澁澤さん家で午後五時にお茶を (学研M文庫 た 12-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784059040064

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  • 種村季弘による
    澁澤龍彦にまつわる文章を集めたエッセイ集で、
    澁澤の本に寄せた解説や、
    新聞・雑誌に掲載された書評を含む、
    「怪人タネラムネラ目線で照射したドラコニアの地平」
    といった本の文庫版。
    澁澤十七回忌に合わせての文庫化だった由。
    そのタネさんも鬼籍に入って久しいが……ともかくも、
    澁澤の仕事人としての人物像と
    作品を支えた土台、
    骨組みが浮かび上がってくる絶好の参考書。
    手にする順序が逆になったが、図らずも
    数多の業績を生んだ「驚異の部屋(Wunderkammer)」を
    再現した
    世田谷文学館『澁澤龍彦 ドラコニアの地平』及び、
    その図録を補完してくれる一冊となった。

    タイトルはイタリアの画家クレリチが
    友人の作家サヴィニオ追悼のために編んだ画文集
    『アルベルト・サヴィニオの家で午後五時にお茶を』の
    もじり、らしい。
    仏文学者と独文学者の、
    つかず離れず、絶妙な距離感を保った交流が偲ばれて、
    男同士の友情が清々しく眩しく、美しい。

    ( ˘ω˘ ) .。oO(女はこんな風に付き合えないからなぁ……)

    澁澤龍子夫人による解説(p.319)の中に、

    > 文学や書物については、
    > ほんとうによく話が合ったようで、
    > お互いに家を行き来して、「こんな本がある」とか
    > 「これを読んだか」とかいったような会話が
    > しきりに取り交わされたものです。

    とあって、何となく
    鈴木清順監督『ツィゴイネルワイゼン』の
    青地と中砂の関係や、
    中砂未亡人が青地宅へ「主人が貸した本を返して」と
    夜な夜な訪ねるシーンを思い浮かべて
    ニヤニヤしてしまった。

  • 古今東西に渡るオカルトに関する話題を広く紹介した澁澤龍彦について、同じ趣味の持ち主である著者が語った文章を集めた本です。

    とくに、澁澤を「メートル原器のある庭園」という文章は、おもしろく読みました。そこでは、澁澤が異端趣味に耽溺することからもっとも遠い人物だったという見方が語られています。澁澤は、正常と異常をひとしく位置づける「メートル原器」のような存在であり、そのような審級であったことが、法律を司る審級であるお役所に対してもっとも許すことのできない存在だったというのが、著者の見方です。

    また、巻末の「澁澤龍彦を読む」という文章は、「澁澤龍彦全集」の解題を集めた章で、澁澤の主要著作についてのコンパクトな解説になっており、「澁澤龍彦入門」としての役割も果たしています。

  • 生前親しかった作者の、澁澤さんがらみのエッセイその他を集めた1冊。新聞や雑誌の読書評や、単行本の解説が中心ですが、たまに対談があるのが面白かった。澁澤さん本人との対談もですが、澁澤さんについて出口裕弘氏と種村さんが対談してたのが、なんかこう客観的で興味深かったです。

  • 1994年に河出書房新社から刊行されたものに増補、文庫化。澁澤龍彦と公私ともに親しかった著者の澁澤論。いや、「論」ではなく友人として語り合った、たくさんのお話。実際に葬儀のときに著者が述べた「出棺の辞」も収録。「午後五時のお茶は六時にもならぬうちにたちまちお酒になり、…(中略)…、いつしか深更に及ぶ」のだそうだ。楽しそうだなあ、こういう「友達」がいるのはいいなあ、と、心底そう思う。

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著者プロフィール

種村 季弘(たねむら・すえひろ):1933-2004年。東京都生まれ。東京大学文学部卒業。ドイツ文学者。該博な知識人として文学、美術、映画から魔術、神秘学にいたるまで多彩なジャンルにわたり執筆活動を展開した。著書に『ビンゲンのヒルデガルトの世界』(芸術選奨文部大臣賞、斎藤緑雨賞受賞)、『書国探検記』、『魔術的リアリズム』など、訳書に『パニッツァ全集』(全3巻)などがある。

「2024年 『種村季弘コレクション 驚異の函』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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