だったりする様々な偽の書物について。
うーん、メタフィクション(笑)。
歪んだ思慕の情や名誉欲、
あるいは愛国心のなせるワザ……
その他「奇妙な情熱に駆られ」ちゃった人たちと
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安定の面白さ。エピローグで語られる、「人工の無根拠」を根底とする完全なる偽書という思想は魅惑的です。正当中の正当をもって任じる古典が偽書であり、さらに何人たりとも偽書であることを知り得なかったとするならば、はたしてそれは古典なのか偽書なのか? 想像するだけで心ときめきますね。
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「贋物」よりも厄介なのは「偽書作家」かもしれませんね。古くから「Pseudo(偽)誰某作」というものは山ほどあるし、何とかいう作家は誰それの隠れた筆名だ、とか、「伝 某作」として伝わっているものもたくさんありますから。これまた千野帽子『読まず嫌い。』から仕入れたネタですが、ドン・キホーテにも「海賊版続編」というのが先に出て、セルバンテスはそれを引用・逆手にとって「続編」を書いてる、とか、ああ、ややこしい!各節のタイトルをいくつか並べますが、シェイクスピアを作る少年王妃の真筆中世貸します偽書検閲官の偽書等々。「偽書」あるいは「偽作家」には、それぞれの物語があります。とっても面白いです。ただし、自分の読んできたものが、本当は誰の筆になるものだったのか、煙に巻かれて一瞬不安にもなったります。でもすぐに、誰が書いたのでもいいから、それが楽しければいいかな、と思ってしまうのが、お気楽な単なる一読者の私ではあります。
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偽作、偽書とその書き手にまつわるエピソード集。多くは金や名誉を得る手段なのだが、それ以上にデモーニッシュな情熱を感じるものもある。
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大好きなサルマナザールとかポイニッチ写本の話かと思ったら、ちと違った。
3部構成になっていて、有名作家関連の偽書、歴史上の人物に関する偽書、愛国心から生まれた偽書、てな具合。
中でも気に入ったのが、フランスの大数学者シャスルを騙したリュカの話。
リュカの作った贋物は、ほとんどが有名人の書簡。カエサル、クレオパトラ、ユダ、ピラト、ジャンヌ=ダルク……
それが、揃いも揃ってフランス(ガリア)万歳の内容で、そんな2000年近く前の手紙を信じるかいな、と思いそうなものの、
シャスルはなぜか信じてしまったのだ。
そして、パスカルがニュートンよりも35年前に万有引力を発見していたという内容の手紙を買って事件は発展する。
シャスルがこの万有引力の発見の事を本にしてしまうのだ。
こうして、アカデミーで真贋論争が繰り広げられる。
毎日のように未発見の書簡、ガリレオやポンパドゥール夫人の手紙が発見されて辻褄合わせがされていくが、
書簡の元ネタが発覚し、さらにすべてがひとりの筆跡ということが証明されて、
シャスルは観念し、リュカは逮捕される。10年間に3万通の手紙を書いたそうだ。
偽書屋は金目当てもあるんだろうけど、歴史を思いのままに書き換えていくって言うのがたまらんのだろうね。
今じゃ、ネット上に流れたウソは、そのまま本物になっちゃう情報時代。
ウソもホントも両方とも現実になる時代としては、読むべきかも。
エッセイだから読みやすいし、知識も詰め込まれてる。
フェイク好きの人にオススメ。
著者プロフィール
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