フロイト: その思想と生涯 (講談社現代新書 383)

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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061157835

感想・レビュー・書評

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  • 今までフロイトの心理学を倦厭してきたのは、彼があまりにも「性」を重視しているように思えたからですが、それだけでないことがちょっと分かりました。個人的理由(経済的または差別など)から治療を進めていたようですが、心理学の基礎を変えたり、今も使用される専門用語を開発したりと、心理学に大きく貢献したかたのようですね。

  • 専門家ではなく、伝記作家によるフロイト思想の翻訳というのがポイント。

    非常に分かりやすく入門にうってつけ。

  • ・私が精神分析に出会ったのは、20代の頃なので、かれこれ30年以上の歳月が流れてしまったのだが、この本を読んで「もっと早く出会いたかった」と思わずにはいられなかった…

    ・その理由は、訳者の言葉に要約されている…「精神分析の理論はフロイト自身の体験と密接に関連しているので、フロイトの伝記を無視しては了解しにくい。本書は、一貫して、精神分析の成立の過程をフロイト自身と結びつけて小説風に明らかにしている。著者が(精神分析)の専門家でないために、かえって精神分析全般を、だれにでもわかるように述べることに成功している。」

  • 人間の中にはやはりもともとエスという野蛮性が潜んでいてそれを統御したり昇華することで文明ができるんだな。

    聖書というのは、この人間の罪=エスの深さを隠すことなく伝えて、またそこからの解放を説いているように思われる。

  • 入門書として好適。読みやすい。

  • フロイトの生涯を通じて精神分析の確立を伝記として書く。不遇の時代、自分の主張を信じて挫折することなく成功していく姿。ユングなど他の有名な心理学者との交流や離反なども書かれている。フロイトといえば精神分析の祖ですよね。心理学を学ぼうとする人は必ず知らなければならない人です。ラカンという人は「フロイトに返れ」と言っています。

  • フロイトの生涯伝。読み物としては面白い。高校生ぐらい向けか。

  • 病には傷がある
    見えない傷を認めたのがフロイト
    最終的には人間の昇華までたどり着いた
    おもしろい発想だった

  • フロイト――の名前自体は非情に有名で、彼が考えた局所論モデルや構造論モデル、具体的には、意識、前意識、無意識や、エス、自我、超自我については、ユングの元型、集合無意識と並んでわりに広く知られていると思われる。しかしながら、フロイト自体がどのような人生を歩んできたかということについては意外と知られていない。彼が、ユダヤ人であることに加えて、彼の研究内容が認められがたいものであったために評価されるころには彼は彼が中年を過ぎて、高齢に差し掛かったころだったことや、彼の弟子たちの度重なる離反や、信頼していたユングに離反され更には最終的にユングがユダヤ人を排斥するナチスの考え方に賛同してしまったことなど……波乱万丈とも言える彼の人生を知ることは、つまり、時代をつくるような考えが出現する背景はなみなみじゃないのだということを如実に物語っている。ニーチェにしろ、フロイトにしろ、個人的にはドフトエフスキーも含めたいが、見たくないもの、見るべきでないとされるものと徹底的に向き合うという彼らの姿勢には感服する。ニーチェは彼独自の哲学を求道し、フロイトは精神分析という医療分野を立ち上げ、ドフトエフスキーは自らの心理状態をつぶさに観察しそれを文学へと昇華させた。

    ちなみに、ジークムントなる名前もやたらに仰々しいとは思っていたが、皇帝を指すということや、いかにしてフロイト独自の思想が形成されて言ったかということなど、ともかくも遡ってフロイトを観ていくことで、その土壌への理解は深まるように思われる。そういう意味で本著は素晴らしいのだけれど、こう、所々があっさりしすぎていて物足りなくもある。本著は伝記部分に焦点を当てすぎているので、フロイトの思想を外観としてしかなぞれていないし、確かにわかりやすい言葉で説明されているものの、フロイトが後世に与えた影響などもかなり曖昧にしかつづられていない。訳者は解説にて、「~の名前を挙げていることで、フロイトが与えた役割を無視していない」として評価しているけれど、名前が出てきただけで評価するというのは、どういう了見なのだろう、ともかく訳者の解説なんというか、「自己肯定」に終始していて、意外と読まないほうがいいかもしれない、本著だけを読んでいれば、「フロイトの思想的に物足らないところもあるけれど、得られるものも多い一著であった」とうなずけるが、解説を読むと少しげんなりする。こうね、一生懸命擁護している感じが……。

    しかし、フロイトの思想は局所論、構造論的な考え方、反復強迫などはうなずけるのだけれど、エディプスコンプレックスはいいとしても、原因を性へともって行こうとする姿勢は確かに無理やりだと思う、このあたりは反発されるのも仕方ない、というか、どうして、フロイトはここまで性に固執したのか、また、伝記を読む限りでは、彼は彼の母親が自らにやった「過ち(と彼が考えているようなこと」を自分の娘に繰り返していて、それについてはまるで触れないようにしている?あたりにはフロイトですら自分を徹底的に見つめ続けられずにはいられなかったということだろうか……。フロイトが性に拘るのは性を抑圧していたからだと書いている人がいたけれど、そのわりには六人も娘がいるし性生活に対して消極的であったとは思えないのだけれど……、とはいえ、彼の中に確固たる性に対するコンプレックスや葛藤があったのは間違いないのだろうが。

  • 4061157833 246p 1991・4・26 37刷

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