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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784061157729
感想・レビュー・書評
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日本語には、古来からの日本の言葉である大和言葉と、外国から導入された漢語があります。著者は、和歌の言葉には漢語がほとんど見られず、ほぼ大和言葉だけで詠まれてきたことに注目します。漢語を多用した言葉は、知的理解を可能にしますが、日本人の魂に直接響いてくるのは大和言葉で書かれた言葉の方だと著者は言います。和歌だけでなく、歌謡曲やフォーク・ソングなどの流行歌でも、大和言葉を用いた叙情的な歌詞が広く受け入れられてきたことも、こうした著者の主張を裏づけています。
著者の考える「日本人」は、大和言葉に魂のよりどころを持つ人びとを意味します。「和歌三神」の一つである柿本神社は、柿本人麻呂を祀っています。微賎の出である彼が住吉大社と並ぶ神格を認められたという事実は、日本人が「和歌の前に平等」という考えを持っていたことを示していると著者は論じます。また、百済から渡来した王仁も、「難波津の歌」を詠み天皇に忠愛の心を持つ限りで、「日本人」として認められた実例であり、このことにも「和歌の前に平等」という日本特有の発想が見られると著者は主張します。
「日本人」のアイデンティティが「日本語」によって培われてきたということは、伝統に内在的な立場からも、アイデンティティを批判的に問いなおす立場からも論じられていますが、保守派の論客として知られる著者の議論では、「日本語」が「日本人」というアイデンティティの心理的な紐帯となっていることを、本質主義的に捉えようとする傾向が顕著に見られるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
懐かしい。
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今までなんとなく、小学校の英語教育に反対してた。まず、日本語を話せるようにならなければ と。その日本語って、この本でいうと、和歌になる。子供には、和歌とふれあわせてみよう
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渡部昇一「英語の語源」を同新書で読み、その中の記述の英語で言うところの大和言葉という考え方に関心を持って、この本を手に取ってみた。この作者はもちろん英語学者であって、日本語というものは非専門分野である。しかし、外国語学習によって日本語を見つめ直すというのは非常に面白かった。そして日本語の中だけで論じられるよりも、ドイツ語や英語やフランス語の事情も併せて述べられるのが理解の助けになった。和歌等の日本文学は、余り関心事ではなかったがこれを読んで日本の文学ももっと読んだ方がいいのではないかと思った。しかしこの本を読んで一番感じたことはやはり「外国語学習のために日本語に触れること」「日本語学習のために外国語に触れること」が大事であるという当たり前だが忘れてしまって居そうな事だろう。
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言語ってアイデンティティと価値観と深く関係するんだなあ。日本語を勉強しなおそう。
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[ 内容 ]
ローマ人が「法」を平等原理とし、キリスト教徒が、「神の前の平等」を築いたとすれば、日本人の平等原理は「和歌」であった。
「万葉集」の作者が、兵士・農民から天皇まで、あらゆる階層のみならず、帰化人まで含んでいることが、これを如実に示している。
和歌をよくすること、つまり日本語の真髄を体得することで、日本人のアイデンティティは形づくられた。
本書は、日本人にとって日本語がもつ独特な意味を、他言語・他民族との比較、和語と漢語の対照など、縦横の引例・傍証で明らかにした注目の労作。
[ 目次 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
やまとことばってすばらしい!読み方が変わるだけで感情に響くのも相当変化するとはおもしろいと思う。辞世の句で三島由紀夫が大和言葉しか使わなかったという事実にも驚きました。
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和歌の意義とは、古今集のこころとは?
著者プロフィール
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