- Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061149069
感想・レビュー・書評
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書名の通り、その年に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた18編を厳選したものだそうです。
18編というのは、ものすごいボリュームだなあと読んでみて思いました。
いいなと思ったのは、ただ単純なミステリーばかりではなく、様々な種類のミステリーが収録されているというところでしょうか。
18編もあるので、自分の好みそうな話を選んで読めるし、試しに読んでみたら意外と好きかも、という話に出会えると思います。
ただ、ミステリーの短編集でよくあることですが、ひじょーーに、グロい話も収録されているので苦手な方は要注意です。
特に戸梶圭太さんの『マイ・スウィート・ファニー・ヘル』。
これは説明にもスプラッタと書いてある通り、まさに人がゴミのように死んでゴミのように壊されています。
それに奇形を題材にしたものが2作ありました。
特に中島らもさんの『DECO-CHIN』はちょっと…な。痛かったな。
あと奇形ではないですが、人を造りかえ奇形にする朱川湊人さんの『虚空楽園』もインパクト強かったです。救いがあるのかないのか微妙な話でした。
個人的に、ミステリーとして非常に面白い!と思ったのは、三雲岳斗さんの『二つの鍵』と朝松健さんの『東山殿御庭』。
それぞれが、かの有名な人物を探偵役に据えています。
『二つの鍵』は、レオナルド・ダ・ヴィンチ。『東山殿御庭』は、一休さん(でもこちらは、厳密には一休さんは探偵役というよりは導き役)。
この二作は、面白かったです。
探偵役を聞いただけで、ワクワクする。ストーリーもミステリーとして完成度高い(と思う)。
『東山殿御庭』は、よく使われる二重構造になっていますが、それでも使い古された感じはしません。『陰陽師』が好きな方は、きっと好きになるお話。
あと田中啓文さんの『子は鎹』は、ミステリーというよりは人情話です。でもものすごくよかった。落語のお話です。
それから推理ものとして面白かったのは、石持浅海さんの『貧者の軍隊』。題材も面白かったけど、内容もなかなかでした。この話に出てくる探偵役のシリーズ読みたい。
大御所の法月さんと柄刀さんの作品はさすがの安定感です。
安心して読めるとはこのことだと思いました。特に法月さん。面白かった!
惜しいと思ったのは、北原尚彦さんの『愛書家倶楽部』と蒼井上鷹さんの『大松鮨の奇妙な客』かなあ…。
この二作は、ラストさえもっとこうならこうだったのにーー!と思わず唸ってしまう惜しさ。
もちろん、個々人の趣味なので、読む人が読めば最高の作品なのだとは思います。
でも私としては、ラストにもう一ひねり欲しかったな〜という感じです。特に『大松鮨の奇妙な客』は、途中まではすごくよかったのに…!ラストでずっこけました。え…これで終わり?と……
思わせぶりな探偵役まで出したわけだから、どんでん返しを期待したのに!詳細をみるコメント0件をすべて表示