教養としての世界史 (講談社現代新書 80)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061154803

感想・レビュー・書評

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  • ローマ人。イタリア半島を征服したとき、被征服民の権利にあえて格差をつけ、(仲違いへと仕向け)彼らが結束してローマに反抗するのを防いだ。p.34

    当時のヘレニズム世界・ローマ帝国。いろいろな民族が混在。特定民族の神ではなく万人の神を説くキリスト教が広がる素地があった。p.39

    ヨーロッパ中世。戦争・疫病・飢饉・貧困。混乱した社会に秩序と安定をもたらす「厳しい枠」が求められた。封建制。p.76

    十字軍。罪もない人々が異教徒(イスラム教)というだけで無惨に虐殺された。野蛮行為。狂信と殺戮。残忍であればあるほど神の意に沿うとでも考えたのか。騎士道精神もあったものではない。p.77

    ビザンツがイスラムの西欧への侵入を防いだことで、西ヨーロッパ人は草深い田舎で町づくりを進められた。p.82

    朱熹の大義名分論は異民族による支配を受けた漢民族がそのコンプレックスをはねのけようと、中華と未開辺境(夷狄)との別、上下関係を観念の上で強調した。p.95

    近代より前、東西の交渉はあったが、互いの世界に深刻な影響を与えるほどではなく、東は東、西は西だった。p.99

    中世封建の時代、国王は権威はあるが権力がない。権力は諸侯がにぎっていた。近代になり、国王は権威とともに権力も手中におさめた。p.117

    オランダが平戸・長崎に商館をおき、日本と交易できたのは、ポルトガル・スペインのようにキリスト教布教や植民ではなく商売に一途だったから。p.126

    英。七年戦争でプロイセンを助けて財政難。植民地アメリカで増税して賄おうとした(印紙法1765)。代表無くして課税なし。独立戦争へ。p.132

  • コムパクトに世界史を概観しませうといふ書物は数多くあります。学生時代にあまり熱心に勉強しなかつた人(わたくしのことです)が読むのでせうか。ここでは、故・西村貞二氏の『教養としての世界史』を登場させます。この方、オスカー・ワイルドの個人全訳を成し遂げた西村孝次氏のお兄さんなのですね。無学なわたくしは知りませんでした。

    さて、このタイトルですが、ちよつと厭らしいですね。「教養としての」なんて。中には「いや、俺は『もういちど読む山川世界史』で十分だぜ」と主張する向きもゐらつしやるかも知れません。
    まあまあ。山川出版社の本も良いけれど、アレは基本的に「教科書」であります。西村氏の著書は、単に、各国の歴史を編年体で述べたものではありません。著者も語るやうに、しよせん新書一冊で世界史を俯瞰するのは無理といふもの。
    そこで、西村氏の言葉を借りれば、本書では「世界史の肖像画をえがく」ことを眼目としたらしい。

    「肖像画は、個人の風貌をたんにリアルにえがくのでなくて、時に思いきったデフォルメをするとき、かえって特色がにじみ出るのではないでしょうか」(「まえがき」より)

    なるほど、写真みたいな写実的な肖像画は、記録的な意味はあつても、それ以上でも以下でもない。しかしデフォルメは、その人のもつとも特徴的な要素を強調するので、より印象に残るのであります。
    例へばフランス革命。「数巻の書をもってしても委曲をつくせません」(著者)といふことで、時系列の解説を廃し、その代りに「三つの視点」(①革命の性質について②革命の上げ潮と引き潮について③外国との関係について)を挙げることで、その全体像や歴史的意義を浮き彫りにしてゐます。

    つまり、お手軽に入門書を一冊読んで、何となく分かつた気分にさせてくれるといふものではなく、本書を読んだ後では、それぞれの事件・出来事についてより深く突込んで知りたくなるのでした。この辺りが「教養としての」などと豪語する原因ですかな。

    では今夜はこんなところで、ご無礼します。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-639.html

  • 20170917

  • 1966年刊行。著者は東北大学名誉教授。新書サイズで世界全史を追うというのは相当無謀な試み。時に、復習というか、さらっと全体像を掴まえ直すために読まれるものか。

  • 四大文明の発祥から、東西冷戦と第三世界の躍進する現代までの世界の歴史を、新書一冊の分量でコンパクトに解説した本です。

    平明な文章で、高校で学習する世界史の大まかな流れをつかむことができます。

  • 「教養としての〜」と書かれているところがミソ。数年前に話題になった学び直し系列の世界史ではなくて、世界史の大筋を予め分かっている上で、1つ1つの出来事を思想や社会背景の点から知識を据え直す著書。むろん、新書というボリュームからすべてを抑えられているわけではないが、むしろこのサイズで古代から近現代までの全てを俯瞰しているところに脱帽する。

    歴史は人や社会の生き様から新たに学びをうれいる学問。なんとなく歴史をもう一度学びたい人にオススメ。

  •  名前からも分かる通り、世界史の簡単な概説書。ややユーラシア大陸の東西の交流に多めにページが割かれているように思った。至って普通で手軽に読める内容。

  • [ 内容 ]
    現代ほど、あらゆる分野にわたって、世界史的視野というものが必要とされる時はない。
    ヘーゲル、マルクス、ランケなどによる従来の史観は、第2次大戦後の世界の激変によって、再検討が不可避のものとなっている。
    本書は、新しい世界史像をもとめて、統一的観点からとらえなおした恰好の入門書である。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


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  • やはり読んでて眠くなるけれど、古い本なので
    当時の考え方が垣間見える。
    学校の世界史も、こんな教え方だったら良かったのになぁと思う。

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著者プロフィール

1913年、京都生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。東北大学教授を経て、東北大学名誉教授。文学博士。著作に『教養としての世界史』(講談社現代新書)、『現代ヨーロッパの歴史家』(創文社)、『ヴェーバー・トレルチ・マイネッケ』(中公新書)、『マキアヴェリズム』(講談社学術文庫)、『歴史学の遠近』(東北大学出版会)など著書多数。2004年没。

「2022年 『1冊で読む 世界の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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