1973年のピンボール

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  • 講談社
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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061168626

感想・レビュー・書評

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  • 「僕」と双子の女の子、鼠とジェイ。周囲と距離を置くように、そして流れるように生きる二人の男性の話。

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    お話の意味がわかったのか、と問われれば、正直なところよくわからない。ピンボールも配電盤もなんのことやらという感じだ。
    でも、楽しめたか、と聞かれれば、大いに味わいながら読むことができたと思う。意味がわからないのに?
    それはフジロックやサマーソニックで海外のバンドを観ている時の気分に似ている。

    たとえば音楽を聴いて楽しむ時、ボーカリストが歌う言葉の意味は重要でないことはよくある。楽器や声の音色、リズム、雰囲気。五感すべてで音楽を楽しむ時、言語は何の役にも立たない。

    村上さんの小説にも同じようなことが言える。文体とかリズムという言葉を使うのが正しいんだろうけど、空気と呼ぶのがしっくりくる気がする。
    全体に漂う、あきらめにも似たセンチメンタルな空気。失った時間や井戸のことをいつも思っている。そこに意味は必要なくて、ただその空気をどう感じるかが重要なんだと思っている。

    だから、村上さんが伝えたいこと(そんなものがあるとすれば)は何も理解してない。
    センチメンタルな文章を読んで、「やれやれ」という気分に酔っているだけで本質的な部分をわかろうとすらしていない自分がいる。そういう読み方もある、と寛大な気持ちで見放してもらえれば何よりだ。

  •  最初に読んだのは20歳くらいだから30年ぶりの再読だ。ネズミとジェイと双子、何を示唆しているのかを悩んでみるけどどうもわからない。何かをわかろうとするより、ただ眺めるように読んだ。
     わかならいんだけど、嫌いじゃないのはなんなんだろう?
     また、フライドポテトを食べながら、ビールを飲みたくなった。

  • 何度目?
    三部作の真ん中。
    会話はちょっと恥ずかしいけど、、、
    羊にいたる大事な序章。

  • もう何度読んだことだろう。

    それでも何だかやっぱりいい。
    ストーリーとか、ではなくこの文体やリズム、空気感とかが好きだ。

    中でもピンボールの(彼女)との親密さが、温かくもあり、切なくもあり、悲しくもあり。

  • 村上春樹の初期三部作の一つ。
    学生運動バリバリでもなく、シラケまっしぐらでもない、自分のアイデンティティを模索していく70年代の若者像というやつなんだろうか。
    あっさり読めるけど、読んだあとに何かモヤッとする。不思議な本。

  •  誰もが誰かに対して何かを懸命に伝えたがっていた。けれども他人の話を進んで聞くタイプの人間が極端に不足しているから、誰もが僕に向って熱心に語る。もっと暮らしやすい星がほかにあるだろうと土星生まれの彼に訊ねたところ、大学を出たら土星に帰るんだとため息をついた。入口があるなら出口もどこかにあるはずだ。大抵のものはそんな風にできているから。

  • 最近、村上春樹作品の講座を受けているので、こちらも再読した

    初期三部作のうちの二作目
    1973年、25歳の僕は、翻訳事務所で働き、双子の女の子と暮らして、ピンボールにひきつけられ、鼠は女と別れて、街を出ていく

    「見知らぬ土地の話を聞くのが病的に好きだった。」
    内容はすっかり忘れていたけれど、このエピソードのことは覚えていた
    以前読んだときには、私は他人との関わりを厭うようになっていたのだけれど、自分もそうしてみたいという気持ちもあり、印象に残っていた
    「もし僕が両耳の穴にくちなしの花をさして、両手の指に水かきをつけていたとしたら何人かは振り返るかもしれない。」(7)という一文に、声を出して笑った
    こういうのが好きで、やめられない
    先日『風の歌を聴け』の講座を受けて、解釈の仕方(?)の一端を知った
    今回、これはどういう意味なんだろう?と考えながら読んでみて、なんだか疲れてしまった
    配電盤のお葬式をして、ピンボールに別れを告げ、双子の耳かきの後、僕の耳は、よく聴こえるようになった
    物語の流れを感じられるようになってきた
    さて、これから僕と鼠はどうなるだろう

  • 話があちこちに飛んで、何だかよくわからない話。表現は比喩的で深みがある気もするが、気取った表現を書き散らしただけ、という感想もあり得るような。良くも悪くも村上春樹的世界。

  • 「好きな作家は?」と聞かれたら、
    村上春樹の名前を必ず挙げる私だけど・・・。
    何かの本に「好きな作家というなら、全ての著書に目を通してから言え」みたなこと、書いてあったっけ。
    そういえば、私は村上春樹の初期の作品に全然目を通していないな、と思い至って、手に取ってみたのが、この本。

    何の予備知識もなく読み始めたけど・・・
    うーーん、難しかった!!
    「難しい」って、どの村上作品もたやすく読み解けるってことはないかもしれないけど、
    何て言うのかな、
    字面をつらつらっと読んでいっても、むくむく立ち上がってくるものがない、
    よーく咀嚼しながら読まないと内容が入ってこない、という感じ。
    初期の作品だから特にそう感じるのかな、と思った。

    作品の冒頭に「直子」の文字が出てきてビックリ!
    これは『ノルウェイの森』と世界観を共有しているのかな?と思い、『ノルウェイ~』のあらすじも頭の中で手繰り寄せがら読んだ。
    とすると、これは主人公の再生の物語なのか??

    とにかく、ぱっと読んですとんと落ちてくる話ではないということだけはよーく分かったので、
    この作品について持論を展開できるようになるには、何度も読み返さないと無理だなー。

    難解と言われる村上作品だけど、近年の作品群の方が格段に読みやすい(私にしてみれば、だけど)。
    村上さんの作家としての成熟と読者への思いやりによるのかしら・・・。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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